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028 アイザックさんの変化
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アモンの動きが止まる。
そしてしっぽの蛇がアイザックさんを見る。
その目は怪しく赤く光っている。
「だ、大丈夫ですか、アイザックさん?」
「はい。特に違和感等はありませんね。結界に守られたのでしょうか?」
「どうなの? アモン?」
「確かに結界はあります。しかし、魔法や物理攻撃では無いので、意味がありません。
確実に作用しています」
「でも、効いてないって言ってるぞ?」
「それはまだ対象を視認していないからでしょう」
「王太子を対象にしたんじゃないのか? 誰にした?」
「後々問題にならぬように、そこの男を対象にしました」
そこの男?
アモンの視線の先にはギルドマスターが居た。
「俺か?!」
「ほう。アモン殿、考慮して頂きありがとう。どうだ、アイザック」
「むむ……。確かに! 王太子がおられる前で『俺か』と言うとは不敬だと思ってしまいました」
えっ? それは普通じゃね?
「リョウスケ殿も同じような口調だが?」
「そちらは全くと言ってよいほど、違和感がありません」
俺は許されてるのか。
って、俺の口調も問題なのね!
そりゃそうか。この国のトップに近い人だもんな。ヤバいヤバい。
「ここのギルドマスターとは何度も話している。
口調についても、私が許可している。アイザックはその場にも居た。
その時から不敬だと思っていたか?」
「いえ。許可される前から問題無いと思っていました」
おいおい、アイザックさん。
そこは不敬だぞって怒ろうよ。
俺が言える義理じゃないけどさぁ。
「ふ~む。他には?」
「言われれば確かに体型にも不満が出てきますね」
「具体的には?」
「冒険者ギルドのギルドマスターなのだから、もう少し鍛えた方が良いのでは、と」
王太子は何か判ったのか、ふむふむと頷いている。
俺にはさっぱり判りませんけど。
辛辣な意見を言っているな~くらいにしか思えません。
「よく判った。アモン殿、止めてもらえるか?」
「アモン、終了だってさ」
「はい、マスター」
「アモン殿の能力は強力だという事が判った。
アイザックや他の者も理解したな?」
「はい。恐ろしい能力です」
俺以外の人達がビビった顔で頷いている。
え? この中で理解出来てないのって俺だけ?
「あの~……、俺は理解出来て無いんですけど…………」
「あぁ、リョウスケ殿は使役する側だからな、判らないのも無理は無い。
ここのメンバーとも初対面だし」
「説明してもらっても良いですか?」
「能力『不和を引き起こす』というものは、無理矢理不和にするのではない」
「へ?」
「つまり、我々の中にある、妬み嫉み恨み、こういった負の感情を増幅していると思われる。
本人が気づいてないような些細な気になった事でも、増幅して表に出してくるのだ。
気づいてなかった部分を気づいていまえば、それは意識してしまう。
そういうのが多数出てくれば、アモン殿が能力を止めたところで気になってしまうだろう。
一度他人に不信感を持ってしまえば、それを払拭するのは難しい」
確かに!
俺には幼馴染が居た。男だけどさ。
子供の頃はよく一緒に遊んだものだ。
それが大人になり、一緒に酒を飲む機会があった。
その時に、そいつが酒癖が悪いって事が判明したんだ。いわゆる絡み酒ってやつだ。
バカにするような事を言ってくる、挑発してくる、俺の趣味について口を出してくる。
最後には金も払わずトイレに行くと言いながらどこかに行ってしまった。
次の日に金は払ってくれたのだが、その時の所作が俺の心に棘が刺さったようにチクリときたんだ。
それから少しづつ疎遠になっていった。
一緒に居ると、今まで気づかなかったそいつの悪い所が判るようになってきたから。
これ以上嫌いになる前に、会わない方が良いって感じたんだよな。
これを全ての人間を対象としてやられる?!
恐怖でしかない!
そりゃ人間不信になって自殺もしたくなるかも!
なるべくアモンの能力は使わない事にしよう。
いや、悪魔全般の能力は危険だ。
目に見えるヤバい能力も危険だが、見えない能力の方が何倍も怖いわ!
そしてしっぽの蛇がアイザックさんを見る。
その目は怪しく赤く光っている。
「だ、大丈夫ですか、アイザックさん?」
「はい。特に違和感等はありませんね。結界に守られたのでしょうか?」
「どうなの? アモン?」
「確かに結界はあります。しかし、魔法や物理攻撃では無いので、意味がありません。
確実に作用しています」
「でも、効いてないって言ってるぞ?」
「それはまだ対象を視認していないからでしょう」
「王太子を対象にしたんじゃないのか? 誰にした?」
「後々問題にならぬように、そこの男を対象にしました」
そこの男?
アモンの視線の先にはギルドマスターが居た。
「俺か?!」
「ほう。アモン殿、考慮して頂きありがとう。どうだ、アイザック」
「むむ……。確かに! 王太子がおられる前で『俺か』と言うとは不敬だと思ってしまいました」
えっ? それは普通じゃね?
「リョウスケ殿も同じような口調だが?」
「そちらは全くと言ってよいほど、違和感がありません」
俺は許されてるのか。
って、俺の口調も問題なのね!
そりゃそうか。この国のトップに近い人だもんな。ヤバいヤバい。
「ここのギルドマスターとは何度も話している。
口調についても、私が許可している。アイザックはその場にも居た。
その時から不敬だと思っていたか?」
「いえ。許可される前から問題無いと思っていました」
おいおい、アイザックさん。
そこは不敬だぞって怒ろうよ。
俺が言える義理じゃないけどさぁ。
「ふ~む。他には?」
「言われれば確かに体型にも不満が出てきますね」
「具体的には?」
「冒険者ギルドのギルドマスターなのだから、もう少し鍛えた方が良いのでは、と」
王太子は何か判ったのか、ふむふむと頷いている。
俺にはさっぱり判りませんけど。
辛辣な意見を言っているな~くらいにしか思えません。
「よく判った。アモン殿、止めてもらえるか?」
「アモン、終了だってさ」
「はい、マスター」
「アモン殿の能力は強力だという事が判った。
アイザックや他の者も理解したな?」
「はい。恐ろしい能力です」
俺以外の人達がビビった顔で頷いている。
え? この中で理解出来てないのって俺だけ?
「あの~……、俺は理解出来て無いんですけど…………」
「あぁ、リョウスケ殿は使役する側だからな、判らないのも無理は無い。
ここのメンバーとも初対面だし」
「説明してもらっても良いですか?」
「能力『不和を引き起こす』というものは、無理矢理不和にするのではない」
「へ?」
「つまり、我々の中にある、妬み嫉み恨み、こういった負の感情を増幅していると思われる。
本人が気づいてないような些細な気になった事でも、増幅して表に出してくるのだ。
気づいてなかった部分を気づいていまえば、それは意識してしまう。
そういうのが多数出てくれば、アモン殿が能力を止めたところで気になってしまうだろう。
一度他人に不信感を持ってしまえば、それを払拭するのは難しい」
確かに!
俺には幼馴染が居た。男だけどさ。
子供の頃はよく一緒に遊んだものだ。
それが大人になり、一緒に酒を飲む機会があった。
その時に、そいつが酒癖が悪いって事が判明したんだ。いわゆる絡み酒ってやつだ。
バカにするような事を言ってくる、挑発してくる、俺の趣味について口を出してくる。
最後には金も払わずトイレに行くと言いながらどこかに行ってしまった。
次の日に金は払ってくれたのだが、その時の所作が俺の心に棘が刺さったようにチクリときたんだ。
それから少しづつ疎遠になっていった。
一緒に居ると、今まで気づかなかったそいつの悪い所が判るようになってきたから。
これ以上嫌いになる前に、会わない方が良いって感じたんだよな。
これを全ての人間を対象としてやられる?!
恐怖でしかない!
そりゃ人間不信になって自殺もしたくなるかも!
なるべくアモンの能力は使わない事にしよう。
いや、悪魔全般の能力は危険だ。
目に見えるヤバい能力も危険だが、見えない能力の方が何倍も怖いわ!
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