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033 王都への道中(雑談1)

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現在王都に向かっている最中です。
と言うか、王族専用の馬車に乗せられドナドナ状態です。
謁見しに王都へ行くなんて……どんな罰ゲームだよ。

そりゃ権力と仲良しの方が、何かと有利に働くだろうさ。
敵対するよりも良いに決まっている。
でもさ、王太子が報告すればそれで良くない?

ちなみに今は悪魔を召喚していない。
近衛騎士が周囲を護衛しているから、危険は無いとの事だから。

「どうしても行くんですか?」
「その質問、何回目だ? 行くに決まっているだろ」
「だって……」
「よし。納得するまで話してやろうじゃないか」

え~、説得モードですか?
絶対に負けるに決まっているんですけど。

「まず、既に行く事を書いた書簡を送っている。今更予定は変えられない」
「書簡? ああっ! ギルドで書いてたやつか!」
「その通り。王都では受け入れ体制が整っているだろう。
 行かないと言うなら、準備にかかった費用、ドタキャン料金を払ってもらう事になるが?」
「ドタキャン料! 別に俺が予約した訳じゃないんですけど!」

居酒屋に行くみたいなノリで言わないで欲しい。

「まぁ、半分冗談だが。しかし準備は進んでいる。今更止めるというのは非現実的だ」
「だから、俺が頼んだ訳じゃないんですけど……」
「次に。私が現在権限を持っているのは、陛下から命じられたからだ。
 以後リョウスケ殿をサポートするには、新たに命じられなくてはならない」
「王太子でもですか?」
「王太子だからと権力を持っている訳ではない」

王太子って、次期国王だよね?
何で権力を持ってないの?
一般人からすると、めちゃくちゃ権力を持っているように見えるけど。

「次期国王なのに権力が無いんです?」
「次期だからこそな。自分の力で集めたコネや人脈を使うくらいは出来るが、国家権力は使えないぞ」
「アイザックさんは?」
「アイザックは学友だ。近衛騎士でもあるがな」

そんなもんなの?
ラノベではもっと偉そうだけど。

「じゃあ、王様が決めた婚約を勝手に破棄とかしないんですか?」
「なんだそれは? 出来る訳ないだろ」
「他に好きな人が出来ても? 好きな人を婚約者がイジメたとしても?」
「いやいや、婚約してるのに他に好きな人が出来るって時点でおかしい」
「でも恋に落ちるのは一瞬ですよ?」
「だとしても、王族が恋で義務を放棄する事は無い。
 どうしても添い遂げたければ、そうだな……継承権を放棄して民間人として監視の中で暮らすしかないだろうな」
「何で?!」
「継承権を放棄しないと義務を放棄出来ない。継承権を放棄すれば王族でも貴族でも無くなるから一般人だ。
 監視されるのは、元王族と言う血を使われないようにする為だ」

何それ。王族って厳しい!

「強力な権力を持っているんだ。それくらいの義務があるのは当然だ」
「でも、婚約者がイヤなやつでもですか?」
「……お前の話だと、勝手に好きな人を作り婚約破棄しようとしているのだろう?
 なら、それを諌める為に行動しているんじゃないのか? 王太子から見ればイヤなやつに見えるだろう」
「え~……」
「王の決定を覆すには、王に進言して変えてもらうしかない。それほどに王の決定は絶対なのだ。
 それも判らない王族はいない。そういう教育を受けているからな。
 そんな事を言い出すアホな王太子は、すぐに再教育か、病気になるだろうな」
「病気?」
「ああ。難病にかかったという事で、幽閉されて二度と表には出てこないだろう。
 ついでに言っておくが、貴族でも同じ事だから。貴族の子供だからって偉くないからな?」

そんな話あったわ。
実際にあるのね、そういう事って。怖い。

「アホな王太子の話はもう良い。これほど王の権力が大きいというのは判っただろう?
 だからこそ謁見し、王よりリョウスケ殿を保証してもらえば、どれだけメリットになるか判るだろ?」
「た、確かにデカいですね」
「デメリットは……この国の王に会うリョウスケ殿のストレスくらいだ」
「笑い事じゃないんですけど!!」

グラシアとかを呼んでモフモフしたい……。
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