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時間稼ぎ×時間稼ぎ

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ダンジョン第一層でイカれ神父が撃破した暗黒騎士団、その装備を着用したホムンクルスが前線で猛威を振るっている。

この暗黒騎士団の装備は非常に高品質で、まだ鑑定はしていないが様々なスキルが存在していると思われる。


全身を覆う鎧や兜は敵の攻撃を弾き、その剣は非常に切れ味がよく次から次へと敵を切り裂くのだ。

残念ながらイカれ神父が装備品のほとんどを壊していたが、それも現在修復中。

最前線では、暗黒騎士装備のルーカスと7号がホムンクルス隊を率いて奮戦中。第一層の陥落も目前だ。



今でこそホムンクルスの装備は充実しているが、最初期のホムンクルス達の装備はお世辞にもいいものとは言えなかった。なんせ防具なんてこちらにはない。

ただの服に銃で武装しただけだったのだ。

だが、今は違う。ダンジョンより大量のドロップアイテムを装備した我が軍は次から次へと敵軍を撃破している。

さらにさらに、新型のホムンクルスも投入し続けているため、数の不足も少しづつだが改善されている。

低級ポーションと合成したホムンクルスは何と回復魔法を使える奴、再生能力に特化したホムンクルス、武功『不壊門』と合成したホムンクルスは格闘戦に長けており、敵を次から次へと撃破、前進している。

ドロップ品もなかなか美味しい。宝箱の中身とは別に、敵は撃破時に死体の他に突然アイテムが現れることがあるのだが、このアイテムが結構役に立つ。

以下、ドロップアイテムの一部抜粋である。

『魔剣ファザール』
『血染めのブレスレット』
『呪われたガントレット』
『崩壊魔杖』
『絶望の鎖剣』
『邪神槍ヌザ』
『魔龍兜』
『禍々しき指輪』
『狂乱する魔弓』


………ま、まぁ魔のダンジョンだからな。ドロップアイテムはこんなものだろう。

俺は漆黒の装備を身に纏い、禍々しいオーラを放ちダンジョンへと進軍するホムンクルス達を尻目にガチャへと向かった。





今日のログインボーナスはゴッド確定ガチャコイン。

あぁ…ゴッド、嫌な響きだ。
だいぶ前にゴッドフェスが行われた際、誰に捧げているか不明の、『生贄の棺』、そして『ヘルメス神のお地蔵』がガチャより排出された。


前は比較的まとも?なものだったが、今回おそらく、というか絶対、まともなものは出ない。

なぜなら、顕現したガチャコインはドス黒い色でなぜかひび割れており、ガチャコインがぴくぴくと動いているのだ。不気味だ、本当に不気味だ。


あぁ~~何だよこれ、絶対厄ネタだよ。

まともなものじゃないよ。


クソッ回したくない!でも俺の中の好奇心が回せと言っている。


あぁ~~~


ガタンッ






HR『封印の玉』

封印。中にあるものが外に出ないように、固く厳重に閉じ込めること。
大抵の場合中に入ってあるものは、表には出してはいけないまずいものである。
そして物語などでは、悪魔など人間に害のあるものが閉じ込められ、そして解放されてメチャクチャになるというのがテンプレ。


出現したのは、水晶玉だった。球体はよく磨かれているのか汚れ一つなく、俺の顔を反射している。

だが、普通の水晶玉ではない。水晶玉を覗いてみると黒い煙のようなものが渦巻いている。

そして水晶玉は古ぼけた鎖でぐるぐるに縛られ、難しい字で書かれたお札が大量に貼られていた。


鑑定!

●封印の玉

暴食を司る邪神ベヘモットの一部が封印された水晶玉。
封印が解けた場合は、敵に対して飢餓をばら撒き、多くの餓死者を発生させ、人間の文明に対して害を与えるでしょう。復活後は迅速に撃破すべきです。
この水晶玉は数多くの魔術や道具に封印されていますが、長くは持ちません。
復活後の邪神をどうするか、あなた次第です。
私としては、敵国の中にこの邪神を復活させ、敵を破滅させることをお勧めします。
邪神はあなたの命令を聞きませんが、あなたとその仲間に害を与えることはありません。安心してください。







うわぁぁぁぁ、邪神だ!首無し達の時とは違って明らかな人間に対する敵対者だ!スライムは一応、星食らいと言われていたが、地球人類に対して攻撃的とは書かれていなかった。

だが、こいつは違う!人類への脅威が明言されている!

いや、確かにユニットは俺に対して害を与えることはできない。鑑定の説明文でもそう明言されている。

だが、復活後邪神が何をするのか予想がつかない。もしかしたら、間接的に俺に対して害を与えるかもしれない。安心できない。

とにかく、邪神が復活したら非常に面倒なことになる気がする。
うーん、どうするべきか。







……あっ。





俺は水晶玉を担ぎ、4階の研究所に向かう。

そして、ホムンクルスの合成機にこの水晶玉をぶち込んだ。

そう、邪神は俺の命令を聞かないが、ホムンクルスは俺の命令に絶対服従なのだ。


「貴様!この俺を、こんな脆弱な体で受肉させるとは!このベヘモットに対して不敬であるぞ」


「あー、そういうのいいから。とりあえず下のドロップ品置き場から適当なもの装備してダンジョンで戦って」


「クソッ、体がいうことを聞かぬ!覚えていろ!」



よしっ戦力確保!


それでは無料ガチャである。

 







ガタンッ








C『墓石』

墓石。墓の上に設置される、大きな石の加工品。
日本においてはほとんどの場合、台となる石を二つ縦に並べ、その上に細長い石を置く仏式の墓がほとんどである。

石には自身の名前、生年月日や没年、宗派など、ヨーロッパではエンブレムやその死者の人生などを刻む。




出現した墓石はひどく汚れ、壊れていた。長い年月の経過によって金属製の墓石は錆び、醜く変色し、元と墓石の面影すら見えない、変わり果てた姿だった。

墓石の表面には大小様々な割れ目があり、そして胸元に開いた穴から植物が生え、穴の内側は苔で覆われている。

寂しさを感じさせる、不思議な墓石だ。

この石だけ。死体を収める棺や骨壷はない。


俺は墓を見て、綺麗にしてやろうと思った。誰の墓かは知らないが、こんな状態で放置しているのは心が痛い。

俺はホムンクルスに雑巾などを持ってくるように指示し、墓をもっと詳しく調べる。


すると表面に日本語で文字が刻まれていることがわかった。

どれどれ…





魔のダンジョンマスター シュラハト ここに眠る。
地獄に堕ちろ、クソ野郎。

暗黒騎士団 一同 








シュラハトじゃねぇか!!!

えぇ…シュラハト何したの?ダンジョンの中核戦力【推定】の暗黒騎士団に嫌われるって、かなりまずいんじゃないの?

というか、死んだの?えぇ…ちょっと意味がわからない。
いやでも、まだダンジョンクリアのアナウンスがないからなぁ。多分死んでないな。


じゃあこれは?
不明。











「なんか、飽きたな」

久しぶりのダンジョンアタック。だが敵軍は非常に少なく、未だ第一層を攻略できていない。


ダンジョン攻略はスピードが命だ。放っておくとスポーンポイントより大量の魔物が生産されるため、一刻も早く進軍しスポーンポイントを潰す必要があるからだ。

なのでなぜこれほどまでに進軍が遅いのか。理解ができない。


「魔王様。第一層司令官より援軍の要請が来ています」

「今の司令官は誰だったかな?」

「獣魔将軍 リザリオン様です」

「あぁ、あの失敗作か、まだ生きてたんだ。却下」

ダンジョンマスターはDP【ダンジョンポイント】を使い、モンスターを生み出すことができる。

基本的に多くのDPを使用すればするほど、強力な魔物を生み出すことができるのだが、期待していた魔物が召喚されるとは限らない。

そのため、シュラハトは失敗作であるリザリオンを嫌がらせのためにまともな部下も与えずに第一層の司令官に任命していた。


第一層から第二十九層をシュラハトはダンジョンで活動する冒険者のために解放してある。そのため下層の司令官は数多くが討死していた。



「暗黒騎士団長より、一刻も早く侵入者を撃退するよう、提案されています」

「あいつ、口うるさくて鬱陶しいんだよね。独房にぶち込んどいて」


「はっ」


私は暇を潰すため、色々と遊んでいたのだが、あいつはいちいち文句をつけてくる。鬱陶しい。

「というかあいつ、何でそんなこと言うんだい?」

「情報収集のために派遣した騎士団が壊滅した模様です」

「本当かい?あははははは、愉快愉快!」

嫌がらせのために暗黒騎士団には情報を何一つ与えなかったから、あいつは部下を派遣して情報収集しようとしたらしい。

あいつは部下思いだ。きっと今頃泣いているだろう。

ザマァみなさい!

「暗黒騎士団には対して命令。決して持ち場を動かないで。敵討はさせないから」

「はっ」




それにしても、侵入者、どうしようかな。

DPは基本的にダンジョン内の生き物の死亡、戦闘により発生する生命力、侵入者のエネルギーから生産される。

長く戦えば戦うほど、防御側はDPを多く獲得できる。


色々怪しい点があるが、時間はこちらの味方だ。
せいぜいのんびり攻略しなさい。

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