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128 召喚魔法

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色々注意されたが、別に困るような事は無いな。
この国に居る間は、王太子や姫様の権力があるし、護衛のアイザックさんも居る。
悪魔を使うような場面は無いだろう。
そもそも日本では無いので、不便なのは分かっている事。
わがまま言っても改善する訳でも無いので、こちらの世界の人の言う事を聞いて大人しくしてますとも。

「それでは、王より教えられた内容を話そうか」
「お願いします」
「東の隣国『サウディ』の話というのは言ったが、詳しく言えばそこに『ヘッジホ』という村があるそうだ」
「ヘッジホ?」
「お前が王に教えたのだろう?」

……あ~あ~、言った言った!
思い出したわ!

ヒントが『北に亀 南にカバ 西にヘビ 東にハリネズミ  三歩進んで二歩下がる』だったじゃん。
これがそのままの意味だとは思えないので、探しやすいようにキーワードを言ったんだった。
キーワードってのはちょっと違うか。
ん~、なんて言うの? 探し方?

つまり『亀』だから亀だけを探すのではなく、亀って漢字(この世界に漢字は無い)っぽい文字があるとか。
後は亀を英語でタートルだとか。カメと同音の『瓶(カメ)』とか。
そんな感じ。

で、全て英語読みを伝えていたんだよ。タートル・ヒポポタマス・スネーク・ヘッジホッグ、とね。
それのハリネズミが引っかかったんだな。
『ッグ』が無いけど、言われてみれば似ている。方角も東だし。

これは行ってみる価値がありそうだ。
もしかしたら、青色のムチャクチャ速く走るヤツが居るかもしれないし(笑)

「他の物も検索中だ。国内はすぐに判るが、国外となると時間がかかる」
「大丈夫。理解してるから。ゆっくりやろうよ」

急かせるつもりはない。
神様の都合だけど、ぶっちゃけゲームだし。
俺的には帰りたい気持ちもあるが、今の状況も楽しい。
見つけられれば帰れるという、一応神様の保証もある。
誘拐のように異世界に召喚された訳ではないのだ。魔王を倒さなくても帰れる。ま、大概魔王を倒しても帰れないってのが定番だが。
そもそも、召喚しておいて「帰るには魔王を倒す必要が」とかバカの言い分だろ。
従う訳無いじゃん。疑うのが普通じゃん。召喚出来るなら送り返せると思うじゃん。
もっと言えば、召喚魔法って何よ。異世界の人間を呼ぶ魔法?
それで来た人間が善人だと?
もしグレイみたいな宇宙人タイプが来たらどうするよ。謎の光線出されて全滅するぜ?
極めつけに、空気が違ったら即死亡、病気持ちだったらパンデミックで国崩壊、太陽からの放射線を遮ってなかったらこれまた死亡。
そんなのは全部クリア出来る、同じ環境の世界から呼ぶ魔法?
そんな魔法を持ってるなら、送り返す魔法だって持ってるだろ!

「おい、理解してるとか言いながら、何を不服そうな顔をしているんだ?」
「あ、ごめん。違う事考えて、一人で怒ってたわ」
「おいおい、集中してくれよ。大事な話をしてるんだから」
「ごめんごめん」

怒られてしまった。
ま、アホな事を考えてたんだ。怒られて当然か。

「それでだな、一つ王から頼み事をされている」
「え、何? 突然に」
「今回の話に関係する事だ」
「そうなの? 何かな?」
「ハウルス聖王国にこの話を持っていっても良いか?という提案だ」

ハウルス聖王国?
聞いた事があるような無いような……。

「ほら、例の枢機卿の居る国だ」
「…………ああっ! 思い出した!」
「あの国なら聖人の怖さを知っている。話をしても外部に漏らす事は無いと思われる」
「その言い方は不本意だけど、確かにそうかもしれない」
「なので、事情を話して協力を要請しようと考えている。
 あの国の宗教関係の教会は全国各地にある。情報も沢山持っていると思える。
 というのが、王の見解だが。どうだ?」

な~るほどねぇ。
そう言われればそうかもしれない。

「そうしよう。お願いしても良いかな?」
「ああ。その為の書類も既に用意してある。署名してくれ」
「早いな! あっ、そうだ。ついでにカードに関係してそうな事件とかも聞いちゃダメかな?」
「心配するな。それも既に書類に書いてある」
「本当に早いな!!」

俺は言われるがままにサインをした。
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