5 / 200
第1章 早くチートになりた~い
005 罪悪感がそれを許さない
しおりを挟む
本当に食事まで用意してくれた。
パサパサのパンと水だったけど、文句は言いません。貰えるだけ感謝です。
「どこまで覚えてるんだ?」
ボブが質問してきた。
どう答えようか。やはり真実の中に嘘を混ぜるのは良いかな。
全部嘘だと、後で整合性が取れなくなるし。
「家に居たのは覚えてるんだけど……」
「俺の事は判るよな?」
「ああ。ボブだろ?」
「久々に呼ばれたな、そのあだ名。懐かしいなぁ。村の皆は元気か?」
「俺の両親は3年前に死んだよ」
「えっ?! そうか……」
親が死んだ事を言えば、村の事とか追求されなくなるかなと思って言ってみた。
事実3年前に死んだんだよね。一人は病気で、一人は交通事故で。
誤魔化せたかな?
「これからどうするんだ? 朝になってから村に戻るか?」
「……いや、出来ればこの街でお金を稼ぎたい。今は戻りたくない……かな。ある程度稼いでから戻ろうと思う」
ちょっと悲壮感を出して言ってみた。
同情してくれるかな?
「そうか。伝手はあるのか?」
「無い……な。どうしたら良いと思う?」
「そうだな……金は少しだけど貸してやろう。後は宿か。何か担保があれば後払いでも良い所がある」
「良いのか?」
「俺とお前の仲じゃないか。そう言えば身分証は持ってないのか?」
やはりあったか、身分証。
一度見せて貰えれば、明日にでも模写して具現化させるんだがなぁ。
ここは素直に話そう。
「持ってないな」
「そうか。強盗に入られたなら、盗られてる可能性もあるな」
どうやらこの世界でも他人の身分証を使う事はあるようだ。
見た所、印刷技術とか低そうだもん。写真でも無ければバレにくいよね。
「再発行の手続きが居るな。明日にでも再発行しに行くぞ」
「判った」
本当に良いヤツだな、ボブ。
さすがに罪悪感が湧いてきた。
…………よく考えたらこれって、洗脳じゃないか?!
よく考えなくても洗脳だ!!
しかも詐称の片棒まで担がせてる!!
ゴメンなボブ!!
具現化で美味い物が出せたら食べさせてあげるよ!
「俺は朝までだから、この部屋で待っててくれるか?」
「勿論だよ。悪いけど頼む」
今日はここに置いてくれるらしい。
朝になったら、街に案内してくれるそうだ。
椅子を並べて簡易的なベッドのようにもしてくれて、何かの毛皮まで持ってきてくれ、ここで寝られるようにしてくれた。
助かります。
翌日。ボブに起こされた。
ボブは着替えていて、村人Aな格好になってた。
「よっしゃ、行こうぜ」
「よろしく頼む」
「朝飯は屋台で良いよな? オススメがあるんだよ!」
ああっ! そんなに旧友と会えて嬉しいって感じを出さないで! 罪悪感が、最悪感が~!!
何かの肉を焼いた物をボブのおごりで食べて、宿を借りてくれて、身分証再発行に付き合ってくれて、金を貸してくれて、街の案内してくれたボブとは、仕事に行くと別れた。
俺は罪悪感に押しつぶされそうです。
本当ならボブにかけた洗脳が解ける前に街を出たいのだが、罪悪感がそれを許さない。
手に描いた著作権マークが消えたらどうなるのだろうか?
……他人に戻るのかな?
怖い事を考えてしまった。考えるのを止めよう。
とにかく。衣食住は確保出来た。後は借りた金が無くなる前に収入を得ないと。
仕事だ。後はレベル上げ。
街には冒険者ギルドがあった。定番の冒険者だ。
俺に出来るか? 考えるまでもない。無理。
GGGGの俺に出来る事など無い!! そこら辺の子供にやらせた方が良い。
俺に出来る事と言えば、絵を描くくらい。
絵師として稼ぐか。
でも、ラノベの知識くらいしか無いけど、絵って貴族とかが自画像を描かせてるイメージ。
一般人に絵を飾るなんて余裕があるかなぁ。
地球の歴史で考えると、金持ちがパトロンになる感じ?
まぁ、これしか取り柄が無いのだ。
とりあえずは絵師として働いてみよう。
次にレベル上げ。
草原を歩くだけで上がるんだろうけど、生まれた時からこの世界に居る人に追いつける訳が無い。
32歳の平均値くらいまでは上げたいんだけど、それにはやはり動物を狩るしか無いだろう。
金を稼いでから、冒険者を雇って熊退治とかに行くしかないか。
あっ、一つだけズルい方法を思いついた!
自画像を描いて、注釈に「レベル200」とか描いたら反映されないかな?
幸いお試しが1回残ってるし。
後で実験してみよう。
さて当面の目標も決まった。
絵師として働く。外に出て自画像作戦を試す。
よし! じゃあ画材を買いに行くか!
パサパサのパンと水だったけど、文句は言いません。貰えるだけ感謝です。
「どこまで覚えてるんだ?」
ボブが質問してきた。
どう答えようか。やはり真実の中に嘘を混ぜるのは良いかな。
全部嘘だと、後で整合性が取れなくなるし。
「家に居たのは覚えてるんだけど……」
「俺の事は判るよな?」
「ああ。ボブだろ?」
「久々に呼ばれたな、そのあだ名。懐かしいなぁ。村の皆は元気か?」
「俺の両親は3年前に死んだよ」
「えっ?! そうか……」
親が死んだ事を言えば、村の事とか追求されなくなるかなと思って言ってみた。
事実3年前に死んだんだよね。一人は病気で、一人は交通事故で。
誤魔化せたかな?
「これからどうするんだ? 朝になってから村に戻るか?」
「……いや、出来ればこの街でお金を稼ぎたい。今は戻りたくない……かな。ある程度稼いでから戻ろうと思う」
ちょっと悲壮感を出して言ってみた。
同情してくれるかな?
「そうか。伝手はあるのか?」
「無い……な。どうしたら良いと思う?」
「そうだな……金は少しだけど貸してやろう。後は宿か。何か担保があれば後払いでも良い所がある」
「良いのか?」
「俺とお前の仲じゃないか。そう言えば身分証は持ってないのか?」
やはりあったか、身分証。
一度見せて貰えれば、明日にでも模写して具現化させるんだがなぁ。
ここは素直に話そう。
「持ってないな」
「そうか。強盗に入られたなら、盗られてる可能性もあるな」
どうやらこの世界でも他人の身分証を使う事はあるようだ。
見た所、印刷技術とか低そうだもん。写真でも無ければバレにくいよね。
「再発行の手続きが居るな。明日にでも再発行しに行くぞ」
「判った」
本当に良いヤツだな、ボブ。
さすがに罪悪感が湧いてきた。
…………よく考えたらこれって、洗脳じゃないか?!
よく考えなくても洗脳だ!!
しかも詐称の片棒まで担がせてる!!
ゴメンなボブ!!
具現化で美味い物が出せたら食べさせてあげるよ!
「俺は朝までだから、この部屋で待っててくれるか?」
「勿論だよ。悪いけど頼む」
今日はここに置いてくれるらしい。
朝になったら、街に案内してくれるそうだ。
椅子を並べて簡易的なベッドのようにもしてくれて、何かの毛皮まで持ってきてくれ、ここで寝られるようにしてくれた。
助かります。
翌日。ボブに起こされた。
ボブは着替えていて、村人Aな格好になってた。
「よっしゃ、行こうぜ」
「よろしく頼む」
「朝飯は屋台で良いよな? オススメがあるんだよ!」
ああっ! そんなに旧友と会えて嬉しいって感じを出さないで! 罪悪感が、最悪感が~!!
何かの肉を焼いた物をボブのおごりで食べて、宿を借りてくれて、身分証再発行に付き合ってくれて、金を貸してくれて、街の案内してくれたボブとは、仕事に行くと別れた。
俺は罪悪感に押しつぶされそうです。
本当ならボブにかけた洗脳が解ける前に街を出たいのだが、罪悪感がそれを許さない。
手に描いた著作権マークが消えたらどうなるのだろうか?
……他人に戻るのかな?
怖い事を考えてしまった。考えるのを止めよう。
とにかく。衣食住は確保出来た。後は借りた金が無くなる前に収入を得ないと。
仕事だ。後はレベル上げ。
街には冒険者ギルドがあった。定番の冒険者だ。
俺に出来るか? 考えるまでもない。無理。
GGGGの俺に出来る事など無い!! そこら辺の子供にやらせた方が良い。
俺に出来る事と言えば、絵を描くくらい。
絵師として稼ぐか。
でも、ラノベの知識くらいしか無いけど、絵って貴族とかが自画像を描かせてるイメージ。
一般人に絵を飾るなんて余裕があるかなぁ。
地球の歴史で考えると、金持ちがパトロンになる感じ?
まぁ、これしか取り柄が無いのだ。
とりあえずは絵師として働いてみよう。
次にレベル上げ。
草原を歩くだけで上がるんだろうけど、生まれた時からこの世界に居る人に追いつける訳が無い。
32歳の平均値くらいまでは上げたいんだけど、それにはやはり動物を狩るしか無いだろう。
金を稼いでから、冒険者を雇って熊退治とかに行くしかないか。
あっ、一つだけズルい方法を思いついた!
自画像を描いて、注釈に「レベル200」とか描いたら反映されないかな?
幸いお試しが1回残ってるし。
後で実験してみよう。
さて当面の目標も決まった。
絵師として働く。外に出て自画像作戦を試す。
よし! じゃあ画材を買いに行くか!
52
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

修学旅行に行くはずが異世界に着いた。〜三種のお買い物スキルで仲間と共に〜
長船凪
ファンタジー
修学旅行へ行く為に荷物を持って、バスの来る学校のグラウンドへ向かう途中、三人の高校生はコンビニに寄った。
コンビニから出た先は、見知らぬ場所、森の中だった。
ここから生き残る為、サバイバルと旅が始まる。
実際の所、そこは異世界だった。
勇者召喚の余波を受けて、異世界へ転移してしまった彼等は、お買い物スキルを得た。
奏が食品。コウタが金物。紗耶香が化粧品。という、三人種類の違うショップスキルを得た。
特殊なお買い物スキルを使い商品を仕入れ、料理を作り、現地の人達と交流し、商人や狩りなどをしながら、少しずつ、異世界に順応しつつ生きていく、三人の物語。
実は時間差クラス転移で、他のクラスメイトも勇者召喚により、異世界に転移していた。
主人公 高校2年 高遠 奏 呼び名 カナデっち。奏。
クラスメイトのギャル 水木 紗耶香 呼び名 サヤ。 紗耶香ちゃん。水木さん。
主人公の幼馴染 片桐 浩太 呼び名 コウタ コータ君
(なろうでも別名義で公開)
タイトル微妙に変更しました。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる