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044 簡単な世界征服

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衝撃な話を聞いて、全員が唖然としている。
なのに、更に衝撃を追加してきた。悪魔か。悪魔だけど。

「私の能力は寝ている間も漏れていまして。時間の経過で薄まっていはいたと思いますが。
 この国は建国以来攻められていないでしょう? それは他国の人間の信頼を得ていたからです。
 勿論、私の能力で、ね」

マジか。
じゃあ俺が登録した事によって、その能力も封印されたって事?
良かったのかなぁ?

「ん? ちょっと聞きたいんだけど」
「どうしました、リョウスケ様?」
「確か能力は『教会や信者から信頼を得る事が出来る』だったよな?」
「その通りでございます」
「なら国民や他国の人間の信頼を得る事は出来ないんじゃないか?」
「この世界の人間は、大多数がフラウ神を信じております。
 そして各国の国教がフラウ神教で、それを支持しているのが国王なのです。
 という事で、国王に信頼を与える事が出来るのです」

えっ? なに、その抜け道みたいなの。
拡大解釈的なのでOKなの?
ズルくない?

「じゃあ、もし『俺にその能力を使って』って言ったら?」
「そこに居る国王が、国を譲ろうとしてくるでしょう。いえ、全ての国が譲ろうとするでしょう。
 苦労せずに世界征服が出来ますね」

笑いながら言う事じゃないだろ。
それにその場合、征服した後にベリアルが帰ったらすぐ反乱が起きるじゃないか!


そんなアホな話をしていると、王様が話しかけてきた。

「ベリアル殿、だったな。……この国はどうなるのだろうか?」
「脅かしてしまいましたかね。
 心配いりません。私の能力の恩恵を受けたのは初代の国王のみ。
 その後は、その信頼を親から子に伝えられただけでしょう。
 なので民から信頼されているのであれば、貴方達の統治が良かったからです。
 各国から攻められないのも、伝えられたという事もあるでしょうが、外交努力の賜物でしょう」
「そ、そうか……」
「しかし、政治の世界で汚職や犯罪が増えているのも事実。
 一度風紀を締め直した方が良いですよ?」
「……肝に銘じる」

上げて落とすなんて、さすが悪魔だ。
確かに、さっき逮捕者も出たもんな。

「皆の者、この事は他言無用だ。極秘扱いにする。判ったな」

王様が全員に口止めした。
こんな事、知られたくないよな。
下手すれば内乱が起きる。

ん? どうしたマリ。シャーとか言い出して。
扉を見てるな。何かあるのか?

バァーン!

「お父様! 何か開封するんですって! 私も見たい!!」
「サイファ!! 騒がしいぞ!!」
「すみません。でも見たいんだもの!」
「近衛兵は何をしていた!」

サイファって名前の女の子が乱入してきた。
マリはこれを警戒してたみたいだ。
王様をお父様って言うくらいだから、姫様だな。
見た目の年齢からいって、王太子の妹になるかな?

宰相は廊下に出て、警備してた兵士を捕まえて説教している。
誰も通すなと厳命しただろう!と怒っている。
でも、さすがに姫様は止められないだろ?
ラノベくらいの知識しか無いけど、触っただけでも『無礼者!』って言われそうだもん。

そのサイファ姫は、バラされた箱を興味深そうに見ている。
横で王様が怒ってるぞ。

しかし、サイファ姫。王様や王太子にあまり似てない。
キレイと言うよりもカワイイ系だね。
着ている服はヒラヒラの多い、ゴシック(?)な服で、そういうアイドルみたいだ。
ただ活発な人らしく、ちらっと見えてしまったんだけど、スカートの下に王太子みたいなパンツを履いてる。
靴もよく見ればヒールじゃない。ヒールっぽく見えるように作ってある。
あっ、王様から頭にゲンコツ食らった。

「いい加減にせんか!!」
「う~~、ごめんなさい。でも、でも……」
「お前のせいで近衛兵を処罰せねばならなくなるのだぞ! 自覚せよ!」
「私が悪いんだから、許してあげれば良いじゃない。王女を止められる訳無いでしょ?」
「自覚あるのか! なおたちが悪いわ!!」

あっ、もう一発食らった。自業自得だけど。

痛がるサイファ姫と、目が合ってしまった。
憐れむ目で見てたのがバレたのだろうか?

「え~と、貴方、客観的に見てどう思う? 私悪く無いよね?
 興味深い事をコソコソと私に隠してやってたお父様達がいけないよね?」
「……いや、アウトでしょ?」
「ここは救いの手を差し伸べる所だよ?! 王女が困ってるよ?!」
「いや、無理です。誰が見てもアウトですって」
「サイファ!!」

見事に三発目を食らったね。ギャフンって聞こえそうだったよ。
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