異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

183 これが俺の弱点かな?

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「ご飯はどこですか?」
「準備するので、講義からお願いします!」
「準備?」
「ほら、肉ってすぐに食べると硬いとか言うでしょう?!
 だから漬け込んだりして柔らかくしたり味付けしたりするんですよ!
 それには時間経過が必要なのです!」
「……なるほど。まぁ良いでしょう。待つ時間もスパイスになると言いますからね」

良かった、何とか蜘蛛の焼ける匂いの中での食事を回避出来た。

「では講義をしましょうか」
「お願いします」

何を教えてもらえるのだろうか?
俺の具現化の不備とかかな?

「まず前提としてですが、貴方はイメージをイラストにする事が出来ますね」
「はい、出来ます」
「では、見た物をイメージにする事は?」
「出来ます。イラストレーターなので写実的には描けませんけど」

これが俺の弱点かな?
例えば今ここに居るクマだけど、野性的な外見ではない。
怖そうな容姿にはしているが、リアル系のマンガで出てくるような姿だと思ってもらったら合ってる。
つまり写真のような絵が描けないのだ。
逆に可愛く描けと言われれば可能である。というか、そっちの方が得意。

「という事はですね、見た物をイラストに出来る、という事になります」
「そりゃそうですよ」
「ちらっと見た程度ではどうです?」
「細部までは無理ですけど、デフォルメした感じには出来ますね」
「動いている物は?」
「目で追えない速度じゃなければ、多分可能だと思いますけど」
「それが未知の物でも?」
「…………多分可能かと」

言いたい事は分かる。
例えばチーターが走っている所を見て描けと言われたとしよう。
そして目の前をチーターが走っているとしよう。
この場合、ギリギリ目で追えるが細部は判らない。
だけど脳内に『チーター』という生き物の情報が入っているので、補完して描く事が出来るという事だ。
未知の物の場合、脳内補完が出来ないので描けないのではないか?と聞かれているのだ。

「理解しました。やはり戦い方が間違ってますね」
「え~と、どこがですか?」
「今回の蜘蛛で例えましょうか。
 貴方はクマとトカゲとハチを具現化しましたね?」
「は、はい。そうです」
「それでは何の意味もありません」
「どうしてです?」
「敵の強さ、ゲーム的に言えばステータスが判らないからです。
 守備力が100の敵に攻撃力20の仲間を召喚しても役に立たないでしょう?」
「な、なるほど」

単純な計算式でのRPGなら、守備力100の敵には101以上の攻撃を当てないとダメージが入らない。
「さけられた!」とか「ミス!」とか表示されるだけだ。

「でも相手のステータスとか知る方法は無いですよ?」
「知らなくても大丈夫です」
「……言っている事が矛盾してません?」
「してませんよ。
 まず貴方の書ける最大戦力を具現化するのです」
「え~と、それだと、クマとかサイとかになりますかね?」
「貴方はバカですか?」
「えっ?! だって、それくらいしか……」
「貴方自身が戦って倒したモンスターが居るでしょう?」

…………ああっ?!
居る! 居るよ!! この世界で恐れられているモンスターが!!

「ドラゴンですか?!」
「その通りです。アレを描いて具現化すれば良いのです」

確かにバカにされてもしょうがないな。
全然思い浮かばなかった!
元の世界の生き物ばかりを考えてたわ。

「そしてそれが戦っている間に、蜘蛛を見てイラストにして具現化すれば良いのです。
 なにせ目の前に居るのですから、描きやすいでしょう?
 相手が1匹なら2匹を、2匹なら3匹を具現化すれば、具現化した物が本物よりも弱くても数の暴力で勝てます」

なるほど!!
確かにそれならステータスとか関係無いわ!
なんてったって、同じ生き物なんだもん。使える能力も同じ。
2割くらい能力が落ちるとしても、2匹出せば戦えるだろう。
更にはその場には最初に出したドラゴンも居る。
……圧勝出来そうだな。

マンガやアニメやラノベでたまにあるやつだわ。
自分のコピーと戦うやつ。
主人公が戦ってる最中に成長するから、昔の自分には負けない!とか言ったりするやつ(笑)
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