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第4章 色々解決したい

101 発表したよ。そしたら潰れたよ

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さて、件の商会だけども。

やっぱり閉店した。

国が「他国の密偵を意図せずとも引き入れた商会」と発表したからだ。
テレビ・ラジオの無い世界、人から聞いた話や噂話の強い世界で、この発表は致命的。

まず職人達が物を売らなくなった。
商会に近づいただけで「密偵じゃない?」と疑われる可能性があるから、という事らしい。

庶民や貴族はというと、その商会の商品を買わなくなった。
その店にお金を落とすという行為がイヤなようだ。
貴族は、商品に何か仕掛けがあるのではと疑うみたい。
遠隔操作出来る爆弾とか仕込まれてると考えたら買いたくないよね。

結果、国は発表1つで、1つの商会を潰した。
国は兵士を動かす事も無く、お金を使わずに潰したのだ。
宰相さんの考えだろうか? 怖い。

何でこんな事を考えてるかと言うと、その宰相さんから手紙が来たのだ。
内容は、「発表したよ。そしたら潰れたよ」って感じ。
ここまでは良い。
この後が問題なのだ。

その後に「土地が空いたからあげるよ。でも住んじゃダメ。店でも始める? 従業員はそのまま使えるよ?」と。
これ、どう考えても、俺に後始末の手伝いをさせる気じゃない?

手っ取り早いのはボガス商会に売ってしまう事。
ただ、商人絡みでケチのついた建物付きじゃん?
なんかイヤじゃない?

だからと言って、俺が商売が出来るかと言われれば無理。
ノウハウが無い。扱う商品も無い。価値を知らないので簡単に騙されそう。
ん~~~~…………1人で悩んでもダメだな。

「って事でボガスさん、何かアイデアは無いですかね?」
「私が買っても良いですけど、それはイヤなんですよね?」
「イヤと言うか、店の名前に傷が付くんじゃないかってのが……」
「そこは上手くやりますけどね。考慮して頂き、ありがとうございます。
 商売はされないんですか?」
「しがない絵描きな俺が商売なんか無理ですよ。絵を描いて売るくらいですかね」
「絵を描いて売るなら稼げそうですけど、あの大きさは必要無いですねぇ」
「そうなんですよ」

1畳もあれば人物画なら描ける。
それに俺の絵って、油絵とかじゃないから、額に入れて飾るみたいな威厳?のようなモノが無いんだよね。
これ描いて、こういうの描いて、そう言われて描くモノだ。
まぁこれは俺の価値観だから、もしかしたら鉛筆画でも売れるかもしれないけど。

「あっ、それで思い出しました。
 色付きの鉛筆って売ってないですか?」
「色付きの鉛筆ですか?」
「はい。鉛筆って炭の色、黒じゃないですか? 赤とか緑とかで描ける鉛筆です」
「う~ん、聞いた事無いですねぇ」
「そうですか」

この世界には無いのか。残念だ。
俺が知識チートを持ってれば、作り方の説明も出来るのだが。
知識チート持ってても、色鉛筆の作り方まで知らないか?
いや、あいつらは「過去に調べた事がある」とかで覚えてそうだな。
もしくは地球の辞典とかが見れる状態とか、一度見たら忘れないとか、ありそう。

「しかし興味ありますね。作り方はご存知で?」
「知らないんですよ。自分の居た所にはあったんですけど」
「……では作れない事は無いという事ですね」
「そうですけど……あの……ボガスさん?」
「糸を染める方法で……それでは炭の色は消せない……炭という前提が違う?……」

やべぇ。没頭されてしまった。

どうしよう。土地と建物の相談に来たのに。

よしっ!
ボガスさんが復活するまで、あっちでクマと遊んでるラウス君とシルヴィちゃんの所に行こう。
お兄ちゃんが一緒に遊んであげるよ~。お兄ちゃんだよ~。おじさんって呼ばないでね~。


子供達と遊んでいると、ボガスさんがこっちにやってきた。

「なんとか作成の目処が付きました」
「この短期間で?!」
「ええ。実験はこれからですが。良いアイデアをありがとうございます!」
「いや、アイデアが欲しいのは俺の方なんですけども……」

もうこの人、日本にある物の話をしたら何の話でも喜びそうだな。
そして作りそう。それで稼ぎそう。怖いわ。

あっ……待てよ?
良さそうなアイデアが浮かんだぞ?
ありがとう、ラウス君とシルヴィちゃん!

「俺、あそこを孤児院と学校にします!」
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