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008 冒険者ギルドと魔法カードと罠カード

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中に入ると、昔の銀行みたいな感じになってた。
俺の家の近くに古い銀行が残されてたんだけど、そこで見た事ある。
受け渡しする所に鉄格子みたいなのがついてるんだよ。
まぁ、武器持ったやつがウロウロしてるから、安全の為にそうなってるんだろうね。

受付は女性。
しかも美人じゃないか。
あ、判った。客寄せだろ。
オッサンが座ってるよりも行きやすいもん。

後、暴れるのを抑止してるんだな。
ほら、喧嘩しそうになっても美人に「止めてください」と言われると従っちゃうってヤツ。
その声に従って止めましたよ、俺って抑制出来てるでしょ、惚れました? みたいな。
男って単純だからな。

3箇所ほど受付があるが、どれもタイプの違う美人をおいている。
ギルド内に居る冒険者もチラチラ見てるし、やっぱ人気あるんだなぁ。

一番右側が空いたので、そこに行く。

「こんにちは」
「いらっしゃいませ。ご依頼ですか?」

何で依頼だと思ったんだろ?
あっ、そうか。執事みたいな格好のアンドロマリウス連れてるから、どっかの坊っちゃんと思われたかも。

「いえ、登録しようと思ってるんですけど」
「登録ですか? あぁ、身分証の為ですね?」
「まぁ、そうです。でも冒険者としても活動はしますよ」
「そうなのですか? 判りました。では審査をしますので、裏の練習場に移動してください」
「わ、判りました」


移動中、アンドロマリウスに問い詰める。

「おい! 審査があるって聞いてないんだけど?」
「楽勝だと思ったので、言いませんでした」
「楽勝?! 俺が?! 自慢じゃないけど、喧嘩なんか一度もした事無いぞ。
 そういう場面にもし遭遇したら、土下座するか走って逃げて警察に駆け込む!」
「あまりそのような事は自慢げに話さない方がよろしいかと」
「うるさいわ! で、どうすんだよ」
「魔法カードか罠カードを使われれば良いでしょう」

そう言えば魔法使いの格好っぽいもんな。
剣術ではなく、魔法の審査をしてくれるかもしれない。
じゃあ魔法カードか罠カードを用意しとくか。


「……おい」
「何でしょうか?」
「威力が半端ないんだけど?」
「書かれているのは最大火力です。そこは主殿が調整出来ますので問題ありません」
「そうなの? ところで、この世界の魔法ってどんなの?」
「詠唱をして発動するタイプです。高ランクの者は無詠唱も可能のようです。
 威力ですが、最大級でもカードの25%程度ですね」
「マジかよ!!」

弱い。いや、カードが強すぎる。
俺の所有の魔法カードで、今使えそうなのはこれ。
後4枚は悪魔の能力を上げる系だから、今は必要無い。
ちなみにポーションカードは2枚持ってる。

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バリア  =敵の攻撃を1度だけどんな攻撃でも跳ね返す

上昇   =呼び出している悪魔と、自分に触れている味方全員の攻撃力が戦闘が終了するまで上がる。

下降   =敵の攻撃力・行動力が戦闘が終了するまで下がる。

貫通   =敵の防御関係無く、1体にだけレベルに応じたダメージを与える。

ポーション=自分の怪我を治す。他人の場合、出現したポーションを使えば飲んだ者の怪我を治す。

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で、罠カードはこれ。

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落とし穴 =自分に一番最初に攻撃をしてくる敵を穴に落とす。距離は関係無い。

魅了   =相手を5分だけ味方にする事が出来る。

罠回避  =敵の罠を回避、もしくは破壊出来る。

復活   =倒した敵をアンデッドとして復活させ、戦闘が終了まで使用出来る。

道連れ  =悪魔1体を送還すると共に、敵を一体殺す事が出来る。送還された悪魔は+60時間呼び出せない。

反射   =毒・呪いを相手に返す事が出来る。

停止   =5秒だけ時間が止まる。その間動けるのは自分だけ。

封印   =5分間だけ周囲5m内の魔法を無効化する。

神の鏡  =敵の攻撃を他者に移す事が出来る。敵味方は関係無いが動物限定。

墜落   =自身に害意を持っている者を没落させる。戦闘中使用不可。

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どうしろと?

「攻撃系がほとんど無いんだけど?」
「ゲームでも攻撃は、悪魔が担当でしたからね。
 しかし、防御だけでも審査には合格出来るでしょう」
「どうやって? それに自慢じゃないけどビビリだから、咄嗟にカードを選択して使えないと思うぞ?」
「それも自慢げに話さない方が良いと思います」
「うるさい! で、どうしたら良いんだよ」
「そうですね。ではお待ち下さい。私の能力を使いましょう」
「お前の能力?」
「はい。相手の企みを看破致します」

相手の作戦も企み扱いなのか。

「……判明しました。
 主殿が魔法使いっぽいので、最初は石で作った動かない人形を攻撃させてみるつもりです。
 それをクリアしたら、今度は武器を持った相手と戦わせるつもりですね」
「ふ~ん。で、対処は?」
「石人形は悪魔を召喚して壊させましょう。異形すぎる者では問題になりそうなので、そこはお任せいたします。
 武器を持った相手もそのまま悪魔にさせても良いのですが、違う方法を求めてくると思われます。
 そこで罠カードの『停止』を使われるのが最適かと」
「悪魔は俺が選ぶのね……」
「はい。私が助言すると、後で他の者に言われそうですから」
「えっ? 皆呼ばれたいの?」
「はい。呼ばれる事を求めています。最初に呼ばれたイポスはかなり羨ましがられています」
「そ、そうなんだ……」

異形すぎる者とか威力が高すぎる者は当分呼ばないつもりだったんだけど。
それ聞くと、全員一度は呼んだ方が良さそうだ。

「『停止』は使ってどうすれば?」
「全てが止まっていますので、相手に近づき足の角度でも変えれば良いでしょう。
 勝手に転んでくれます。そうしたら近づき相手の武器を取ってしまえば終了ですね」
「止まってる間、俺は他者を動かせるのか?」
「はい。いわば自分以外が無重力状態だと思っていただければ大丈夫です」
「ほんとにこれで大丈夫~? 自信無いんだけど」
「では、保険として『バリア』もお持ちください。これで万全です」
「ほんとにほんとに?」
「いざとなれば私が出ます」
「頼むよ? 絶対だよ? 信じてるよ?」
「悪魔は神と違って約束は守ります」

それは言わないで欲しい。
俺が帰れるかという重要点なので。
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