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095 あっさりと
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俺達はこっそりと子供の後ろをついていく。
その子供は途中で、近所のオバサンっぽい人に話しかけていたがすぐにまた歩き出した。
何か食べ物でも貰ったのかな?
……今思ったけど、帰宅中じゃ無かったらいつまでもこのままじゃね?
だが姫様はこの行動が面白いらしく、ワクワクした顔でついて来ている。
アンドロマリウスはというと、気配を消しているのか、たまにどこに居るのか判らなくなる。
実際は常に俺の後ろに居るんだけど。
そうやって移動する事、10分くらい。
ようやく子供が1件の家に入っていった。
塀のある平屋の家だ。
塀には「ダンメイ孤児院」と書いてある。ビンゴ!
異世界に来た転移者は、孤児院で何をするんだったっけ?
寄付しに行ったら仲良くなって、そこで誘拐とかの事件を知り解決する。こんな感じか?
そうなるとアンドロマリウスを召喚したのは正解だったね。企みを看破する能力持ちだから。
さて、どうやって入ろうか。
寄付を申し出るにしても、今俺は大してお金を持ってないし。
あっ、そうか。食べ物の寄付っていうのもよくあるパターンだね。
ほら、レベル上げする為に倒しまくった魔物を、要らないからってプレゼント。これ。
……持ってないわ。
う~ん、とりあえず今日は話だけしておいて、後日持ってくるか?
それとも、アンドロマリウス召喚と同時に俺のポケットに侵入したマリに潜入捜査してきてもらう?
どうしようかな~……。
中を覗きながら色々と悩んでたら肩を叩かれた。
姫様だと思い振り返ると…………そこには兵士さんが立っていた。
「通報があってね。子供を付けている不審者が居ると。君達の事だね?」
「……え~と」
「ちょ~と、詰め所まで来てもらおうか」
「……はい」
捕まった。
どうやらバレてたみたいで、あのオバサンに通報するように頼んだらしい。
兵士に囲まれた状態で、詰め所まで連れて行かれた。
どうしよう。何と言い訳をしようか?
「異世界人は孤児院に行かなきゃダメなんです!決まりなんです!」って言うか?
ダメだ。頭がおかしい人と思われる。
取り調べ室のような所に入れられ、椅子に座らされ、質問された。
「で、何でつけてたのかな?」
俺が黙ってたら、アンドロマリウスが答えてくれた。
「あの子供が主殿にぶつかってきたのです。
主殿はそれを避けられたのですが、スリではないかと思い後をつけました」
「……なるほどね。何でつける必要があったのかな?」
「犯罪をしているなら、その元締めの所に行くと思ったからですね」
「元締めの居る場所を知ってどうするの?」
「主殿は“聖人様”なので、犯罪が許せなかったのでしょう」
「へ~、そうです……か…………え、聖人様?」
「はい。そうです」
見事な言い訳! さすが悪魔!
そして聖人様と聞いて驚く兵士。
これはヤバイ人を逮捕したと焦るパターンだな。あるある。
「聖人様って何?」
……まさかの知らないパターンだったとは。
「この国の王が認めた、神の使徒の事です。領主に聞けば分かる事ですね」
「……君達、王や領主の事を出して、ウソだったら大変な事になるよ? 判ってる?」
「事実なので、何の問題もありませんね。
ついでに言えば、ここに居る方はこの国の姫様ですよ」
そう言えば姫様も居たわ。
全然話さないから別の部屋に連れて行かれたかと思ってた。俺の後ろに立ってたのね。
振り返って見れば、姫様はまだ楽しそうな顔をしている。
こういう騒動も好きですか、そうですか。
「もっと言えば、今、同行していた王太子が領主の所に居ます。
問題になる前に、早く確認した方が良いですよ」
アンドロマリウスの脅しのようなセリフに焦ったのか、人を呼んで走らせた。
そして椅子を2脚持ってきて、アンドロマリウスと姫様を座らせた。
「……もし言っている事が事実でも、子供の後をつけていた事は事実だからね?
罪にはならないが、厳重注意はさせてもらうよ?」
あっ、職務に忠実な人だ。
ごめんなさい。
その子供は途中で、近所のオバサンっぽい人に話しかけていたがすぐにまた歩き出した。
何か食べ物でも貰ったのかな?
……今思ったけど、帰宅中じゃ無かったらいつまでもこのままじゃね?
だが姫様はこの行動が面白いらしく、ワクワクした顔でついて来ている。
アンドロマリウスはというと、気配を消しているのか、たまにどこに居るのか判らなくなる。
実際は常に俺の後ろに居るんだけど。
そうやって移動する事、10分くらい。
ようやく子供が1件の家に入っていった。
塀のある平屋の家だ。
塀には「ダンメイ孤児院」と書いてある。ビンゴ!
異世界に来た転移者は、孤児院で何をするんだったっけ?
寄付しに行ったら仲良くなって、そこで誘拐とかの事件を知り解決する。こんな感じか?
そうなるとアンドロマリウスを召喚したのは正解だったね。企みを看破する能力持ちだから。
さて、どうやって入ろうか。
寄付を申し出るにしても、今俺は大してお金を持ってないし。
あっ、そうか。食べ物の寄付っていうのもよくあるパターンだね。
ほら、レベル上げする為に倒しまくった魔物を、要らないからってプレゼント。これ。
……持ってないわ。
う~ん、とりあえず今日は話だけしておいて、後日持ってくるか?
それとも、アンドロマリウス召喚と同時に俺のポケットに侵入したマリに潜入捜査してきてもらう?
どうしようかな~……。
中を覗きながら色々と悩んでたら肩を叩かれた。
姫様だと思い振り返ると…………そこには兵士さんが立っていた。
「通報があってね。子供を付けている不審者が居ると。君達の事だね?」
「……え~と」
「ちょ~と、詰め所まで来てもらおうか」
「……はい」
捕まった。
どうやらバレてたみたいで、あのオバサンに通報するように頼んだらしい。
兵士に囲まれた状態で、詰め所まで連れて行かれた。
どうしよう。何と言い訳をしようか?
「異世界人は孤児院に行かなきゃダメなんです!決まりなんです!」って言うか?
ダメだ。頭がおかしい人と思われる。
取り調べ室のような所に入れられ、椅子に座らされ、質問された。
「で、何でつけてたのかな?」
俺が黙ってたら、アンドロマリウスが答えてくれた。
「あの子供が主殿にぶつかってきたのです。
主殿はそれを避けられたのですが、スリではないかと思い後をつけました」
「……なるほどね。何でつける必要があったのかな?」
「犯罪をしているなら、その元締めの所に行くと思ったからですね」
「元締めの居る場所を知ってどうするの?」
「主殿は“聖人様”なので、犯罪が許せなかったのでしょう」
「へ~、そうです……か…………え、聖人様?」
「はい。そうです」
見事な言い訳! さすが悪魔!
そして聖人様と聞いて驚く兵士。
これはヤバイ人を逮捕したと焦るパターンだな。あるある。
「聖人様って何?」
……まさかの知らないパターンだったとは。
「この国の王が認めた、神の使徒の事です。領主に聞けば分かる事ですね」
「……君達、王や領主の事を出して、ウソだったら大変な事になるよ? 判ってる?」
「事実なので、何の問題もありませんね。
ついでに言えば、ここに居る方はこの国の姫様ですよ」
そう言えば姫様も居たわ。
全然話さないから別の部屋に連れて行かれたかと思ってた。俺の後ろに立ってたのね。
振り返って見れば、姫様はまだ楽しそうな顔をしている。
こういう騒動も好きですか、そうですか。
「もっと言えば、今、同行していた王太子が領主の所に居ます。
問題になる前に、早く確認した方が良いですよ」
アンドロマリウスの脅しのようなセリフに焦ったのか、人を呼んで走らせた。
そして椅子を2脚持ってきて、アンドロマリウスと姫様を座らせた。
「……もし言っている事が事実でも、子供の後をつけていた事は事実だからね?
罪にはならないが、厳重注意はさせてもらうよ?」
あっ、職務に忠実な人だ。
ごめんなさい。
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