異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

文字の大きさ
上 下
111 / 200
第4章 色々解決したい

111 色鉛筆が完成しました!

しおりを挟む
「そうそう、キョウヤさん!!」
「な、なんですか、突然大きい声出して!」
「色鉛筆が完成しました!」
「ななななななんだってーーーーーっ!!」

渡されたのは黒い芯の鉛筆だった。

「……これ、黒ですよね?」
「その前に造形を見てくださいよ!」

日本で売ってるような鉛筆みたいに、表面には塗装が無い。
普通の鉛筆だ。
違う点は芯がちょっと太い事くらいかな?
ちゃんと6角形だし。

ん? んんん?!
よく考えたら、この世界で見た鉛筆っぽいモノって、炭を木で挟んだモノだった!!

「凄い! 鉛筆になってる!!」
「やっと気付いてくれましたか! そうです! 言われたままのモノが出来ました!」
「やりましたね!」
「ええ。最初は何故6角形なのかと思いましたが、まさかあのような秘密があるとは……」

えっ?
6角形に秘密なんかあったの?

話を聞くと、なるほどと納得出来るものだった。
まず最初に櫛の形の木を削る道具を2種類作成したそうだ。仮にAとBとしよう。
Aは削る部分が丸くなっている。Bは三角になっている。

同じ大きさの木の板を2枚用意。
それぞれに等間隔で芯を入れる溝をAで削って作る。
板ににザリガニの糸から取れた接着剤を着けて芯を入れ、2枚を合わせる。
合わせた板をBを使って削る。
表面を削ったら裏面も同じように削る。
するとBの削り面が同じ位置になっているから、1本づつがパキッと分離する。
後は分離面を少し削って完成。

この櫛のような削る部品を作るのが苦労したらしい。
というか、構想から完成まで早くない?
天才ってズルいよな。

「この削る部品をガリと名付けました。
 丸ガリで芯を入れる部分を、三角ガリで分離の為の溝を作成出来ます。
 レールにセットして動かすのでズレる事も無いですし、いやぁ、良いアイデアを頂きました!
 後は芯を色付きにするだけで、簡単に多種類も多数作れますからね!」
「覚えている事を言っただけで作り出す方が凄いですよ」
「いえいえ。取っ掛かりが無ければ何も出来ませんよ。
 そうそう、それでこれが赤鉛筆です!」

おおっ!
確かに芯が赤い!

「使ってみても良いですか?」
「どうぞどうぞ」

早速手持ちのナイフで削ってみる。

突然だが、俺の通ってた小学校は古風な学校だった。
この時代なのに、筆記用具は鉛筆に限定。シャーペンボールペンはNGだったんだ。
しかも鉛筆削りもNG。どうしてたかと言うと、学校の購買でカッターを買うのだ。
その学校指定のカッターで鉛筆を削る。そんな決まりだった。
当然保護者からは「カッターは危険!」という意見が。
だが学校側は正面から正論をぶつけてきたそうだ。
「危険だからと遠ざけていては何が危険か分からないだろう! 扱ってみて初めて危険な物と認識するのだ!」と。
だから調理実習でもピーラー等はNGで包丁でやってた。

つまり、俺はカッターやナイフで鉛筆を削る事が出来るのだ。
ありがとう、小学校。役に立ってます。
そしてナイフの危険度を知ってるので、異世界でも人間相手に使う事が出来ません。
ラノベで人を切れる主人公は、あの小学校からやり直した方が良いよ。


とにかく削る。
うん、綺麗に削れた。

「キョウヤさん、削るのが上手いですね」
「ナイフを固定して、鉛筆を動かすのがコツですよ」
「ほうほう、なるほど」

早速書いてみた。
……芯が折れる。どうやら現代の色鉛筆程の強度は無いようだ。
あまり鋭角に削らずに鈍角にするのがコツかも。
うん、良い感じだ。

「多少柔らかいようですが、ちゃんと書けますね。凄いです!」
「ありがとうございます。芯は顔料を、溶かした蝋と混ぜて作りました。
 ……硬さを出す為に、他にも何か配合すべきかもしれませんね。ちょっと研究してきます!」
「いやいや! 帰ろうとしないで!! こっちの話がまだですから!!」

これだから研究家は。
頼みますよ。ボガスさんが居ないとどうしようもないんですから。
しおりを挟む
感想 35

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜

長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。 コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。 ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。 実際の所、そこは異世界だった。 勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。 奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。 特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。 実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。 主人公 高校2年     高遠 奏    呼び名 カナデっち。奏。 クラスメイトのギャル   水木 紗耶香  呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。  主人公の幼馴染      片桐 浩太   呼び名 コウタ コータ君 (なろうでも別名義で公開) タイトル微妙に変更しました。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...