131 / 186
132 実際どうなの?
しおりを挟む
しばらくすると確認をしに行った近衛騎士が戻ってきた。
「報告します。
ギルドに確認したところ、各ギルドに通達されておりました」
「通達内容は?」
「はい。彼の者はギルドを訪問すると『高ランクで登録してくれ』と無理難題を言ってきたそうです。
無理だと言うと『高ランクと模擬戦をやる。勝ったら高ランクにしてくれ』と」
「それは可能な話なの?」
「いえ。不可能です。どんなに実力があっても信用が無ければなれません。
そのような事を言う時点で既に信用されておりません」
「そうよねぇ」
「唯一新人でも信用されるのは『王族の推薦状』があった場合のみです。
それを疑うとなると、王族を信用していないのと同義となりますから」
つまり俺が『高ランクにしてくれ』とお願いしに行くなら、王太子や姫様、王様に推薦状を書いてもらえば可能なのか。
するつもりはないけど。
冒険者してないから意味無いしね。
それに高ランクになるメリットが無い。
高ランクしか受けられないような依頼に興味は無いし、高額な報酬も要らない。
だって、その分危険な仕事じゃん。
そんな仕事を達成する事で得られる名声にも興味無い。
自分で言うのもアレだが、現状でも名声は高いのだ。今更だ。
「その事実は?」
「誰も話していないそうです」
「そう。それは良かったわ」
あっ、そうか。
その事を話せば城に突撃する可能性もあるもんな。
アホな事を言い出すような者に、そんな情報は渡せないよね。
「それでどうなったの?」
「当然ギルドは拒否しました。
すると近くで話を聞いていたそこそこのランクの者がケンカを売ったそうです。
『お前、冒険者をバカにしてんのか? 俺が世の中ってもんを教えてやる!』と」
確かに、アイツの言い方だと、努力して高ランクになった人や現在努力している人をバカにしている感じがする。
全冒険者を敵に回したようなものだ。
「それで?」
「ギルド職員がケンカを仲裁しました」
「俺からも質問しても良いかな?」
「どうぞ」
「仲裁して収まったの?」
「はい。ギルドが仲裁しても止めないようでは、信用が無くなりますから」
「なるほど。ありがとうございます」
ラノベではギルドの制止を無視して戦うか、ギルドがため息をつきつつ場を整えるかするけどな。
よくある『そこそこ強いけど傲慢で、ランクの上がらない冒険者』ってのはいないようだ。
まぁ普通、所属先である冒険者ギルドの規約を守れないようでは、クビになっても不思議じゃないよね。
ついでに言えば、そういうヤツを止められないギルドの受付ってのにも問題あるけど。
ラノベでは女性が受付してて、そういうヤツが出てきてもオロオロするだけなんだよ。
護衛を雇っておくとかすべきだと思うんだ。
「その後は『納得いかない! あっ、そうだ!』と言って掲示板を見た後、走り去ったそうです」
「行動が意味不明ね……」
俺には判るぞ。
多分、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成しに行ったんだ。
それを達成して『高ランク用の依頼をクリア出来たんだから、高ランクになるよね?』と言いたいんだと思う。
「二日後、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成して戻ったそうです」
やっぱり!!
「しかし所属していない者が達成してもランクも何も無い、と通達されました」
「そりゃそうでしょうね」
「なので『とにかく加入しなさい』と諭され、加入したそうです」
「最初からそうしてれば良いのに……」
「加入後、受けられない高ランク依頼を達成していき、ランクは上げられないものの、強さは本物と認められている状態だそうです」
「なるほどねぇ。結果は?」
「はい。現在はのランクは中堅クラス。ギルドでは『言う事を聞かないバカ。強いので扱い注意だけど、バカだから上手く使うべし』となっているそうです」
「よくクビにならないわね」
「黙っていてもなかなか達成されない高ランク用の依頼を達成するので。
美人な女性の受付を使い、褒める事でランクが上がらない事実を隠しつつ利用してるとの事です」
良いように利用されてる!!
ギルドマスターのあの態度も、上手く扱う為だったのか……。
勇者君、大人の世界は怖いんだよ?
子供の浅知恵は通用しないんだ。
「報告します。
ギルドに確認したところ、各ギルドに通達されておりました」
「通達内容は?」
「はい。彼の者はギルドを訪問すると『高ランクで登録してくれ』と無理難題を言ってきたそうです。
無理だと言うと『高ランクと模擬戦をやる。勝ったら高ランクにしてくれ』と」
「それは可能な話なの?」
「いえ。不可能です。どんなに実力があっても信用が無ければなれません。
そのような事を言う時点で既に信用されておりません」
「そうよねぇ」
「唯一新人でも信用されるのは『王族の推薦状』があった場合のみです。
それを疑うとなると、王族を信用していないのと同義となりますから」
つまり俺が『高ランクにしてくれ』とお願いしに行くなら、王太子や姫様、王様に推薦状を書いてもらえば可能なのか。
するつもりはないけど。
冒険者してないから意味無いしね。
それに高ランクになるメリットが無い。
高ランクしか受けられないような依頼に興味は無いし、高額な報酬も要らない。
だって、その分危険な仕事じゃん。
そんな仕事を達成する事で得られる名声にも興味無い。
自分で言うのもアレだが、現状でも名声は高いのだ。今更だ。
「その事実は?」
「誰も話していないそうです」
「そう。それは良かったわ」
あっ、そうか。
その事を話せば城に突撃する可能性もあるもんな。
アホな事を言い出すような者に、そんな情報は渡せないよね。
「それでどうなったの?」
「当然ギルドは拒否しました。
すると近くで話を聞いていたそこそこのランクの者がケンカを売ったそうです。
『お前、冒険者をバカにしてんのか? 俺が世の中ってもんを教えてやる!』と」
確かに、アイツの言い方だと、努力して高ランクになった人や現在努力している人をバカにしている感じがする。
全冒険者を敵に回したようなものだ。
「それで?」
「ギルド職員がケンカを仲裁しました」
「俺からも質問しても良いかな?」
「どうぞ」
「仲裁して収まったの?」
「はい。ギルドが仲裁しても止めないようでは、信用が無くなりますから」
「なるほど。ありがとうございます」
ラノベではギルドの制止を無視して戦うか、ギルドがため息をつきつつ場を整えるかするけどな。
よくある『そこそこ強いけど傲慢で、ランクの上がらない冒険者』ってのはいないようだ。
まぁ普通、所属先である冒険者ギルドの規約を守れないようでは、クビになっても不思議じゃないよね。
ついでに言えば、そういうヤツを止められないギルドの受付ってのにも問題あるけど。
ラノベでは女性が受付してて、そういうヤツが出てきてもオロオロするだけなんだよ。
護衛を雇っておくとかすべきだと思うんだ。
「その後は『納得いかない! あっ、そうだ!』と言って掲示板を見た後、走り去ったそうです」
「行動が意味不明ね……」
俺には判るぞ。
多分、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成しに行ったんだ。
それを達成して『高ランク用の依頼をクリア出来たんだから、高ランクになるよね?』と言いたいんだと思う。
「二日後、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成して戻ったそうです」
やっぱり!!
「しかし所属していない者が達成してもランクも何も無い、と通達されました」
「そりゃそうでしょうね」
「なので『とにかく加入しなさい』と諭され、加入したそうです」
「最初からそうしてれば良いのに……」
「加入後、受けられない高ランク依頼を達成していき、ランクは上げられないものの、強さは本物と認められている状態だそうです」
「なるほどねぇ。結果は?」
「はい。現在はのランクは中堅クラス。ギルドでは『言う事を聞かないバカ。強いので扱い注意だけど、バカだから上手く使うべし』となっているそうです」
「よくクビにならないわね」
「黙っていてもなかなか達成されない高ランク用の依頼を達成するので。
美人な女性の受付を使い、褒める事でランクが上がらない事実を隠しつつ利用してるとの事です」
良いように利用されてる!!
ギルドマスターのあの態度も、上手く扱う為だったのか……。
勇者君、大人の世界は怖いんだよ?
子供の浅知恵は通用しないんだ。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで
ひーにゃん
ファンタジー
誰もが魔力をもち魔法が使える世界で、アンナリーナはその力を持たず皆に厭われていた。
運命の【ギフト授与式】がやってきて、これでまともな暮らしが出来るかと思ったのだが……
与えられたギフトは【ギフト】というよくわからないもの。
だが、そのとき思い出した前世の記憶で【ギフト】の使い方を閃いて。
これは少し歪んだ考え方の持ち主、アンナリーナの一風変わった仲間たちとの日常のお話。
冒険を始めるに至って、第1章はアンナリーナのこれからを書くのに外せません。
よろしくお願いします。
この作品は小説家になろう様にも掲載しています。
外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~
海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。
地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。
俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。
だけど悔しくはない。
何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。
そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。
ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。
アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。
フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。
※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~
平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。
異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。
途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。
しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。
その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる