異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第5章 ダンジョンに行こう

158 ドラゴンスレイヤー様だぞ!

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スーズさんと話してると、セムターさんがこっちにやってきた。

「いや~、貴族さんとは話が合わないわ~」
「そうですか?」
「おう。取り分の話をしたら『貴族の自分が多く貰う』とか言ってるしさぁ」
「そうは言うが、当たり前だろう?」

当たり前なんだ!
日本での感覚で考えたらダメだね。
ラノベではこういう時に主人公が「等分だろ!」とか言い出しそう。
その世界の法とか常識を無視してね。
で、ずっとそういう世界で暮らしてた人々が何故か賛同するんだよなぁ。

「当たり前だからイヤなの! 俺は金が欲しいの!」
「では最低人数の2人で行く気か?」
「いやいや、金も欲しいけど、命は惜しいの!」

人数が増えれば取り分が減る。だが人数が少なければ危険も増える。
難しい問題だね。丁度良いラインはどこなんだろ?

「ちょっと確認したい事があるんだけど、聞いていい?」
「俺ですか?!」
「そう、君」

俺に確認したい事ってなんだろ?

「2つあるんだけどさぁ」
「は、はぁ」
「1つはさぁ、金に興味無いみたいな事言ってたじゃん? じゃあ取り分は等分じゃなくてもOK?」

つまりはここに居る3人で行く場合、33%づつではなく、20・40・40でも良いかって事かな?

「そうですね。無しとか言われると困りますが、多少減っても文句を言う事は無いですね」
「もしかして金持ち?」
「そうですね。運良くドラゴン討伐したので」
「「マジか……」」

2人から驚かれた。
ドラゴンスレイヤー様だぞ!
…………想像しただけで、は、恥ずかしい!!

「もう1つの聞きたい事ってなんです?」
「お、おぅ。そうだった。動物を使役出来るって言ってたよな?
 例えばだけど、10頭くらい使役してダンジョンに入った場合、その10頭も人数に入れて割れとか言わないよな?って事だったんだけどな」
「言いませんよ!」
「だろうな。言うようなヤツが金に興味無いとか言わないよな。だが一応確認しときたくてな」

事前確認は大事。
しかし、そんな事を考えても無かった。
それが可能なら誰か1人だけ同行してもらって、98頭出せば取り分は1:99になるのか。酷い話だ。

「う~ん、じゃあ組んでも問題無さそうだなぁ。そっちは聞きたい事は無いかい?」
「そうですね……あっそうそう、足が速いって事でしたけど、戦闘の方は?」
「言ってなかったっけ? 俺の戦闘手段は投擲だな」
「投擲ですか?」
「ああ。ナイフでも石でも投げれば百発百中だぜ!」

石を投げれば武器代がタダか。
ナイフを投げれば金がかかるけど、当たるなら倒せば回収出来る。
金を貯めるには良い手段かも?

それに足が速いなら、遠距離攻撃して、敵が反撃しようと近づこうともまた距離を開ける事が出来る。
接近戦のように一撃で倒すような事は出来ないが、安全性は高い。

「スーズさんの戦い方は?」
「ま、言わなくても分かるだろうが、魔法一択だな」
「それは遠距離攻撃ですか?」
「魔法に詳しく無いなら、そう考えるのも当然か。
 魔法は多種類あり、接近戦向きの物もある。私はどちらも使う事が出来る」
「接近戦の魔法? 魔法で剣を作るとかですか?」
「そんな魔法は知らないな。あるなら是非とも入手したい!
 私は触れた部分の温度を少し変える事が出来るので、それを利用して戦う」

温度を少し変える?
それでどうやるの?

「知っているかね? 動物は体温の変化に敏感なのだよ。
 人間なら今の体温から少し上下するだけで動くのも辛くなるのだ」

おおっ、科学だ!
魔法があっても科学って発展するんだね。当たり前だろうけど。
事象を研究する人が居るのは当然だ。
誰もしないなら、文明が発達する訳が無い。
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