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101 仕掛け部屋
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初めて入手した総裁カードだから使ってみたい。
でも、能力がアレだろ?
「生物の生命力を吸い取る」「裏切りなどの悪意を敵陣に引き起こす」「生命力を対価にあらゆる知識を授ける」「性欲増大」。
……使い道が無いな。
平和なこの街で敵とか居ないし、生命力を吸い取る必要性も無い。
性欲増大くらいなら、貴族に使えば喜ばれるかな?
ほら、貴族や王族って、子孫を残さないとダメなんでしょ?
そう思って王太子をチラリと見たんだが、何も言ってないのに「必要無いぞ」と言われた。
王太子もこのカードを一緒に見たからなぁ。
ま、実験の為だけに呼ぶ事も無いか。
とにかく登録だけはさっさとしておこう。
翌日。
カードの登録も終わり、もうこの街には用がない。
なので領主の屋敷で次に向かう場所を選んでいた時、誰かが訪ねてきた。
領主に用事があるのではなく、我々に用事だという。
「誰なんだろう?」
「国の使者では無いな。聞いていないし」
「聞いてないけど緊急なら訪ねてくる事はあるんじゃないのか?」
「それなら領主にも話が行くはずだ」
「そうなんだ」
「まぁ、門番が繋いできたくらいだ。不審な者では無いのだろう」
そうなの?
門番って優秀なんだな。
「なら?」
「会っても良いんじゃないか? 会う為の部屋を借りよう」
「この部屋じゃダメなの?」
「ああ」
「あっ、判った。無礼の無いようにって事だな?」
「違う。会う為の専用の部屋があるのだ」
「何で?」
「万が一、暗殺者とかだったらどうする?
その部屋は控えの間に兵士が常駐しているし、肘掛けに魔法道具が仕込んであり咄嗟に防御も出来るようになっているんだ」
へーへーへー。
そんな準備万端な部屋があるんだね。
ま、王族や貴族が準備も無く会う事は無いよな。
「あれっ? じゃあ俺が会った時の部屋は?」
「落とし穴があったな」
「マジか!」
「悪魔相手に落とし穴が役に立つとは思えないけどな」
確かに。
羽根生えてるヤツとか居るもんな。
俺が落ちても助けてもらえそう。
見た目がマルチーズの悪魔に咥えられて助けられるってのは、少し恥ずかしいけどね。
とにかく、その部屋で会う事になった。
俺達が先にその部屋に入り、呼び込むそうだ。
ちょっと興味あったので、相手の座る椅子をチェックしてみた。
う~ん、別に何か仕掛けがあるように見えないなぁ。
「その椅子は倒れるぞ」
「倒れる?」
「こっちの椅子の肘掛けにある魔石に魔力を流すと、椅子の下にある魔石が反応する。
突風が一瞬だけ発生して、椅子を後ろにひっくり返す仕組みだ」
そう言われたので、後ろに回り下を調べてみた。
本当だ! 椅子は床に蝶番で固定されている。
後ろに転ばされれば、暗殺するのに時間がかかるだろう。
その間に控えの間から兵士が出てくるし、領主は逃げる事が出来るね。
面白いね。
「おい、チェックはそれくらいにしておけ。もう来るぞ」
「ゴメンゴメン。ちょっと面白くて」
テーブルを挟んだ反対側の長椅子に座る。
あれ? 俺が中心?
王太子が中心に座るべきじゃない?
「俺に用事ではなく、聖人様に用事だそうだからな」
俺かよ……。なんだろう、誰だろう。
でも、能力がアレだろ?
「生物の生命力を吸い取る」「裏切りなどの悪意を敵陣に引き起こす」「生命力を対価にあらゆる知識を授ける」「性欲増大」。
……使い道が無いな。
平和なこの街で敵とか居ないし、生命力を吸い取る必要性も無い。
性欲増大くらいなら、貴族に使えば喜ばれるかな?
ほら、貴族や王族って、子孫を残さないとダメなんでしょ?
そう思って王太子をチラリと見たんだが、何も言ってないのに「必要無いぞ」と言われた。
王太子もこのカードを一緒に見たからなぁ。
ま、実験の為だけに呼ぶ事も無いか。
とにかく登録だけはさっさとしておこう。
翌日。
カードの登録も終わり、もうこの街には用がない。
なので領主の屋敷で次に向かう場所を選んでいた時、誰かが訪ねてきた。
領主に用事があるのではなく、我々に用事だという。
「誰なんだろう?」
「国の使者では無いな。聞いていないし」
「聞いてないけど緊急なら訪ねてくる事はあるんじゃないのか?」
「それなら領主にも話が行くはずだ」
「そうなんだ」
「まぁ、門番が繋いできたくらいだ。不審な者では無いのだろう」
そうなの?
門番って優秀なんだな。
「なら?」
「会っても良いんじゃないか? 会う為の部屋を借りよう」
「この部屋じゃダメなの?」
「ああ」
「あっ、判った。無礼の無いようにって事だな?」
「違う。会う為の専用の部屋があるのだ」
「何で?」
「万が一、暗殺者とかだったらどうする?
その部屋は控えの間に兵士が常駐しているし、肘掛けに魔法道具が仕込んであり咄嗟に防御も出来るようになっているんだ」
へーへーへー。
そんな準備万端な部屋があるんだね。
ま、王族や貴族が準備も無く会う事は無いよな。
「あれっ? じゃあ俺が会った時の部屋は?」
「落とし穴があったな」
「マジか!」
「悪魔相手に落とし穴が役に立つとは思えないけどな」
確かに。
羽根生えてるヤツとか居るもんな。
俺が落ちても助けてもらえそう。
見た目がマルチーズの悪魔に咥えられて助けられるってのは、少し恥ずかしいけどね。
とにかく、その部屋で会う事になった。
俺達が先にその部屋に入り、呼び込むそうだ。
ちょっと興味あったので、相手の座る椅子をチェックしてみた。
う~ん、別に何か仕掛けがあるように見えないなぁ。
「その椅子は倒れるぞ」
「倒れる?」
「こっちの椅子の肘掛けにある魔石に魔力を流すと、椅子の下にある魔石が反応する。
突風が一瞬だけ発生して、椅子を後ろにひっくり返す仕組みだ」
そう言われたので、後ろに回り下を調べてみた。
本当だ! 椅子は床に蝶番で固定されている。
後ろに転ばされれば、暗殺するのに時間がかかるだろう。
その間に控えの間から兵士が出てくるし、領主は逃げる事が出来るね。
面白いね。
「おい、チェックはそれくらいにしておけ。もう来るぞ」
「ゴメンゴメン。ちょっと面白くて」
テーブルを挟んだ反対側の長椅子に座る。
あれ? 俺が中心?
王太子が中心に座るべきじゃない?
「俺に用事ではなく、聖人様に用事だそうだからな」
俺かよ……。なんだろう、誰だろう。
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