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136 水が嫌い?

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村長は狐にでも化かされたような表情になっているが、納得はしたようだ。
王太子もね、ウソは言ってないんだよ。真実を少~し隠してるだけ。
と、心の中で弁護してみる。

「さて村長。何か問題は発生しているかね?」
「え? あぁ、そうでしたね。
 え~、問題と言うか何と言いますか……」
「何だい?」
「見てもらえば、私の今の気持ちが理解してもらえると思います」

そう言って村長は村長宅の裏手にある納屋に案内してくれた。
村長が納屋を開けると、そこには正方形の土が。
上には草も生えている。スコップで四角く掘り出したのだろうか?

「これです」
「……土、だね?」
「はい、土です」
「……で?」
「ある日、村の井戸の横に置かれていたのです」

誰かが掘り出して置いていったのだろうか?
井戸の横という事なので、スコップを洗いに行き土を忘れて帰ったのか?

王太子も同じ様に考えたようで。

「誰かの忘れ物じゃないのか?」
「私もそう思いました。なので撤去し村の外に捨てました。
 実はこれ、6個目なんです……」
「6?!」

6個か~。
そうなると誰かが意図的にやっている可能性大だね。

「村の者に聞いたのか?」
「はい。村の者全員に聞きましたが、誰も知らないとの事なんです」
「ふ~む」

誰も知らないとはねぇ。
誰かがウソをついているか、本当に部外者がやっているか。このどちらかになるだろうな。

「それだけではありません。
 ある時は、ソーじい、あっ、村の年寄りのソーランという者の家の壁の一角だけが切り取られた事もありました」
「その老人に被害は?」
「本人に被害はありませんでした。盗られた物も無く。まぁ鍵なんか無いので、誰でも入れるんですけどね」
「誰でも入れる家の壁の一角を切り取った、と?」
「そうなんです」
「その壁の材質は?」
「木材です」

って事は、誰にも気づかれないように、こっそりとノコギリで切り出したのか?
……可能なのか? 結構ノコギリを引く音ってうるさいよ?

「またある時は、チャコという者の家に、四角い宝箱のような物が置かれていました」
「開けたのか?」
「はい。何が入っているか判らないので、広場まで持っていき紐を掛け犬に引かせて開けました」

すげー用心の仕方だな!
まるで爆破物でも入ってて処理するみたいだ!

「結果は?」
「何も起きずに簡単に開きました。中には村でもよく食べるキノコが一つだけ入っていました」
「貴重なキノコか?」
「いえいえ! そこに見える山に入れば、誰でも見つける事の出来るような、ありふれたキノコですよ!
 価値で言えば、入っていた宝箱の方が高価です!」

中身よりも入れ物の方が高価なのか。
ますます理解出来ないな。

「チャコの場合、女性なので誰かが恋をして置いたのでは?となりましたが、今では関連しているのでは?と思っています」
「なるほど。賢明な考えだ」

う~ん、謎だなぁ。

……

…………

………………

いやいやいや!
どう考えても悪魔の仕業でしょ!

ってか、マインク○フトのエン○ーマンかよ!
目が合ったら襲ってくるのか?! ヤンキーか?!

というか、そんな悪魔居るのかよ?!
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