74 / 200
第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!
074 政治って怖いね
しおりを挟む
ロープを運ぶ事は出来るが、縛る事が出来ないので俺を派遣したらしい。
派遣とカッコよく言ってるが、実際は投擲だけども。
そう訴えるクマの目を見てると、大鷲がロープの端を持って飛んで戻ってきた。
あれ~? 外せるじゃん? おかしくない?
俺が訴えると、柱の所で実践してくれた。
一方を引っ張ると解けるように結んでいたようだ。
俺も持ってないその知識、どうやって入手しているのか疑問だ。助かるけど。
ここでも吊り下げられて該当者の居る窓まで降りていく。
こっそり覗くと、宰相さんの姿が見えた。ビンゴ!
窓を開けようとしたけど、無理でした。
そりゃそうだ! 外から開けられるようにする必要無いもんな!
諦めてノックした。
「……?! キョウヤさん?!」
驚きながらも窓を開けてくれた。
「こんばんは~。お邪魔します」
「こんばんは……って、何で窓から?! というか上から?! どうやって上に?!」
「飛んできました」
「跳んで?!」
なんかニュアンスが違ったような気がしたが、気にしないでおこう。
「用事があってきました」
「そ、そりゃそうでしょうね。さすがに世間話をしにきたとか言われれば、私だって怒りますよ。
こうやって来るくらいですから、緊急なんですよね? どのような要件ですか?」
俺は貴族の事を話した。
門前払いした事、高圧的な態度だった事、ハイス伯爵だかハウス伯爵だかって名前だった事。
聞く度に宰相さんの顔色が悪くなっていく。
「ハイス伯爵ですか……」
「何か?」
「戦争推進派の一人です」
「戦争してるんですか?」
「してませんよ。ただ食料自給率がギリギリなんですよね、この国。
なので、他国を攻めて土地と人を奪い、自給率を上げようと考えている派閥があるんです」
ふ~ん。
「それって長期的には無理があるような気がするのは、俺が無知だからですか?」
「いえ、合ってますよ。無理があります。
攻めて得た土地を運用出来るのか、その土地に住んでいる人間が怨恨無く働いてくれるのか。
しかし、聞こえが悪いですが、良い事もあります」
「あるんですか?!」
「ええ。単純な話ですよ。人口が減ります」
……戦争で人が死ぬって事ね。
10人に対して食料が10だったのが、5人に対して食料が10になる。
1人辺り倍になる計算だ。
供給が増えないなら需要を減らす考え。
政治って怖いね。
「怖い話は置いといて。推進派だと何か問題が?」
「推進派は皇帝陛下に近いのです。皇帝陛下が推進派ですから」
「……それでよく戦争してませんね」
「頑張って止めてますから。もし貴方が陛下の部下になってたら、間違いなく戦争が始まってたでしょうね」
ヤベェな、あの皇帝。
「そういう訳でして、簡単に処分出来ないのですよ。皇帝陛下の耳に入るでしょうから」
「そうですか。……で、どうします?」
「対処しますよ。陛下に邪魔されないように注意しながら。
しかし今度は襲ってくるかもしれません。どうします?」
「今度は殺してくれと言うまでボコボコにします」
「止めて下さい! それにバレないように色々な伝手を使って来るかもしれませんよ?」
「現状揉めているのはその伯爵だけです。
なので、何かあったらその伯爵の手の者だと勝手に解釈します。ボコボコです」
「全く関係無い、ただのチンピラが貴方に絡んだとしても?!」
「はい。伯爵の手の者だと決めつけます。ボッコボコです」
「止めて下さい! 判りました! 最速で片をつけます!」
途中からボコボコと言いたいだけだったんだが。
どうやら脅しのように聞こえたみたい。
まぁ早急に対処してくれるなら助かります。
「ところで、この部屋が宰相さんの執務室?」
「あっ、はい。そうです」
「じゃあ今度から何かあったら、入ってきた窓に鳥を飛ばしますね」
「鳥?」
「はい。手紙を持たせておきます」
「なるほど。是非そうしてください」
話は終わりを告げた。
よし、帰ろう。
「じゃあ帰りますね」
「何故窓に行くんですか! 護衛をつけますので、普通に帰って下さい!」
「護衛付きとはいえ、歩いて良いんですか?」
「今の時間なら人と会う事は少ないでしょう。大丈夫です。裏道もありますし」
そう言いながら宰相さんは、壁にある紐を引いた。
どっかの部屋に付いているベルと繋がってるんだろうな。
少し待ってると兵士が2人やってきた。
俺を見て驚いてたが、宰相さんがヒソヒソ話をして了解を得たようだ。
そのまま裏門まで送ってくれた。
ちなみにクマ達は、ロープを引き上げて屋上で待機。
時間が来れば消えるでしょ。ご苦労さん。掴まれたり投げられたりした事は恨んで無いよ。本当だよ。
派遣とカッコよく言ってるが、実際は投擲だけども。
そう訴えるクマの目を見てると、大鷲がロープの端を持って飛んで戻ってきた。
あれ~? 外せるじゃん? おかしくない?
俺が訴えると、柱の所で実践してくれた。
一方を引っ張ると解けるように結んでいたようだ。
俺も持ってないその知識、どうやって入手しているのか疑問だ。助かるけど。
ここでも吊り下げられて該当者の居る窓まで降りていく。
こっそり覗くと、宰相さんの姿が見えた。ビンゴ!
窓を開けようとしたけど、無理でした。
そりゃそうだ! 外から開けられるようにする必要無いもんな!
諦めてノックした。
「……?! キョウヤさん?!」
驚きながらも窓を開けてくれた。
「こんばんは~。お邪魔します」
「こんばんは……って、何で窓から?! というか上から?! どうやって上に?!」
「飛んできました」
「跳んで?!」
なんかニュアンスが違ったような気がしたが、気にしないでおこう。
「用事があってきました」
「そ、そりゃそうでしょうね。さすがに世間話をしにきたとか言われれば、私だって怒りますよ。
こうやって来るくらいですから、緊急なんですよね? どのような要件ですか?」
俺は貴族の事を話した。
門前払いした事、高圧的な態度だった事、ハイス伯爵だかハウス伯爵だかって名前だった事。
聞く度に宰相さんの顔色が悪くなっていく。
「ハイス伯爵ですか……」
「何か?」
「戦争推進派の一人です」
「戦争してるんですか?」
「してませんよ。ただ食料自給率がギリギリなんですよね、この国。
なので、他国を攻めて土地と人を奪い、自給率を上げようと考えている派閥があるんです」
ふ~ん。
「それって長期的には無理があるような気がするのは、俺が無知だからですか?」
「いえ、合ってますよ。無理があります。
攻めて得た土地を運用出来るのか、その土地に住んでいる人間が怨恨無く働いてくれるのか。
しかし、聞こえが悪いですが、良い事もあります」
「あるんですか?!」
「ええ。単純な話ですよ。人口が減ります」
……戦争で人が死ぬって事ね。
10人に対して食料が10だったのが、5人に対して食料が10になる。
1人辺り倍になる計算だ。
供給が増えないなら需要を減らす考え。
政治って怖いね。
「怖い話は置いといて。推進派だと何か問題が?」
「推進派は皇帝陛下に近いのです。皇帝陛下が推進派ですから」
「……それでよく戦争してませんね」
「頑張って止めてますから。もし貴方が陛下の部下になってたら、間違いなく戦争が始まってたでしょうね」
ヤベェな、あの皇帝。
「そういう訳でして、簡単に処分出来ないのですよ。皇帝陛下の耳に入るでしょうから」
「そうですか。……で、どうします?」
「対処しますよ。陛下に邪魔されないように注意しながら。
しかし今度は襲ってくるかもしれません。どうします?」
「今度は殺してくれと言うまでボコボコにします」
「止めて下さい! それにバレないように色々な伝手を使って来るかもしれませんよ?」
「現状揉めているのはその伯爵だけです。
なので、何かあったらその伯爵の手の者だと勝手に解釈します。ボコボコです」
「全く関係無い、ただのチンピラが貴方に絡んだとしても?!」
「はい。伯爵の手の者だと決めつけます。ボッコボコです」
「止めて下さい! 判りました! 最速で片をつけます!」
途中からボコボコと言いたいだけだったんだが。
どうやら脅しのように聞こえたみたい。
まぁ早急に対処してくれるなら助かります。
「ところで、この部屋が宰相さんの執務室?」
「あっ、はい。そうです」
「じゃあ今度から何かあったら、入ってきた窓に鳥を飛ばしますね」
「鳥?」
「はい。手紙を持たせておきます」
「なるほど。是非そうしてください」
話は終わりを告げた。
よし、帰ろう。
「じゃあ帰りますね」
「何故窓に行くんですか! 護衛をつけますので、普通に帰って下さい!」
「護衛付きとはいえ、歩いて良いんですか?」
「今の時間なら人と会う事は少ないでしょう。大丈夫です。裏道もありますし」
そう言いながら宰相さんは、壁にある紐を引いた。
どっかの部屋に付いているベルと繋がってるんだろうな。
少し待ってると兵士が2人やってきた。
俺を見て驚いてたが、宰相さんがヒソヒソ話をして了解を得たようだ。
そのまま裏門まで送ってくれた。
ちなみにクマ達は、ロープを引き上げて屋上で待機。
時間が来れば消えるでしょ。ご苦労さん。掴まれたり投げられたりした事は恨んで無いよ。本当だよ。
37
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる