異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第4章 色々解決したい

125 本当にDランクなんですね…

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「あの~、依頼内容は『追い払う』なのですが……」
「そう言えばそうでしたね。
 でも倒せるなら倒した方が、後々トラブルにならなくて良いと思うんですけども」

そう言うと、メチャクチャ困った顔になったリーダー。
俺の言ってる事の、どこが変なんだろうか?

「本当にDランクなんですね……」
「それはどういう意味です?」
「高ランクの依頼の意味を知らないという意味です」
「え~と、理解出来ません。説明してもらっても良いですか?」
「言っても良いのかなぁ? でもこのままだと平行線になりそうだし……」

どうやら依頼に何か隠されているっぽい。
高ランクなら判るみたいなんだけど。
うむ。ベルドさんに俺は騙されたようだ。何か仕返しが必要か?

「言い触らさないと約束してください」
「はい。言いません。言うほど、冒険者に知り合いもいないので」
「そ、そうですか。
 こういう高ランクに出る依頼で『追い払う』と書かれていた場合、倒せない程のモンスターの可能性が高いのですよ」
「何故そう書かないんです?」
「『貴方達では倒せない強さのモンスターが出て困ってます。でも依頼料はこの金額です。受けてください』
 こう言われて受ける人は少数ですよ」

本当だ。
確かにそんなの受ける人なんかいないわ。
中には「バカにするなよ! やってやるぜ!」って受ける人も居るかもしれないが、過信した一部の人間だけだろう。

「だからボカシた内容にしておいて、依頼を受けてもらうんです」
「でもそれだと同じ事では?」
「だからギルドは追加で他のパーティーを雇います。
 今回の場合は広範囲に依頼を出して、あちこちから集めるようですね」

ゲームで言えばレイドボスって事か。
複数のパーティーで挑む敵だと。

「なるほど、理解出来ました。そして俺が選ばれた理由も理解出来ました」
「それは? もしかして指揮を執るのが上手いとか?」
「そんな能力はありませんよ。ある意味、複数のパーティーだからです」
「……え~と、意味が判りません」
「ですよねー。なので実演します」
「冒険者同士の私闘は禁止ですけど」
「ああ、戦うとかそういう事じゃないです。俺は弱いですし」
「では?」
「まぁまぁ危険は無いので、見ててください」

スケジュール帳を取り出し、クマを具現化する。
現れた瞬間、パーティー全員が戦闘態勢に入った。さすがランクB。

「危険はありません。俺が使役してる?動物です」
「……本当に?」
「ええ。何でも言う事を聞きますよ」

そう言ってクマを見ると、右手を左右にフリフリ。
何だその動作は。違いますとでも言いたいのか?

「……なんか違うと言っているように見えますけど」
「本当ですって! 何でそんな動作するんだよ!」

クマの目を見る。
「何でもってのは無理ですよ? 鼻でパスタ食えとか言われても出来ませんし」って目をしてる。
そんな無茶は言わないよ! 特殊な例を出すんじゃない!

「……常識の範囲内でなら言う事を聞きます」
「意思の疎通が出来るのですか?!」
「そんな気がするだけですよ。でも言葉は判るので、口で言えば理解してくれますよ」
「本当に? ……で、では、伏せてもらえるか?」

リーダーがそう言うと、クマは伏せた。
それどころか、ヘソ天状態になり、奥さん達に向けて媚びた目をし、甘えた声でクゥ~ンとか言ってる。
こ、こいつ……、恐ろしい子!

「本当に危険は無いようですね……。
 出せるのはクマだけですか? 出せる数は?」
「色々な動物を出せますよ。数は……限界まで出した事が無いので判りませんけど、10はイケます!」
「なるほど。言う事を聞く動物を出せる能力。確かに複数のパーティーに匹敵しますね。
 しかも命令に逆らって勝手な事をする事も無い」
「そういうパーティーも居るんですか?」
「ええ、中には居ます。
 例えば、連携して倒すと決めたのに勝手に突撃するとか。
 例えば、戦闘中は後方に居るのに、もうすぐ倒せるとなると前衛に出てくるとか」

あ~、いわゆる蛮勇行為やズルいと言われるような行為をするんだね。
そりゃ迷惑だ。

「多数の動物を使役されるのであれば、キョウヤさんが指揮を執る方が良さそうですね」
「えっ? なんでです?」
「命令系統がややこしくなるからですよ。
 俺達の言う事を聞いてくれるとしても、もしキョウヤさんに危険が迫った場合はそちらを優先するかもしれませんし」

言う事は理解出来る。
でも、そんな事は無いと思うよ。
どっちかと言えばこいつら、俺をオトリにして戦いそうだもん。
絶対防御があるのも知ってるしな。最悪、戦闘が終わってから助けに来るだろうね。

「指揮を執るかどうかは置いといて、とりあえず正体を調べるのはどうでしょう?」
「でも夜間に、明かりの無い所にしか現れませんよ?」
「夜目の利く動物を出します。それで見てもらいましょう」
「なるほど。それが出来るなら助かります」

方針は決まった。
とりあえず正体を暴こうじゃないか。
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