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020 新しい街

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目覚めるとベッドではグラシアが一緒に寝ていた。
あぁ、そうだった。カード確認して、そのまま寝たんだった。
今日も良い天気だ。朝日が眩しい。

……って何じゃこりゃ!!
林の中?のちょっと広い場所に俺が寝てるベッド一つだけ?!
確かウィネの作った塔という名の平屋の中で寝たはずなんだけど?!

見回すとウィネの姿は無い。
アンドロマリウスも居ない。

落ち着け。
多分ウィネ達が居ないのは、カードの制限時間が来たからだと推測出来る。
って事は、ウィネが消えたと同時に塔も消えたのか?
しかしそれだとベッドが残ってるのが変。

「グラシア! 起きて!」
「ん~。グラシア起きたー! おはよー!」
「うん、おはよう。で、この状況は説明出来る?」
「うん!
 ウィネが帰ったから塔は消えたのー。ベッドは主が使用中だったから残ってるのー」

へぇ。召喚主が利用しているものは消えないのか。

「じゃあ、俺がベッドから降りたら?」
「ベッドも消えるー」

なかなか便利な機能だ。片付けが必要無い。

「ところで。塔が消えたら危険じゃなかったか?」
「その時はグラシアが守るー!」

グラシアが居たから安全と。
ただ雨が降ったらどうすんだよ。
これは次回への課題だな。

「アンドロマリウスは?」
「時間が来たので帰ったー。でも大丈夫ー! 色々聞いてるからー」
「色々?」
「うんー。今日の予定ー」

今日の予定か。
そういえば、カードの気配がするとか言ってたもんな。
その情報だろう。

「じゃあ、その予定通りにするか。……朝飯は?」
「もうお昼近いよー。ご飯は街で食べろってさー」
「近くに街があるのか?」
「あるよー。そこに行けってー」

街か。買い物もしないとな。
美味い飯もあるだろうか?

「その他の情報は?」
「自分の制限時間が近くなったら、教える事ー」

確かにそれは重要!
守りが居なくなったら、めっちゃ不安だもん。
ラノベじゃあ、異世界に行った人達は皆のんきに街中を歩いたりするけど、ポンと外国に置かれたようなものだぜ?
不安しかないわ。言葉が通じても法律も判らない場所なんて怖すぎだろ。

「次に呼んだ方が良いのとか聞いてる?」
「それは主に任せるってー」
「何で?」
「皆、呼ばれたがってるからー」

出番を待ってるのか~。でも異形なのは呼ばないぞ?
ま、それは宿を決めてから考えよう。

「じゃあ行くか」
「行くー」

ベッドから降りると、ベッドは瞬時に消え去った。
置いていた跡も残っていない。不思議だ。




少し歩いて街に到着したんだけど……なんか門?入り口の所で騒ぎになってるんだけど?
引き返して行く人も居るし。何かあったんだろうか?
よく判らないけど、入場を待つ列に並んでおこう。

待っている間に周囲の声を聞いてみたんだけど、どうやら入場制限がかけられているらしい。
おっと俺の番になった。兵士さんに呼ばれたわ。

「身分証を」
「ああ、はい」
「確認した。ところで現状を知っているのか?」
「いえ。何も知りません。何かあったのですか?」
「うむ。実は中で変な病気?が蔓延している」
「病気ですか?!」
「いや、正確には分かっていない。多分病気だろう、という事だ」
「は、はぁ……。それで?」
「入る事は許可出来るが、出る場合には被害拡大の恐れがあるので、厳しい審査を受ける事になる。
 何日も出られない可能性もある。それでも入るか?」

それで、引き返す人が居たのか。
しかし異世界の病気か……。俺なんかすぐかかりそうだな。だって抗体とか持ってないと思うもん。
魔法カードにポーションってあったな。あれで治療出来るかな?
まぁ、とにかく入らないと始まらない。

「ちょっと怖いけど、入りますよ」
「入るのか……。目的は?」
「買い物とかですね」
「そんな事で? 他の街の方が良いと思うが?」
「お金はあるんですけど、もう食料が無くてですね。移動するにも無理なんですよ」
「そうか……。では許可しよう。だが念を押しておくぞ。出るには時間がかかる。それでも良いな?」
「はい」
「……分かった」

入れてもらえた。
街の雰囲気は……別に何とも無いな。
街の人々が怖がってると思ったけど、そんな感じも無い。
人通りが少ない気もするが、普段の状態を知らないから何とも言えん。
どうせ病人は家の中か病院に居るだろ。会わなきゃそうそう感染らないと思う。

病気か。どんなのだろうね。
インフルエンザみたいなのかな? それなら隔離されるのも理解出来る。
でも問題なさそうな街の雰囲気なんだよなぁ。わからん。

ま、いいや。早速買い物だ!
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