上 下
34 / 186

034 王都への道中(雑談2)

しおりを挟む
「そう言えば、さっき貴族の子供の話が出ましたけど。
 『俺は伯爵家だぞ! 逆らうなんて生意気だ!』とか言うような子供とか居ないんですか?」
「稀に居るな」
「そういう子はどうなるんです?」
「まず、家が潰れる」

はぁ?!
展開が早い!!

「子供をそういう風に教育したのは親だからな。親も権力というものを勘違いしていると判断される」
「家庭教師とかが教えているんじゃないですか? そっちの責任じゃ?」
「その家庭教師を選んだのは? 当然、親だ。見る目の無い貴族なんか不要じゃないか」

怖っ! 厳しっ!

「ははっ。まぁ、それは極端な例だ。
 実際はその子供は病気になるくらいだ。家の格は落ちるだろうがね」
「また出た、病気! 幽閉が好きなの?って思うくらい出てくる!」
「家の恥だぞ? 実際貴族の場合は再教育した上で幽閉はしないよ」
「そうなの?」
「その代わり勘当されて放逐される。一般人になるって事だ。
 生かされているよりも優しいだろ?」

貴族だからって偉そうにしてたヤツが権力ゼロになって放逐?
優しいかな? 生きていくのも辛そうだけど。



「そろそろ、街に到着します」
「お、そうか」

話をしてたら、もう夕方だった。

この国は街から街までの距離は、馬車で半日になるようになっているそうだ。
魔物が居る世界だから野宿とかしないようになっているんだってさ。
その限りではない場合は、その場所に砦を作って安全を確保出来るようになっているらしい。
空を飛ぶ魔物に対しては意味無いが、それでも安心感が違うね。

そのまま宿に直行。
着いたばかりなのに部屋がある不思議。
って思ったら、街に着く前に近衛騎士の一人が先行して予約してたらしい。
先触れって言うんだってさ。

俺の部屋は206か。
この世界でも2階の6号室なら206って言うんだね。
“ドラゴンの間”みたいな中二病的な部屋名じゃなくて良かった。

部屋に入るとベッドが3つ。
3人部屋か。これを一人で使うなんて贅沢だな。
もしかしたら満室なのかもね。空いてる部屋なら何でも良いって取ったのかも。

「入らないのか?」
「……現実逃避中です」

うん、判ってた。
薄々そうじゃないかな~とは思ってたよ。
王太子と同部屋ですね。
もう一人はアイザックさんですか。

「今更かもしれませんけど、何で同室なんです?」
「2つの理由がある。聞きたいか?」
「是非お願いします」
「1つはリョウスケ殿の心配だ。
 一人部屋にしたら、自身の安全の為に悪魔を召喚するだろ?
 その悪魔が何かのきっかけで暴走されては困る。なので召喚しなくとも良いように同室なのだ」
「もう一つの理由は?」
「私の安全の為だ。王太子だから狙われる事もある。
 だが、襲う為に部屋に来ても、数秒耐えればリョウスケ殿が悪魔を召喚するだろう?
 そうすれば確実に防げるだろ? まさか自分だけ助かろうとは考えないよな?」
「そりゃ王太子を助けないって選択肢は無いですよ。
 同室なのに、自身だけ守って王太子に死なれたなんてなったら、この国に居られなくなるでしょうし」
「だから同室の方が良い。納得出来たか?」
「……俺のプライベートは?」
「何だ? 何かするのか?
 もしかして華でも呼ぶつもりか? さすがにセキュリティの事もあるから許されないぞ?」
「華? 華って何です?」
「知らないのか? 春を売る女の事だ。隠語の類だな」
「呼びませんよ!」

俺を何だと思っているのか。
こんな状況で女遊び出来る程、能天気じゃないよ。
えっ? 状況が違うなら遊ぶのかって? はははは、ノーコメントで。
そんなの居るのか。メモメモ。

「部屋の事は決定事項だ。諦めろ。次回からは少しは考慮してやるから。
 それよりも今後について会議をするぞ」
「今後? 会議?」
「謁見の事とかあるが、それよりも早急に決める事がある」
「何です?」
「俺たちの事だ」

はぁ? この3人の事?
何かあったっけ?
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜

月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。 蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。 呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。 泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。 ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。 おっさん若返り異世界ファンタジーです。

ひだまりを求めて

空野セピ
ファンタジー
惑星「フォルン」 星の誕生と共に精霊が宿り、精霊が世界を創り上げたと言い伝えられている。 精霊達は、世界中の万物に宿り、人間を見守っていると言われている。 しかし、その人間達が長年争い、精霊達は傷付いていき、世界は天変地異と異常気象に包まれていく──。 平凡で長閑な村でいつも通りの生活をするマッドとティミー。 ある日、謎の男「レン」により村が襲撃され、村は甚大な被害が出てしまう。 その男は、ティミーの持つ「あるもの」を狙っていた。 このままだと再びレンが村を襲ってくると考えたマッドとティミーは、レンを追う為に旅に出る決意をする。 世界が天変地異によって、崩壊していく事を知らずに───。

異世界転移で無双したいっ!

朝食ダンゴ
ファンタジー
交通事故で命を落とした高校生・伊勢海人は、気が付くと一面が灰色の世界に立っていた。 目の前には絶世の美少女の女神。 異世界転生のテンプレ展開を喜ぶカイトであったが、転生時の特典・チートについて尋ねるカイトに対して、女神は「そんなものはない」と冷たく言い放つのだった。 気が付くと、人間と兵士と魔獣が入り乱れ、矢と魔法が飛び交う戦場のど真ん中にいた。 呆然と立ち尽くすカイトだったが、ひどい息苦しさを覚えてその場に倒れこんでしまう。 チート能力が無いのみならず、異世界の魔力の根源である「マナ」への耐性が全く持たないことから、空気すらカイトにとっては猛毒だったのだ。 かろうじて人間軍に助けられ、「マナ」を中和してくれる「耐魔のタリスマン」を渡されるカイトであったが、その素性の怪しさから投獄されてしまう。 当初は楽観的なカイトであったが、現実を知るにつれて徐々に絶望に染まっていくのだった。 果たしてカイトはこの世界を生き延び、そして何かを成し遂げることができるのだろうか。 異世界チート無双へのアンチテーゼ。 異世界に甘えるな。 自己を変革せよ。 チートなし。テンプレなし。 異世界転移の常識を覆す問題作。 ――この世界で生きる意味を、手に入れることができるか。 ※この作品は「ノベルアップ+」で先行配信しています。 ※あらすじは「かぴばーれ!」さまのレビューから拝借いたしました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗
ファンタジー
ただのサッカーマニアである青年ショーキチはひょんな事から異世界へ転移してしまう。 その世界では女性だけが行うサッカーに似た球技「サッカードウ」が普及しており、折りしもエルフ女子がミノタウロス女子に蹂躙されようとしているところであった。 更衣室に乱入してしまった縁からエルフ女子代表を率いる事になった青年は、秘策「Tバック」と「トップレス」戦術を授け戦いに挑む。 果たしてエルフチームはミノタウロスチームに打ち勝ち、敗者に課される謎の儀式「センシャ」を回避できるのか!? この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

処理中です...