上 下
53 / 186

053 スキルとかギフトとか何かそういうの

しおりを挟む
そう言えば思い出したけど、この世界にはステータス画面って無かったんだよね。
魔力を測る事でレベルは判るけど、その他の事は判らないんだろうか?

他人のを見る『鑑定』ってのは無いって神様の手紙には書いてあった。
他人のは見れないけど、自分のは?
ステータス画面以外で知る方法ってのは無いのだろうか?

ほら、異世界物だと、大体出てくるのがスキルってやつ。
あんなのは無いんだろうか?

「聞きたいんだけど、個人の魔力って調べられるでしょ?
 他に調べる事が出来る事って無いのか?」
「調べるって、例えば魔法道具とかを使って、という意味か?」
「そうだけど……それ以外に方法が?」
「いくらでもあるだろ。走って何m飛べるかとか、何kgまで持てるかとか」

あっ、確かに。
元の世界でも普通にしてる、筋力を数値化する方法だ。
いかん、異世界だからって、ステータスでしか知る方法が無いと思ってた。
決まった重さの物を持ち上げたりすれば、判明するじゃないか。

「兄様、ギフトがあるじゃないですか」
「ん? おお、そう言えばそうだったな」
「ギフト? スキルじゃなくて?」
「スキル? スキルってなんだ?」
「いや、知らないならいい。気にするな」

どうやらスキルってのは無いようだ。
その代わり、ギフトってのがあるらしい。

「で、そのギフトって何?」
「生まれた時に何らかの能力が神からもらえるというものだ。
 教会で調べる事が出来る」

あ~、ラノベで読んだ事があるわ、そういうの。
何も貰えなかった主人公がイジメられるんだよね。
もしくは役立たずと言われてる物を貰ってイジメられるけど、それを活用して成り上がる話。

「どんなのが貰えるの?」
「俺が貰ったのは“塗装”だな」
「私は“掃除”でした」

はぁ?! 塗装に掃除?!
王太子が塗装仕事するの? 姫様が部屋の掃除するの?
いや、別に仕事にする必要は無いか。趣味でも良いんだし。

それにそういうのを想像していない方向で利用して活躍するんでしょ?
例えば、塗装だったら、敵の魔法陣に上書き出来るとか。
掃除だったら、脳のゴミとか無理やりこじつけして、洗脳を解くとか。

「何を考えてるか知らないが、ギフトには大した力は無いぞ」
「えっ?! そうなの?!」
「ああ。俺の“塗装”だが、持っていない者よりも多少上手く塗れる程度だ。職人には敵わない」
「マジで?!」
「当たり前だ。研鑽した者の方が上手いに決まっている。
 だから“塗装”のギフトを持った熟練の塗装職人は人気があるぞ」
「その“塗装”ってギフトは他に使い道は無いのか?」
「この世界に人間が生まれると同時にギフトも誕生してと言われている。
 そんな歴史のあるものだ。当然使い方も研究されている。他の使い道は無い」

そりゃそうだよね。研究くらいするよね。
調べずに、使える使えないって決めつけないわな。

「じゃあさ、使えないギフトってのもあるんでしょ?」
「……ギフトの説明からした方が良さそうだ。
 言った通り生まれた時に神から授かる能力だ。だからギフト(贈り物)と呼ばれている。
 神から授かった物に使えないとか文句を言うのか? それは神への冒涜になる」

神を信じてる人達からすれば、確かに文句は言えないよね。

「それから、どんなギフトを貰おうと、それに追随する人生を歩む必要は無いとされている。
 今までに王でも“鍛冶”とか必要無いギフトをもらった人が居る。
 その人は唯一の跡取りだったが、王になるのを諦めて鍛冶屋になるのか?
 当然そんな事は無く、王になりちゃんと治めたぞ」

王族に生まれたからと、それ関係のギフトが貰える訳じゃないのね。
しかし、非常に分かりやすい例え話だ。
もし一般人から“王”なんてギフト持ちが生まれたら、王を交代するのかって事になってしまう。

「何ももらえなかった人は居たの?」
「俺の知る限りでは居ないな。もし居たとしても差別なんかしないぞ?
 それどころか、研究の為に教会が引き取るだろう」
「研究の為に引き取る?! 人体実験?!」
「アホか。ヘタすれば、人よりも良い生活を送れるわ」
「何で?」
「神からの贈り物を、神を信じる教会が調べるんだぞ? 非道な事をする訳がない。
 調べさせてもらうからと、高給を払う可能性も十分にある」

なるほどね~。
神を信じるからこそ、神からの贈り物にも敬意を払うと。
ラノベにある“ギフト至上主義”みたいなのは無理があるって事か。

「リョーさんは使徒なのに、ギフトの有効な使い方を知らないの?」

ははは、姫様。何言ってるの?
知る訳が無いじゃないか。出会っただけで使徒にされたんだよ?

「何も知らないなぁ」
「そうなの? じゃあ、使役してる悪魔も知らないのかな?」

なるほど!
カードの悪魔なら、俺の知らない事を知っていても不思議じゃない。
そういう事に詳しそうな悪魔を召喚して聞いてみるのも手だな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

婚約者に犯されて身籠り、妹に陥れられて婚約破棄後に国外追放されました。“神人”であるお腹の子が復讐しますが、いいですね?

サイコちゃん
ファンタジー
公爵令嬢アリアは不義の子を身籠った事を切欠に、ヴント国を追放される。しかも、それが冤罪だったと判明した後も、加害者である第一王子イェールと妹ウィリアは不誠実な謝罪を繰り返し、果てはアリアを罵倒する。その行為が、ヴント国を破滅に導くとも知らずに―― ※昨年、別アカウントにて削除した『お腹の子「後になってから謝っても遅いよ?」』を手直しして再投稿したものです。

処理中です...