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078 BBQ
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「…………お前達、何をやってるんだ?」
「へ? 見て判らない? バーベキューだけど?」
王太子とアイザックさんが戻ってきて、開口一番に言ったセリフがこれだ。
どう見てもバーベキューでしょ。
まぁ、参加人数は多いけどさ。
「……経緯を説明してくれないかな?」
「えっと、フォルネウスが海産物を取ってきてくれてさ。
どうにかして食べようと考えてたら、聖王国に行ってた悪魔達が帰ってきて。
彼らが周囲で炭とか網とか買ってきて。
俺の持ってる調味料を使いながら焼いてたら匂いに街人が釣られてきて。
金は要らないけど、各自食材を持ってきたら参加可能ってアンドロマリウスが言って。
じゃあ俺は野菜、じゃあ私は飲み物、って感じで持ち込まれて。
気づいたらお祭りみたいなバーベキューになってる。はい、今ココね」
そうなんだよねぇ。
ちょっとしたお祭りみたいになってるんだ。
それもこれも、フォルネウスのせいなんだと俺は言いたい。
さすが悪魔だけあって、普通では水揚げされないような高級海産物を取ってくるのだ。
それを食材を持ってくるだけで食べられるとなれば、街人がフィーバーするのも判る。
そこで俺が「もっと取ってこれる?」とか言ったのが失敗だったかもしれない。
頼られたフォルネウスは、調子に乗ってバンバン高級海産物を取ってきた。
街人も俺を称えるから「あるじぃの偉大さが判るとは!」とか言って、街人のリクエストまで応じる始末。
「って事で、俺は悪くない。
もし怒られるんなら、ファーも一緒に怒られるべき。
そして集まった街人も怒ってくれ。
俺だけ怒るのは許さないぞ!」
「い、いや、怒らないけどな」
「じゃあなんだよ」
「呆れてるんだ」
「失礼だな! じゃあ君達は食わなくて良いよ」
「すみません。私は何も言っていません」
「おっとそうだね。ザックは参加してOK」
「裏切り者!」
しれっと王太子を売るアイザックさん。
さすが友人関係なだけはある。
「俺も参加すr……ちょっと待て。さっきなんて言った?」
「へ?」
「さっき『聖王国に行った』とか言って無かったか?」
「ん? ああ、言ったね。聖王国に行ってた悪魔達が帰ってきたって」
「……何をしに?」
「……さあ? アンドロマリウスに聞いたら良いよ。俺は関知してません!」
慌ててアンドロマリウスの所に向かう王太子。
アンドロマリウスは今、イカ焼き中。
そして王太子は、イカ焼きをもらいつつ、膝から崩れ落ちるという芸を披露した。
うん、見なかった事にしよう。
ホタテ貝のような貝を俺の横で食べている姫様から、驚いたような声が出た。
「どうしたの?」
「貝からハッカクが出たのよ」
「ハッカク?」
「知らない? これよ」
正八面体のサイコロのような石?を見せてくれた。
ボードゲームで使う八面体のサイコロみたい。
「食えるの?」
「食べられないわ。でもセネトとかに使えるから売れるのよ」
「セネト?」
「えっと、なんて説明したら分かりやすいかなぁ。
これに数字を書いて、転がして、コマを進めるゲームがあるの。それの名前がセネト」
「へ~」
あっ、思い出した。
地球にもあったぞ、それ。
古代エジプトに存在したボードゲームだろ。
「そういうゲームってあるんだね」
「大昔からあるわよ。今は色々と派生して、沢山種類があるわ」
そうだよな。
地球でも紀元前からあったボードゲームだ。
この世界にあっても不思議じゃない。
ちっ、サイコロを利用して、人生ゲームとか作ろうかな~とか思ったけどダメか。
しかし、正八面体なんかが貝から出てくるなんて、異世界ご都合主義かよ。
……いや待て。そんな事も無いな。
地球の自然界にも驚くようなキレイな形の物ってあるじゃないか。
蜂の巣とか、六角形だし。
異世界だからって、変な目で見ちゃダメだよねぇ。
「へ? 見て判らない? バーベキューだけど?」
王太子とアイザックさんが戻ってきて、開口一番に言ったセリフがこれだ。
どう見てもバーベキューでしょ。
まぁ、参加人数は多いけどさ。
「……経緯を説明してくれないかな?」
「えっと、フォルネウスが海産物を取ってきてくれてさ。
どうにかして食べようと考えてたら、聖王国に行ってた悪魔達が帰ってきて。
彼らが周囲で炭とか網とか買ってきて。
俺の持ってる調味料を使いながら焼いてたら匂いに街人が釣られてきて。
金は要らないけど、各自食材を持ってきたら参加可能ってアンドロマリウスが言って。
じゃあ俺は野菜、じゃあ私は飲み物、って感じで持ち込まれて。
気づいたらお祭りみたいなバーベキューになってる。はい、今ココね」
そうなんだよねぇ。
ちょっとしたお祭りみたいになってるんだ。
それもこれも、フォルネウスのせいなんだと俺は言いたい。
さすが悪魔だけあって、普通では水揚げされないような高級海産物を取ってくるのだ。
それを食材を持ってくるだけで食べられるとなれば、街人がフィーバーするのも判る。
そこで俺が「もっと取ってこれる?」とか言ったのが失敗だったかもしれない。
頼られたフォルネウスは、調子に乗ってバンバン高級海産物を取ってきた。
街人も俺を称えるから「あるじぃの偉大さが判るとは!」とか言って、街人のリクエストまで応じる始末。
「って事で、俺は悪くない。
もし怒られるんなら、ファーも一緒に怒られるべき。
そして集まった街人も怒ってくれ。
俺だけ怒るのは許さないぞ!」
「い、いや、怒らないけどな」
「じゃあなんだよ」
「呆れてるんだ」
「失礼だな! じゃあ君達は食わなくて良いよ」
「すみません。私は何も言っていません」
「おっとそうだね。ザックは参加してOK」
「裏切り者!」
しれっと王太子を売るアイザックさん。
さすが友人関係なだけはある。
「俺も参加すr……ちょっと待て。さっきなんて言った?」
「へ?」
「さっき『聖王国に行った』とか言って無かったか?」
「ん? ああ、言ったね。聖王国に行ってた悪魔達が帰ってきたって」
「……何をしに?」
「……さあ? アンドロマリウスに聞いたら良いよ。俺は関知してません!」
慌ててアンドロマリウスの所に向かう王太子。
アンドロマリウスは今、イカ焼き中。
そして王太子は、イカ焼きをもらいつつ、膝から崩れ落ちるという芸を披露した。
うん、見なかった事にしよう。
ホタテ貝のような貝を俺の横で食べている姫様から、驚いたような声が出た。
「どうしたの?」
「貝からハッカクが出たのよ」
「ハッカク?」
「知らない? これよ」
正八面体のサイコロのような石?を見せてくれた。
ボードゲームで使う八面体のサイコロみたい。
「食えるの?」
「食べられないわ。でもセネトとかに使えるから売れるのよ」
「セネト?」
「えっと、なんて説明したら分かりやすいかなぁ。
これに数字を書いて、転がして、コマを進めるゲームがあるの。それの名前がセネト」
「へ~」
あっ、思い出した。
地球にもあったぞ、それ。
古代エジプトに存在したボードゲームだろ。
「そういうゲームってあるんだね」
「大昔からあるわよ。今は色々と派生して、沢山種類があるわ」
そうだよな。
地球でも紀元前からあったボードゲームだ。
この世界にあっても不思議じゃない。
ちっ、サイコロを利用して、人生ゲームとか作ろうかな~とか思ったけどダメか。
しかし、正八面体なんかが貝から出てくるなんて、異世界ご都合主義かよ。
……いや待て。そんな事も無いな。
地球の自然界にも驚くようなキレイな形の物ってあるじゃないか。
蜂の巣とか、六角形だし。
異世界だからって、変な目で見ちゃダメだよねぇ。
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