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127 犯罪者
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二日後。
王太子が俺の滞在している部屋にやってきた。
「父より情報を貰ったぞ」
「何の情報? アイドルに関する事?」
「違うわ! 例の事の情報だ!」
王太子もだけど、皆なるべくぼかして話すようにするんだよね。
どこで勇者に話が漏れるか判らないから、という理由らしい。
まぁ、警戒するのに越したことはないだろう。
「今回はカードの情報じゃない。例の地点の話だ」
「あっ、何か進展があった?」
「調べた結果、東の隣国『サウディ』に似たような地名があるらしい」
ほうほう。カードの話じゃないんだね。
確かにこの国で行った場所では、指輪が反応していないからね。
隣国の可能性が大きいかも。
「明日にでも出発しようと思うが、注意点がいくつかある」
「えっ?」
「隣国なので、王族の権威はあまり通用しなくなる。身分を隠して行く為、バラしても信じてもらえないだろう」
そりゃそうか。
偉い人が偉そうに出来るのは、その権威が通用する場所のみ。
特別待遇は期待出来ないと。元々そんなに必要としていないから大丈夫だけどさ。
「問題無いって顔してるな。
言っておくが、もしその場が本命だった場合、封鎖して大規模な検索も出来ないんだぞ?
それにその場所の規模が村などの人が住んでいる場合、他人の家にも入れないぞ?」
「うぐっ! 確かにその通り……!」
ゲームの勇者じゃないんだから、他人の家に勝手に入って漁るなんて出来ない。
ましてや床下なんかにあったら、発掘のしようがない。
間違いなく逮捕されて有罪だ。
権力って大事だったのね。
「次に例の人物だが。
こちらよりも権力が無いので隣国まで来ないだろうとは思うが、気をつけるように」
「ん? どういう事?」
「簡単な話だ。国境で難癖つけて止める」
「……職権乱用というか、権力乱用じゃない?」
「王太子や姫が同行している者に危害を加える可能性がある者を不審者ではないと?」
「そう言われると、不審者っぽく聞こえるから不思議だ」
「ま、国境を回避して山越えしたりされればどうしようもないがな」
「国境警備の静止を振り切って来たら?」
「確実に両国で指名手配だ。
どれだけ強くても、生活は必要だろ? 指名手配されればそれも出来なくなる」
えー?
写真やテレビのある日本なら指名手配されたら生活出来なくなるとは思うけど、異世界なら簡単じゃない?
ラノベでも他の国に行けば、大概バレないけど。
「それは無理だと思ってる顔だな?
まずすぐに似顔絵が作成される。それを各領地へ配布。各領地はそれを元に複製を作る。
この時に変装した場合の物も作られる。それを宿と冒険者ギルドに配る」
「えっと、質問。そんなに似顔絵を書く人がいるの?」
「城でもだが、各地で何人も雇っているぞ。色々な場面で必要になるからな」
「色々な場面って?」
「行方不明者の捜索、注意する魔物の容姿作成など仕事は山のようにある。
今はお前の作ったアイドルの似顔絵描きで大忙しだがな」
本当だ! 俺、頼んでたわ!
現代だと、写真家だと思えば分かりやすいな。
ラノベだとあまり出てこない職種の人だね。
「宿屋は判るけど、冒険者ギルドにも配る理由は?」
「そういう逃亡生活をしている者は、冒険者になる事が多いからな。
野営していても冒険者なら怪しまれないし、獣を狩っていても不思議じゃない」
「あ~確かに」
「それと別で、指名手配犯を捕まえると報酬が出るんだ。
それを専門にしている冒険者も居るらしいぞ」
あ、それは聞いた事がある。
なんて言うんだったっけ? あ、そうだ、バウンティハンターだ。
アメリカでは今でも職業として居るんだったっけ?
映画で見た事があるよ。
「普段人が立ち入らないような場所にも行くのが冒険者だ。
隠れて生活していても見つかる確率は高い。
冒険者も偶然でも発見捕縛すれば臨時収入になるから、必ずチェックする」
意図的に探す人も居れば、覚えておいて偶然発見したらラッキー程度の人も居ると。
「でも、相手は強いよ? 捕まらないんじゃ?」
「捕まらなくても、追い回されるだけでも良い。
心の休まる時なんか無くなるぞ? 飯食っててもトイレに居ても襲われるかもしれないんだ」
あ~。それを何日もやってたら心が荒むわ。
「領主次第だが時間があれば、商店にも配る。
そうなると、食料や調味料や生活用品も買えない、武器も防具も買えない、採取した物や獲物も売れなくなる」
塩が手に入らなくなるってのは大変だな!
「そうなると泥棒するんじゃ?」
「そこまでするようになれば、完全に犯罪者だ。今度は生死を問わなくなるぞ」
異世界怖え~。
「あっ! でも冤罪の場合は? そう説得されて匿う人も居るんじゃ?」
「国民は国を基本的には信じている。その場合は逆に出頭して冤罪を晴らせと言われるだろう」
「権力者が罠に嵌めての冤罪の場合でも? よくそういう話を聞くけど」
聞くと言っても小説や映画の話だけど。
「そういう場合は国に判断を回されるな。
勿論国だから正しい判断をするとは限らないが、そこを疑いだしたらきりがない」
日本で言えば、最高裁判所まで行く感じか?
「過程の話はもう良いだろ。
とにかく、例の人物は追いかけては来ないとは思うが、注意はするように。
悪魔の使用も極力減らすように」
王太子が俺の滞在している部屋にやってきた。
「父より情報を貰ったぞ」
「何の情報? アイドルに関する事?」
「違うわ! 例の事の情報だ!」
王太子もだけど、皆なるべくぼかして話すようにするんだよね。
どこで勇者に話が漏れるか判らないから、という理由らしい。
まぁ、警戒するのに越したことはないだろう。
「今回はカードの情報じゃない。例の地点の話だ」
「あっ、何か進展があった?」
「調べた結果、東の隣国『サウディ』に似たような地名があるらしい」
ほうほう。カードの話じゃないんだね。
確かにこの国で行った場所では、指輪が反応していないからね。
隣国の可能性が大きいかも。
「明日にでも出発しようと思うが、注意点がいくつかある」
「えっ?」
「隣国なので、王族の権威はあまり通用しなくなる。身分を隠して行く為、バラしても信じてもらえないだろう」
そりゃそうか。
偉い人が偉そうに出来るのは、その権威が通用する場所のみ。
特別待遇は期待出来ないと。元々そんなに必要としていないから大丈夫だけどさ。
「問題無いって顔してるな。
言っておくが、もしその場が本命だった場合、封鎖して大規模な検索も出来ないんだぞ?
それにその場所の規模が村などの人が住んでいる場合、他人の家にも入れないぞ?」
「うぐっ! 確かにその通り……!」
ゲームの勇者じゃないんだから、他人の家に勝手に入って漁るなんて出来ない。
ましてや床下なんかにあったら、発掘のしようがない。
間違いなく逮捕されて有罪だ。
権力って大事だったのね。
「次に例の人物だが。
こちらよりも権力が無いので隣国まで来ないだろうとは思うが、気をつけるように」
「ん? どういう事?」
「簡単な話だ。国境で難癖つけて止める」
「……職権乱用というか、権力乱用じゃない?」
「王太子や姫が同行している者に危害を加える可能性がある者を不審者ではないと?」
「そう言われると、不審者っぽく聞こえるから不思議だ」
「ま、国境を回避して山越えしたりされればどうしようもないがな」
「国境警備の静止を振り切って来たら?」
「確実に両国で指名手配だ。
どれだけ強くても、生活は必要だろ? 指名手配されればそれも出来なくなる」
えー?
写真やテレビのある日本なら指名手配されたら生活出来なくなるとは思うけど、異世界なら簡単じゃない?
ラノベでも他の国に行けば、大概バレないけど。
「それは無理だと思ってる顔だな?
まずすぐに似顔絵が作成される。それを各領地へ配布。各領地はそれを元に複製を作る。
この時に変装した場合の物も作られる。それを宿と冒険者ギルドに配る」
「えっと、質問。そんなに似顔絵を書く人がいるの?」
「城でもだが、各地で何人も雇っているぞ。色々な場面で必要になるからな」
「色々な場面って?」
「行方不明者の捜索、注意する魔物の容姿作成など仕事は山のようにある。
今はお前の作ったアイドルの似顔絵描きで大忙しだがな」
本当だ! 俺、頼んでたわ!
現代だと、写真家だと思えば分かりやすいな。
ラノベだとあまり出てこない職種の人だね。
「宿屋は判るけど、冒険者ギルドにも配る理由は?」
「そういう逃亡生活をしている者は、冒険者になる事が多いからな。
野営していても冒険者なら怪しまれないし、獣を狩っていても不思議じゃない」
「あ~確かに」
「それと別で、指名手配犯を捕まえると報酬が出るんだ。
それを専門にしている冒険者も居るらしいぞ」
あ、それは聞いた事がある。
なんて言うんだったっけ? あ、そうだ、バウンティハンターだ。
アメリカでは今でも職業として居るんだったっけ?
映画で見た事があるよ。
「普段人が立ち入らないような場所にも行くのが冒険者だ。
隠れて生活していても見つかる確率は高い。
冒険者も偶然でも発見捕縛すれば臨時収入になるから、必ずチェックする」
意図的に探す人も居れば、覚えておいて偶然発見したらラッキー程度の人も居ると。
「でも、相手は強いよ? 捕まらないんじゃ?」
「捕まらなくても、追い回されるだけでも良い。
心の休まる時なんか無くなるぞ? 飯食っててもトイレに居ても襲われるかもしれないんだ」
あ~。それを何日もやってたら心が荒むわ。
「領主次第だが時間があれば、商店にも配る。
そうなると、食料や調味料や生活用品も買えない、武器も防具も買えない、採取した物や獲物も売れなくなる」
塩が手に入らなくなるってのは大変だな!
「そうなると泥棒するんじゃ?」
「そこまでするようになれば、完全に犯罪者だ。今度は生死を問わなくなるぞ」
異世界怖え~。
「あっ! でも冤罪の場合は? そう説得されて匿う人も居るんじゃ?」
「国民は国を基本的には信じている。その場合は逆に出頭して冤罪を晴らせと言われるだろう」
「権力者が罠に嵌めての冤罪の場合でも? よくそういう話を聞くけど」
聞くと言っても小説や映画の話だけど。
「そういう場合は国に判断を回されるな。
勿論国だから正しい判断をするとは限らないが、そこを疑いだしたらきりがない」
日本で言えば、最高裁判所まで行く感じか?
「過程の話はもう良いだろ。
とにかく、例の人物は追いかけては来ないとは思うが、注意はするように。
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