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065 プライバシーは守りましょう

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「リビングってさっきまでの話には出てこなかったけど、どこにあるんだ?」
「円の中央にございます」

円形闘技場の中心って事か。
まぁ確かにどの部屋から行くにも等距離なので便利だ。

「そこにはどんな娯楽が?」
「リョー様の五感を使用された、VR空間がございます」
「……ん? 今、なんて言った? 俺の五感?」
「はい、その通りです。リョー様の、見た物、聞いた物、味わった物、触った物、嗅いだ物、それらが体感出来る場所です」

マジか?!
俺のプライバシー!!

焦ってる俺を見たアロケスが言い訳してきた。

「勿論! リョー様のプライベートな所は反映されないようになっております!
 トイレ、風呂、女性関係など、リョー様が他人には見られたくないと思われる時には遮断されます!」
「……本当に?」
「本当です! それを残念がっている悪魔が一部に居るほどですから!」

そんなんまで見たがるって、誰だよ!
判明したら、今後呼んでやらないんだからな!

「ちなみに、大きなオーロラビジョンも設置してあります。
 こちらはリョー様の視覚のみを反映しておりますが、そのような場合はこれも遮断されます」
「……そんな場合はどうなってるの?」
「海の映像と共に『しばらくお待ち下さい』というテロップが表示されます」

放送事故か!

「ふむ。それは便利だな」
「グラン、他人事だと思って何勝手な事言ってんだ」
「いやいや、考えてみろ。
 自分の視界には入るが、意識して見てない場所までが反映されているんだぞ?
 見逃した物も、それを見ていた悪魔に聞けば判明するだろ?」

むむっ、そう言われれば確かに。
よくある『一瞬見えたから二度見したけど、何も無かったので「気のせいか」と流す』って事は無くなるな。

「それは録画してるのか?」
「はい。録画されております。
 お陰でリョー様の好みが良く判ると評判で……いえ、何でもありません」

おい!
それって、俺が1週間で何を食べたかとか全部記録されてるって事だろ!
で、○○を何回食べたから、○○が好みとか研究してるって事。
何かを見てた秒数まで測ってないだろうな?


それにしても、俺の視界が娯楽って……。
聞くんじゃなかった。
今度ボードゲームとか購入してインベントリに入れておこう。
取り出さないから、それを使って遊んでて欲しい。

「五感を感じられるとの事だが、寝ている時はどうなのだ?」
「寝ている場合は、全身の触覚が稼働しております」
「んんっ? どういう事?」

王太子の質問は不思議な物だった。
それに対する回答も。意味がわからん。

「つまり触覚が稼働している事によって、空気の流れや気配を察知する事が出来ます。
 万が一、リョー様に不審者が近づいてきた場合、すぐに察知出来ます」
「それはリョーには知られる事が出来るのか?」
「部屋にボタンがありまして。それを押せば、リョー様を覚醒させられるとの事です」

おおっ! それは便利だ。
寝て無防備の時に、危険を察知して起こしてくれるなんて助かるぜ。
ただ、起こしてくれても、俺は戦闘力0なので、暗殺者とかが相手だとどうにもならないんだけど。

「ご安心下さい。そのボタンを押した者は、5分程自動召喚されます。
 その者が守っている間に、リョー様に起きて頂き新たな悪魔を召喚して頂ければ大丈夫です」

神様ありがとう。
俺は寝てても安全なんですね。

「勿論こちらも五感と連動しているようで、イタズラで押しても稼働致しません」

つまり咄嗟の危険とかじゃないと使えないと。
ま、俺が対処出来ない危険なんて沢山あると思うけどね。
自慢じゃないけど、普通の日本人だ。危機回避能力は低いぞ!
銃声がしても花火の音かと勘違いして立っている自信がある!

「ちなみに、神と話せる電話もついています」
「何だよそれ! 俺にもくれよ! 固定電話は無理だから携帯電話で! ガラケーで良いからさ!」
「今度、神に話しておきます」

頼むよ、本当に。
手紙で一方的に言われるのは困るんだ。

「最後に一つ聞いてもいい?」
「何でしょう?」
「生き物が入らないのは何故? 後、野菜などの植物も生きていると思うんだけど?」

確かに。野菜とかは収納出来る。
でも、あれも生きていると言える。

「それについては簡単です。ソロモン神殿には酸素が無いからです。
 つまり、生き物は収納出来ますが、その時点で死亡するでしょう」

理由は簡単だった。
酸素が無い。そりゃ生き物は無理だが、植物は入る。単純な答えだった。
悪魔って酸素が必要無いんだね……。
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