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第3章 快適生活へ向けて頑張ろう!

074 政治って怖いね

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ロープを運ぶ事は出来るが、縛る事が出来ないので俺を派遣したらしい。
派遣とカッコよく言ってるが、実際は投擲だけども。

そう訴えるクマの目を見てると、大鷲がロープの端を持って飛んで戻ってきた。
あれ~? 外せるじゃん? おかしくない?

俺が訴えると、柱の所で実践してくれた。
一方を引っ張ると解けるように結んでいたようだ。
俺も持ってないその知識、どうやって入手しているのか疑問だ。助かるけど。


ここでも吊り下げられて該当者の居る窓まで降りていく。
こっそり覗くと、宰相さんの姿が見えた。ビンゴ!

窓を開けようとしたけど、無理でした。
そりゃそうだ! 外から開けられるようにする必要無いもんな!
諦めてノックした。

「……?! キョウヤさん?!」

驚きながらも窓を開けてくれた。

「こんばんは~。お邪魔します」
「こんばんは……って、何で窓から?! というか上から?! どうやって上に?!」
「飛んできました」
「跳んで?!」

なんかニュアンスが違ったような気がしたが、気にしないでおこう。

「用事があってきました」
「そ、そりゃそうでしょうね。さすがに世間話をしにきたとか言われれば、私だって怒りますよ。
 こうやって来るくらいですから、緊急なんですよね? どのような要件ですか?」

俺は貴族の事を話した。
門前払いした事、高圧的な態度だった事、ハイス伯爵だかハウス伯爵だかって名前だった事。
聞く度に宰相さんの顔色が悪くなっていく。

「ハイス伯爵ですか……」
「何か?」
「戦争推進派の一人です」
「戦争してるんですか?」
「してませんよ。ただ食料自給率がギリギリなんですよね、この国。
 なので、他国を攻めて土地と人を奪い、自給率を上げようと考えている派閥があるんです」

ふ~ん。

「それって長期的には無理があるような気がするのは、俺が無知だからですか?」
「いえ、合ってますよ。無理があります。
 攻めて得た土地を運用出来るのか、その土地に住んでいる人間が怨恨無く働いてくれるのか。
 しかし、聞こえが悪いですが、良い事もあります」
「あるんですか?!」
「ええ。単純な話ですよ。人口が減ります」

……戦争で人が死ぬって事ね。
10人に対して食料が10だったのが、5人に対して食料が10になる。
1人辺り倍になる計算だ。
供給が増えないなら需要を減らす考え。
政治って怖いね。

「怖い話は置いといて。推進派だと何か問題が?」
「推進派は皇帝陛下に近いのです。皇帝陛下が推進派ですから」
「……それでよく戦争してませんね」
「頑張って止めてますから。もし貴方が陛下の部下になってたら、間違いなく戦争が始まってたでしょうね」

ヤベェな、あの皇帝。

「そういう訳でして、簡単に処分出来ないのですよ。皇帝陛下の耳に入るでしょうから」
「そうですか。……で、どうします?」
「対処しますよ。陛下に邪魔されないように注意しながら。
 しかし今度は襲ってくるかもしれません。どうします?」
「今度は殺してくれと言うまでボコボコにします」
「止めて下さい! それにバレないように色々な伝手を使って来るかもしれませんよ?」
「現状揉めているのはその伯爵だけです。
 なので、何かあったらその伯爵の手の者だと勝手に解釈します。ボコボコです」
「全く関係無い、ただのチンピラが貴方に絡んだとしても?!」
「はい。伯爵の手の者だと決めつけます。ボッコボコです」
「止めて下さい! 判りました! 最速で片をつけます!」

途中からボコボコと言いたいだけだったんだが。
どうやら脅しのように聞こえたみたい。
まぁ早急に対処してくれるなら助かります。

「ところで、この部屋が宰相さんの執務室?」
「あっ、はい。そうです」
「じゃあ今度から何かあったら、入ってきた窓に鳥を飛ばしますね」
「鳥?」
「はい。手紙を持たせておきます」
「なるほど。是非そうしてください」

話は終わりを告げた。
よし、帰ろう。

「じゃあ帰りますね」
「何故窓に行くんですか! 護衛をつけますので、普通に帰って下さい!」
「護衛付きとはいえ、歩いて良いんですか?」
「今の時間なら人と会う事は少ないでしょう。大丈夫です。裏道もありますし」

そう言いながら宰相さんは、壁にある紐を引いた。
どっかの部屋に付いているベルと繋がってるんだろうな。

少し待ってると兵士が2人やってきた。
俺を見て驚いてたが、宰相さんがヒソヒソ話をして了解を得たようだ。
そのまま裏門まで送ってくれた。

ちなみにクマ達は、ロープを引き上げて屋上で待機。
時間が来れば消えるでしょ。ご苦労さん。掴まれたり投げられたりした事は恨んで無いよ。本当だよ。
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