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082 バルバトス

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何とか頭を上げてもらい、逃げるようにその場を離れた。
結局泊まっている領主さんの所に戻る事になるんだけど。

戻った所で、王太子と相談する。

「もうカードも回収したし、問題も解決したから次に行かないか?」
「そりゃ良いけど……ヒントとやらがあるんじゃなかったのか?」
「あ~、そういえばそうだった」

すっかり忘れてたわ。
しかし、ヒントってどうやって探すんだよ……。

う~ん。一応、神がやってるゲームなんだよな?
RPGで街にヒントと言えば……村人から話を聞く? もしくは隠された場所がある?
この2つくらいしか思いつかないなぁ。

とりあえず村人から話を聞く方向で進めるか。
隠された場所は俺には見つけるのは無理。悪魔に頼って、同時進行するか?
うん。そうしよう。


翌日。
持っている悪魔のカードを見てみるけど、隠された場所を見つける能力の持ち主が居ない。
まぁ、そんなピンポイントな能力持ちが居たら、どんなご都合主義だよ!とツッコむけど。

悩んだけど、とりあえずこいつで良いか。


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バルバトス(双児宮)公爵
 姿:猟師の格好をした人間(男)
 能力:動物の声を理解する、宝物に仕掛けられている罠を外す
 備考:弓使い

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動物の声が理解出来るなら、鳥に見て貰って上空から探せば良い。
もし虫の声まで理解出来るなら、地下に隠されている場所も発見出来るかも、って思った。
ついでにもしそのヒントが宝箱に入っているなら、罠外しは重要。

早速召喚する。
現れたのは小柄な男性……いや子供?
猟師の格好をしているが、身長は140cmくらいで、耳が長い。エルフみたいだ。

「やっと呼ばれたぜ~! もっと頻繁に呼んでくれよ、リョーさん」

軽い。いや堅苦しいよりも良いけどさぁ。
俺はどっかの派出所に勤めてないぞ?

「えっと、エルフ?」
「あ~、違う違う。俺の種族はハーフリングってやつ。知らない? ホビットとか言われる時もあるんだけど」
「それ、聞いた事あるわ」
「だろ? ほら、有名なリングの物語にも出てくるだろ?」
「もしかして昔のゲーム? ディスクシステムとかの」
「違う違う! それはリンク! リングだってば! リングの物語!」 
「それは知らないなぁ」
「え~知らないの~? 有名な小説だし、映画にもなったじゃん」
「ごめん、知らない」
「か~! これだから最近の若い者は!」

子供に見えるヤツから若い者扱いされた。

「まぁ、良いや。で、何すんの? 狩り? それとも狩り? もしかしてハント?」
「狩り一択かよっ!」
「楽しいぜ? 行こうぜ」
「それは次回な。今回は捜し物のヒントを探すんだ」
「ややこしいなぁ」

言ってる俺もややこしいと思う。

「鳥と会話出来る?」
「ん? 会話は出来ねぇよ?」
「え? だって『動物の言葉を理解する』って書いてあったけど?」
「だから『理解』は出来る。『会話』は出来ねぇ」
「??」
「あーもう! 窓まで移動だ。ほら、あそこに鳥が見えるだろ?」

ちょっと離れた所の屋根の上に鳩みたいな鳥が止まっている。

「あいつは今『腹減った、虫出てこないかな、うわ、人間がこっち見てる、逃げようかな』って言ってる」
「へ~、そうなんだ」
「見てろよ。お~い、こっち来てくれ」

バルバトスは鳥に向かって声をかけた。
鳥は飛び立ったが、こちらに向かって来るのではなく、反対に遠ざかっていった。

「会話が出来るならこっちに来るだろ?
 あいつは飛ぶ前に『ビビったー! なんだよ大きい音させて! 他に行こ』って言ったんだ」

なるほど。それなら確かに会話ではなく、理解だ。

「え~と、虫の声は……?」
「いや、虫、鳴かねぇし」

何を当たり前の事を?みたいな感じで言われた。
そうだね。鳴かないね。音はさせるけどね。

あれ? 召喚失敗した?!
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