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058 バイモンの鑑定

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この国にあるヒントとは何だろう?
どこに行けば判るのだろうか?

待て待て。落ち着いて考えよう。
そもそも、捜し物はゲームのアイテム(?)のはず。
って事は、ゲームならではの手がかりがあるはずだ。
例えば村人に話を聞くとか、いかにもな洞窟や遺跡があるとか。
病気の人を治療すると、教えてくれるパターンもあるね。

「ねぇねぇ、ますたぁ」
「ん、んん? どうした?」
「もうすぐ時間になるよ? もう帰っても良いの?」

おっと、バイモンの帰還時間が来るようだ。
もう用事は無いかな?
ヒントについて聞きたいが、知らないだろうね。知ってたら言ってるだろうし。
能力の鑑定では判らないだろうし。

「帰られるのか?」
「そうだね。時間みたいだ」
「帰られる前に、我々も鑑定して貰えないだろうか?」
「えっ? 何で?」
「ギフトを知るには教会へ。レベルを知りたければ冒険者ギルドに行く必要がある。
 それよりもまとめて見てもらえる機会が折角あるのだ。教えて欲しい。
 それに、もしかしたら、それらよりも詳しいかもしれないじゃないか」

なるほど。
確かにあちこちに行って断片的に教えられるより、この場でまとめて知れた方が便利。

「バイモン、出来るかい?」
「うん!」
「じゃあ頼むよ」
「判った!」
「ちょっと待ってくれ。今、書く物を用意する」

メモっておくようだ。

準備が出来たようなので、早速鑑定してもらう。

「グランドア・ライツ・ストロングベリー王太子。通称「グラン」。20歳。
 ギフトは鍛冶。レベルは18で、経験値は7576」
「おおおっ!」
「どう? 普通よりも詳しい?」
「詳しい! 経験値なんかそんな細かく判らない!」

詳しいんだ。
俺には簡潔だな~って印象なんだが。
ゲームとかラノベのステータスだと、速さとかSAN値とか一杯でるからなぁ。

「もっと詳しく言えるよ? どうする?」
「まだ他に項目があるのか?! 是非教えて頂きたい!!」
「じゃあ言うね。
 趣味は読書。女性の好みは、長髪のお姉さんキャラ。性癖は……」
「止めて下さい。お願いします。どうかご勘弁を!!」

さすが悪魔。精神ダメージ攻撃とは。
こんなのバラされたら地獄だな。
ほら、アイザックさんも姫様も青ざめている。

「……止めてあげて」
「は~い。じゃあ、次はこの人ね!
 アイザック・ラベンダリー。近衛騎士。通称「ザック」。20歳。
 ギフトは調合。レベルは26で経験値は10403」
「そこまでで大丈夫です! ありがとうございます!」

あっ、止めた。
まぁ、続きはパーソナルな事だからねぇ、止めるよね。

それにしてもレベル26もあるのか。強いなぁ。さすが近衛騎士。

「じゃあ最後に。
 サイファ・ミカ・ストロングベリー第一王女。通称「ファー」。17歳。
 ギフトは理髪師+1。レベルは15で、経験値は6212」
「「「えっ?!」」」
「えっ? どうした?」
「私のギフトの+1って何?!」
「ギフトにプラスとかつかないの?」
「聞いた事が無いです!」
「グランもザックも知らないのか?」
「初めて聞いたぞ……」

そうなのか。
俺的には、ギフトとかスキルとかって鍛えたら+10とかなるイメージ。勿論ラノベ知識。

「バイモン、説明して」
「は~い。ギフトにもレベルがあって、鍛えたら上がるんだよ~。
 最大で+5まであるよ」
「最大まで上げたらどうなるのですか?」
「+1ごとに効果が決まってるの。
 +1で技術向上、+2で速度向上、+3で精密度上昇、+4で時間短縮、+5で全項目最大まで向上」

へ~。便利だね。
でもそれを職業にしてなきゃ意味無いか。

「あれっ? 何でファーは理容師のレベルが上がってるの? 鍛えたの?」
「鍛えた覚えは無いけど……あっ!」
「思い出した?」
「妹の髪を毎日整えてあげてたけど……関係あるのかなぁ?」
「関係あるよ~。それが原因だよ」

そうなんだ。誰かを散髪してるのかと思った。
でも美容師じゃないんだ。理容師なのね。
後、どうでも良いけど、妹居るんだ。

「これは大発見だぞ……」
「教会で判るんじゃなかった?」
「+1とか聞いた事が無い。と言うよりもギフトにレベルがあるという事自体知られていない!」
「へ~」
「大発見だぞ! へ~とは何だ! “聖人様”のレベルも上げられるんだぞ!」

そんなもん上げるつもりも無いし、必要も無いわ!!
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