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037 無茶振り
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「では、この場で悪魔を召喚してみてくれ」
王様、突如として無茶振り。
さすがに俺でも判る。NG項目でもあるし。
王様の横に居る宰相?さんも怒ってるし、周囲に居るスーツ族も抗議している。
平然としているのは、王様と王太子、後はアイザックさんだけ。
俺はといえば、オロオロしてます。
それはダメだろ、でも王様からの命令だし、でも呼んだ途端に俺殺されるんじゃね? でも命令だし。
呼んだら無礼討ち、呼ばなきゃ命令無視でやっぱり無礼討ち。
あれ? 詰んでね? 助けて!
「静まれ」
「陛下! こればかりは看過出来ません!」
「グランドアが確認済みの事をここでも披露してもらうだけだ」
「その時が偽りの行動の可能性もあります!」
「目の前の“聖人様”がか? 今現在、どう見ても狼狽えておるが?」
「悪魔を使役出来るのであれば、誤魔化している可能性もあります!」
悪魔の能力を使えば、洗脳出来るって?
うん、その可能性はあるね。
ヤバそうな能力ばっかだったし。
でも、そんな事するメリットが無い。
もしバレた時、大変そうだし。
争うよりも話し合いで解決したいんですよ、俺。
平和主義者なんです。騙し合いとか向いてません。
罪悪感無しにそういう事が出来る、異世界転生者とか尊敬します。
「つまりお前達は“聖人”というのは嘘、神がこの世界を救う為に送り込んだ使徒ではない、と言うのか?
もし事実ならどうする? 使徒を疑って、その後助けてもらえると?
私は信じる。信じるから助けて頂きたい。信じぬ者は助けは要らぬと言っていると同義だと思え」
「……で、では、事実としましょう。
しかし! この場でそれを証明する必要は無いはずです!
広場でお披露目して頂き、その報告をお待ち下さい」
「この国の王は臆病者だと広めたいのか?」
「で、では、陛下は遠くから御覧ください」
「それでも同じではないか!」
あ~、何か呼ぶ方向に話が進んでます。
俺は放置ですか。いや、良いんですよ。放置しておいてください。
放置どころか、帰って良いですか?
「とにかく! この場で悪魔を召喚して頂く!
“聖人様”が信じられぬ者、悪魔が怖い者、王である私が信用した者を信じられない者は、この場から退出する事を許可する」
外部の人間なので傍観してますけど、その言い方がズルいんじゃないかな~と思う。
そう言われて出ていく人なんか居ないでしょ。
出ていったら『アイツ、王様を信じてないぜ』って陰口言われるに決まってる。
そんな事を考えてたら、とうとうこっちにお鉢が回ってきた。
「騒がして済まなかった、“聖人様”よ。
意見は一致したので、この場で悪魔を召喚していただけないだろうか?」
一致してませんよ。
恐れている人、怒っている人、困っている人、そんな人達ばかりじゃないですか。
そんな事言えないけど。
「え、えっと……どのような悪魔を召喚すれば良いですか?」
「そうでしたな。多数の悪魔を従えていらっしゃった。
では、異形の者と判る姿の者と、普通の姿の者をお願い出来ますかな?
出来れば、能力をこの場で披露出来る者が望ましいのだが」
「わ、判りました。
え~、今からカードを手に出しますけど……大丈夫ですか?」
兵士さんが、腰に付けてる剣に手をかけてるのが見えるんですよ。
カードを出した瞬間、斬り殺されそうで怖い。
「カードを使って召喚されるのでしたな。皆の者、動くなよ」
「恐れながら、陛下」
「なんだ?」
「ダーム近衛騎士団長を御身の前に立たす事だけは了承してください」
「……判った、許可しよう。しかし、私に断りなく動く事は許さん。
たとえ“聖人様”がどんな動きをしようともだ。判ったな?」
「……判りました」
鎧を着た、いかにも強そうな兵士さんが王様の前に。
そのまま俺を睨んでます。トイレ行きたい。チビリそう。
「じゃ、じゃあ、カードを出しますね……」
「うむ。おい、ダームよ。見えぬ。もう少しズレろ」
「……はっ」
カードを出すだけなんで、見えなくても良いですよ。
俺は手元にカードを出す。
手品みたいに突然出てくるんだよね。
出る時に光るとかの演出があれば、それっぽかったかもね。
「では、カードを選びます」
「うむ」
2枚選ぶのか……。何が良いだろう?
幸いここに来るまでは近衛騎士の護衛で安全だったので、使用していない。
なので、全カードが召喚可能となっている。
異形な者と普通の者か。
ウィネとかザガンはどうだろう? 異形じゃないか?
ウィネは馬に乗ったライオンだし、ザガンは翼を持った牛だ。
……あっ、ダメだ。能力がヤベェ。
ウィネの能力は塔建設破壊。ここに塔なんか作れないし、この城を破壊する事になれば大問題確定。
ザガンの能力『金属をその地域の硬貨に変える』なんて、逮捕だろ。貨幣偽造なんて大犯罪だ。
兵士の格好の者もダメだな。
この場に兵士を呼ぶなんて、危害を加えると言われても反論のしようが無い。
普通の者は、やはり安定のアンドロマリウスかな?
執事っぽいし。能力は……盗人と盗品を奪い返す、裏取引や企みを看破か。
この城から無くなった物を回収すれば、信用されるかな?
……俺が盗ったって疑われないよね?
異形の者は……そうだ、手に入れたばかりのシトリを呼ぶか。
豹の頭とグリフォンの翼を持つ女性って、異形っぽいだろ。
まだ召喚してないしね。
能力は使わせない方向で。
この場に居るのは男(オッサン)ばかりなので、脱衣は勘弁です。
王様、突如として無茶振り。
さすがに俺でも判る。NG項目でもあるし。
王様の横に居る宰相?さんも怒ってるし、周囲に居るスーツ族も抗議している。
平然としているのは、王様と王太子、後はアイザックさんだけ。
俺はといえば、オロオロしてます。
それはダメだろ、でも王様からの命令だし、でも呼んだ途端に俺殺されるんじゃね? でも命令だし。
呼んだら無礼討ち、呼ばなきゃ命令無視でやっぱり無礼討ち。
あれ? 詰んでね? 助けて!
「静まれ」
「陛下! こればかりは看過出来ません!」
「グランドアが確認済みの事をここでも披露してもらうだけだ」
「その時が偽りの行動の可能性もあります!」
「目の前の“聖人様”がか? 今現在、どう見ても狼狽えておるが?」
「悪魔を使役出来るのであれば、誤魔化している可能性もあります!」
悪魔の能力を使えば、洗脳出来るって?
うん、その可能性はあるね。
ヤバそうな能力ばっかだったし。
でも、そんな事するメリットが無い。
もしバレた時、大変そうだし。
争うよりも話し合いで解決したいんですよ、俺。
平和主義者なんです。騙し合いとか向いてません。
罪悪感無しにそういう事が出来る、異世界転生者とか尊敬します。
「つまりお前達は“聖人”というのは嘘、神がこの世界を救う為に送り込んだ使徒ではない、と言うのか?
もし事実ならどうする? 使徒を疑って、その後助けてもらえると?
私は信じる。信じるから助けて頂きたい。信じぬ者は助けは要らぬと言っていると同義だと思え」
「……で、では、事実としましょう。
しかし! この場でそれを証明する必要は無いはずです!
広場でお披露目して頂き、その報告をお待ち下さい」
「この国の王は臆病者だと広めたいのか?」
「で、では、陛下は遠くから御覧ください」
「それでも同じではないか!」
あ~、何か呼ぶ方向に話が進んでます。
俺は放置ですか。いや、良いんですよ。放置しておいてください。
放置どころか、帰って良いですか?
「とにかく! この場で悪魔を召喚して頂く!
“聖人様”が信じられぬ者、悪魔が怖い者、王である私が信用した者を信じられない者は、この場から退出する事を許可する」
外部の人間なので傍観してますけど、その言い方がズルいんじゃないかな~と思う。
そう言われて出ていく人なんか居ないでしょ。
出ていったら『アイツ、王様を信じてないぜ』って陰口言われるに決まってる。
そんな事を考えてたら、とうとうこっちにお鉢が回ってきた。
「騒がして済まなかった、“聖人様”よ。
意見は一致したので、この場で悪魔を召喚していただけないだろうか?」
一致してませんよ。
恐れている人、怒っている人、困っている人、そんな人達ばかりじゃないですか。
そんな事言えないけど。
「え、えっと……どのような悪魔を召喚すれば良いですか?」
「そうでしたな。多数の悪魔を従えていらっしゃった。
では、異形の者と判る姿の者と、普通の姿の者をお願い出来ますかな?
出来れば、能力をこの場で披露出来る者が望ましいのだが」
「わ、判りました。
え~、今からカードを手に出しますけど……大丈夫ですか?」
兵士さんが、腰に付けてる剣に手をかけてるのが見えるんですよ。
カードを出した瞬間、斬り殺されそうで怖い。
「カードを使って召喚されるのでしたな。皆の者、動くなよ」
「恐れながら、陛下」
「なんだ?」
「ダーム近衛騎士団長を御身の前に立たす事だけは了承してください」
「……判った、許可しよう。しかし、私に断りなく動く事は許さん。
たとえ“聖人様”がどんな動きをしようともだ。判ったな?」
「……判りました」
鎧を着た、いかにも強そうな兵士さんが王様の前に。
そのまま俺を睨んでます。トイレ行きたい。チビリそう。
「じゃ、じゃあ、カードを出しますね……」
「うむ。おい、ダームよ。見えぬ。もう少しズレろ」
「……はっ」
カードを出すだけなんで、見えなくても良いですよ。
俺は手元にカードを出す。
手品みたいに突然出てくるんだよね。
出る時に光るとかの演出があれば、それっぽかったかもね。
「では、カードを選びます」
「うむ」
2枚選ぶのか……。何が良いだろう?
幸いここに来るまでは近衛騎士の護衛で安全だったので、使用していない。
なので、全カードが召喚可能となっている。
異形な者と普通の者か。
ウィネとかザガンはどうだろう? 異形じゃないか?
ウィネは馬に乗ったライオンだし、ザガンは翼を持った牛だ。
……あっ、ダメだ。能力がヤベェ。
ウィネの能力は塔建設破壊。ここに塔なんか作れないし、この城を破壊する事になれば大問題確定。
ザガンの能力『金属をその地域の硬貨に変える』なんて、逮捕だろ。貨幣偽造なんて大犯罪だ。
兵士の格好の者もダメだな。
この場に兵士を呼ぶなんて、危害を加えると言われても反論のしようが無い。
普通の者は、やはり安定のアンドロマリウスかな?
執事っぽいし。能力は……盗人と盗品を奪い返す、裏取引や企みを看破か。
この城から無くなった物を回収すれば、信用されるかな?
……俺が盗ったって疑われないよね?
異形の者は……そうだ、手に入れたばかりのシトリを呼ぶか。
豹の頭とグリフォンの翼を持つ女性って、異形っぽいだろ。
まだ召喚してないしね。
能力は使わせない方向で。
この場に居るのは男(オッサン)ばかりなので、脱衣は勘弁です。
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