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039 能力披露
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「アンドロマリウスの能力は、『盗人と盗品を奪い返す』というものと、『裏取引や企みを看破』するというものです」
「盗人を奪い返すとは、どういう意味なのだ?」
「えっ? た、確かに変ですね……。アンドロマリウス、どうなの?」
「盗人をこの場に連れてくる事です」
「だそうです」
「それはどのように? 探して連れて来るのか?」
「アンドロマリウス?」
「見せた方がよろしいですね」
早速見せてくれるらしい。
でもちょっと待って。遠方で起きた盗難事件の犯人と物的証拠を出されても信憑性が無いぞ?
「ちょっと待って。もう少し詳しく話して。
その盗人ってのは何をどこから盗んだ、とか判る?」
「はい、主殿。その者はこの王城からミスリルを盗んでおります」
「何だと?!」
王様達が驚いている。
どうやら盗難に気づいてなかった様子。
しかし、やっぱ出てきたファンタジー鉱物であるミスリル!
取り返すんでしょ? 見れるじゃないか。
どんなのだろ? やっぱり光り輝いているのだろうか?
「正確に言えば、その盗人は実行犯であり、売りさばいた者です。
手引をした者は別におります。一番罪の重たい者から連れてくる事になります。
関わった者、全員を呼びますか?」
「陛下、どうしましょうか?」
「……まずはその実行犯をお願いしたい。それと盗品も同時にお願いできるだろうか?」
「だってさ」
「判りました」
アンドロマリウスの能力が見れるのか。
ちょっと楽しみだ。
やっぱり魔法陣とか出るのかな?
とか考えてたら、アンドロマリウスは指を鳴らした。
次の瞬間、俺達と王様との間に、知らない男と鉱物の塊が5つほど出現した。
えっ? 詠唱も魔法陣も無しなの?!
出現した男は、何が起こったのか判らず周囲をキョロキョロと見回している。
革で出来た鎧みたいなのを着てるし、腰にはナイフみたいなのを装備。
想像した冒険者そのものって感じだ。
すぐに周囲に居た兵士が飛び出して、その男は拘束された。
武器持ってるもんな。そりゃ捕まえるよね。
「ななななな、何が起こったんだ?! ここはどこだ?! 俺はさっきまでダンジョンに居たのに……」
混乱してるなぁ。
でも、説明的な発言ありがとう。
ダンジョンから飛ばされて来たのね。
そして出ましたファンタジー要素、ダンジョン!!
まぁ、俺には関係無いけど。
自ら進んで入ろうと思わない場所ナンバー1だ。
死地に赴こうなんて思う訳が無い。チート貰ってても行きたくないね!
「この者が犯人です。横のミスリルが、形は加工されていますが盗品です」
「……こんな量が盗まれていたのか。そ、そうだ! 内通者は?!」
「主殿、内通者も出しましょうか?」
「望んでるみたいだし、よろしく」
「判りました」
また指を鳴らすと、今度はスーツっぽい姿の人が目の前に現れた。
って、この格好。横に並んでる人達と同じじゃね?
「イ、インラム……お前が内通者だったのか」
「えっ? い、いやっ! 違います! 違います!!
こ、これはこやつらの陰謀です!! 私は何もしていない!!」
インラムって名前なのか。
まさかバレるとは思ってなかったんだろう。
しかも短距離転移されられたら、焦るよなぁ。
「そういえば、アンドロマリウスの能力に『裏取引や企みを看破』ってあったけど、この人がどうやったか判るの?」
「判ります。言いましょうか?」
「そうだね。この人の言い訳と一緒に聞いてみたいな。陛下、どうでしょうか?」
「お願い出来るか?」
「はい。じゃあよろしく」
「判りました。
建国期384年3月21日、14時43分。宝物庫の見張りの者に下剤入りの飲み物を差し入れする。
その際、なかなか手に入らない異国の果物が入っている特別な物、と説明。
『腹が一杯で残したが、捨てるのも惜しいので通り道にたまたま居たお前にやる』と言いました。
同日、15時03分。無駄話をそこでしていると腹痛が発生。体質に合わなかったのか?と言います。
そしてトイレに行っている間は自分が見張ってやる、飲ませた自分の責任だから、と言い追い払いました。
同日、15時05分。予め作成しておいた合鍵にて中に侵入し、内部より格子窓に腐食剤を塗布。
同日、15時11分。内部より脱出。
建国期384年3月22日、21時29分。忘れ物を取りに来たと入城。偽物のミスリルをマントに仕込んでました。
同日、21時36分。予め決めていた場所に偽物のミスリルを設置。
同日、21時44分。何も持たずに出城。門番にマントが無い事を指摘される。
目的の物も無かったし、取りに戻るのも面倒なので明日で良い、と言って誤魔化す。
これは後日犯罪が判明した場合に、アリバイとして使う為の工作です。
建国期384年3月23日、2時56分。そこの盗賊が城に侵入。
同日、3時01分。腐食した格子窓を破壊し内部に侵入。
同日、3時12分。偽物と本物をすり替える。
同日、3時21分。持ち込んだ塗料を使い、ミスリルを土色に塗装。
同日、3時31分。破壊した格子窓を偽物の格子窓と交換。
同日、3「ストップ!!」時38分……判りました」
「長いよ! 長い!! あ~、全部紙に書いてくれる? で、それを提出しよう」
「判りました」
本当はアンドロマリウスが言った事に反論させて、隙きをついて看破するような推理物みたいにする予定だったのに。
何もかも判明してるってインチキだよ。
インラムさんと盗人の人、顔面蒼白になってるじゃないか。
間違い無いよ。犯人だよ。
ズルいよ、アンドロマリウス。
「盗人を奪い返すとは、どういう意味なのだ?」
「えっ? た、確かに変ですね……。アンドロマリウス、どうなの?」
「盗人をこの場に連れてくる事です」
「だそうです」
「それはどのように? 探して連れて来るのか?」
「アンドロマリウス?」
「見せた方がよろしいですね」
早速見せてくれるらしい。
でもちょっと待って。遠方で起きた盗難事件の犯人と物的証拠を出されても信憑性が無いぞ?
「ちょっと待って。もう少し詳しく話して。
その盗人ってのは何をどこから盗んだ、とか判る?」
「はい、主殿。その者はこの王城からミスリルを盗んでおります」
「何だと?!」
王様達が驚いている。
どうやら盗難に気づいてなかった様子。
しかし、やっぱ出てきたファンタジー鉱物であるミスリル!
取り返すんでしょ? 見れるじゃないか。
どんなのだろ? やっぱり光り輝いているのだろうか?
「正確に言えば、その盗人は実行犯であり、売りさばいた者です。
手引をした者は別におります。一番罪の重たい者から連れてくる事になります。
関わった者、全員を呼びますか?」
「陛下、どうしましょうか?」
「……まずはその実行犯をお願いしたい。それと盗品も同時にお願いできるだろうか?」
「だってさ」
「判りました」
アンドロマリウスの能力が見れるのか。
ちょっと楽しみだ。
やっぱり魔法陣とか出るのかな?
とか考えてたら、アンドロマリウスは指を鳴らした。
次の瞬間、俺達と王様との間に、知らない男と鉱物の塊が5つほど出現した。
えっ? 詠唱も魔法陣も無しなの?!
出現した男は、何が起こったのか判らず周囲をキョロキョロと見回している。
革で出来た鎧みたいなのを着てるし、腰にはナイフみたいなのを装備。
想像した冒険者そのものって感じだ。
すぐに周囲に居た兵士が飛び出して、その男は拘束された。
武器持ってるもんな。そりゃ捕まえるよね。
「ななななな、何が起こったんだ?! ここはどこだ?! 俺はさっきまでダンジョンに居たのに……」
混乱してるなぁ。
でも、説明的な発言ありがとう。
ダンジョンから飛ばされて来たのね。
そして出ましたファンタジー要素、ダンジョン!!
まぁ、俺には関係無いけど。
自ら進んで入ろうと思わない場所ナンバー1だ。
死地に赴こうなんて思う訳が無い。チート貰ってても行きたくないね!
「この者が犯人です。横のミスリルが、形は加工されていますが盗品です」
「……こんな量が盗まれていたのか。そ、そうだ! 内通者は?!」
「主殿、内通者も出しましょうか?」
「望んでるみたいだし、よろしく」
「判りました」
また指を鳴らすと、今度はスーツっぽい姿の人が目の前に現れた。
って、この格好。横に並んでる人達と同じじゃね?
「イ、インラム……お前が内通者だったのか」
「えっ? い、いやっ! 違います! 違います!!
こ、これはこやつらの陰謀です!! 私は何もしていない!!」
インラムって名前なのか。
まさかバレるとは思ってなかったんだろう。
しかも短距離転移されられたら、焦るよなぁ。
「そういえば、アンドロマリウスの能力に『裏取引や企みを看破』ってあったけど、この人がどうやったか判るの?」
「判ります。言いましょうか?」
「そうだね。この人の言い訳と一緒に聞いてみたいな。陛下、どうでしょうか?」
「お願い出来るか?」
「はい。じゃあよろしく」
「判りました。
建国期384年3月21日、14時43分。宝物庫の見張りの者に下剤入りの飲み物を差し入れする。
その際、なかなか手に入らない異国の果物が入っている特別な物、と説明。
『腹が一杯で残したが、捨てるのも惜しいので通り道にたまたま居たお前にやる』と言いました。
同日、15時03分。無駄話をそこでしていると腹痛が発生。体質に合わなかったのか?と言います。
そしてトイレに行っている間は自分が見張ってやる、飲ませた自分の責任だから、と言い追い払いました。
同日、15時05分。予め作成しておいた合鍵にて中に侵入し、内部より格子窓に腐食剤を塗布。
同日、15時11分。内部より脱出。
建国期384年3月22日、21時29分。忘れ物を取りに来たと入城。偽物のミスリルをマントに仕込んでました。
同日、21時36分。予め決めていた場所に偽物のミスリルを設置。
同日、21時44分。何も持たずに出城。門番にマントが無い事を指摘される。
目的の物も無かったし、取りに戻るのも面倒なので明日で良い、と言って誤魔化す。
これは後日犯罪が判明した場合に、アリバイとして使う為の工作です。
建国期384年3月23日、2時56分。そこの盗賊が城に侵入。
同日、3時01分。腐食した格子窓を破壊し内部に侵入。
同日、3時12分。偽物と本物をすり替える。
同日、3時21分。持ち込んだ塗料を使い、ミスリルを土色に塗装。
同日、3時31分。破壊した格子窓を偽物の格子窓と交換。
同日、3「ストップ!!」時38分……判りました」
「長いよ! 長い!! あ~、全部紙に書いてくれる? で、それを提出しよう」
「判りました」
本当はアンドロマリウスが言った事に反論させて、隙きをついて看破するような推理物みたいにする予定だったのに。
何もかも判明してるってインチキだよ。
インラムさんと盗人の人、顔面蒼白になってるじゃないか。
間違い無いよ。犯人だよ。
ズルいよ、アンドロマリウス。
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