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111 勇者

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「俺は新城聖(しんじょうひじり)! 高校2年だった! 勇者だ! ヨロシク!」

和名だと?!
そして高校2年生?!
更に勇者?!!

数え役満じゃないか!
どう考えても日本人の転生者だろ! いやまぁ転移者かもしれないけどさ。

マジか、マジでか!
どうしよう? 同じ日本人として挨拶した方が良いのかな?



……いや、待て。
焦ってるぞ、俺。落ち着け。

何でハウレスは帰りたいと言ったんだ?
それは見られるとマズいからだよな。
例えば攻撃されるとか、何か意味があるはず。

そう考えると俺の事をバラすのは危険か?
大体、本当に同郷かも判らないしなぁ。
だって現在異世界だよ? そう考えるとパラレルワールドって可能性もあるじゃないか。



よし、俺の事は隠そう。
その方が良い気がする。
ギルドマスターが知ってるし、後で悪魔に色々聞いた方が良いだろう。

今は王太子が挨拶してる。
どうやらアチラも身分を隠すようだ。
まぁ、得体のしれない相手に王太子と言う必要も無いしね。

それに勇者の話なんか城では出てこなかった。
本当に勇者なら城に報告くらい行くだろ。
それも無いなら自称の可能性もある。

おっと、俺の番が来たようだ。

「こんちは、俺はリョー。魔法使いの見習いだ」
「リョーさんですか! ……俺の世界の人に見えますね。出身は?」
「出身はこの国じゃないよ」
「どこですか?」
「……何で聞きたいんだ?」
「同じ日本出身なのかな~と思ったからです!」
「その……日本だっけ? 違うけど、そこ出身だったら何か?」
「ライバルなのかな~と!」
「ライバル? 何の?」
「神様に課せられたミッションのですよ!」

ヤベェ。
完全に間違いなくビンゴだ。
しかもライバルって事は、同じ物を探しているかも。
ヘタすりゃバトル展開?!

とりあえず視線でメンバーに「何も言うなよ?」と送っておく。
見えないように頷いてくれたので、察してくれたと思う。

う~ん、どうしたものか。
長く沈黙してると疑われるだろうし、ここは適当に話しておくか。

「言ってる事が理解出来ないけど、俺はこの国から少し離れた所の国出身だよ」
「そうなんですか?」

どうしたら信じるかな?
あっ、そうだ。
ラノベっぽい事を言えば納得するかも?

「ああ。東に進んだ所にある、島国出身でね。田舎者がバレるとバカにされる事もあるんで、あまり言いたくないんだ」
「へ~~! なんて国です?」
「ザポンって国名。遠いから知らないだろうね」
「ザポン!! ジャパンみたいだ! すげー! もしかして刀とかあります?!」
「……刀?」
「はい! 剣の一種なんです」
「え~と、あの国で使ってる剣は、片方だけ刃引きしてある細身の剣だよ。カッターって呼ばれてたな。
 でも限られた人しか持てないから、俺も持ってないよ」
「すげーすげー!!」

あっ、ヤベ。
調子に乗りすぎた。
逆に興味持たれちゃったよ……。
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