上 下
47 / 82

最低最悪の組み合わせ

しおりを挟む
ラジオ体操、それは朝起きて、ご飯を食べて、一息ついてから始める、曲に合わせて行う簡単な運動。

この閉鎖されたショッピングモール内での健康維持と、運動不足解消のために少しずつ、少しずつ、面倒臭かったり二度寝したりでサボる日もあったが、なんとか今日でラジオ体操を合計三十日間やり遂げた。


そして最初の日にもらったスタンプカード。これもスタンプが三十個溜まり、そして消失した。


呆然とする俺の前に、一つのシステムウィンドウが展開された

●BGM『ラジオ体操第二番』を入手しました!


このシステムウィンドウを見た誰もが思った。
……いらねぇ。

そもそも、ラジオ体操第二を知らないため、音楽が流しても誰も踊ることができなかった。何もどう踊ればいいかわからないため、適当にリズムに合わせて踊るだけ。新たなスタンプカードも出現してなかった。




今日のログインボーナスは人材確定ガチャコイン



人材!これはつまり、俺の支配下のユニットが手に入るということだ。

我が王国、山田ドラゴンガチャ王国の社会問題として、人口問題が挙げられる。

そう、人口。この王国では、ガチャでしか人口を増やすことができないのだ。


いや、まぁ。厳密にはもう一つある。だがまともな設備も人材もない中で、出産は危険すぎる。なので随分前に全ユニットにそういった行為の禁止を命じていた。



…さて。

この際、人間でも人外でもなんでもいい!さぁ、来い!




ガタンッ



SR『愉快なマッドサイエンティスト達と研究所』


あっ、まずい。




ズドンッという大きな衝撃が上から聞こえた。


慌てて駆けつけると、ついさっきまでなかった、4階へのエレベーターが出現していたのだ。


そして、エレベーターから次々と彼らは現れた。


ある者は、全身を宇宙服で
ある者は、ペストマスクをつけて
ある者は、白衣を着て、しかし全身血まみれで
ある者は、ロボットに乗って。
ある者は、魔術師のような格好で。
ある者は、機械の体で。


ゾロゾロと、エレベーターから何十人も降りてくる。

何人いるんだ、こいつら!


俺は鑑定スキルを使う。対象はエレベーターから見える4階の構造物。壁や天井が機械で覆われた、ハイテクチックな4階を。


鑑定!

●マッドサイエンティスト、それは夢とロマンを追い求める技術者です!
このアイテムはそんな目的のためなら手段を選ばない者たちが100人、さらに彼らが拠点とするプロメテウス研究所までついたお得なアイテムです。

彼らはあなたの文明を何段階も進めてくれるでしょう。
使い方にはご注意を。本当にご注意を。一歩間違えば全滅もあり得ます。


100人!こちらの人口を上回っている!王国内の勢力図が一変するぞ!



彼らは全員が出てきた、最後の方の人たちはまともそうに見えた、しかし非常に疲れているようだ。


そんな集団から、一人の女性が出てくる。


やぁ、私の名は鶴見博士。此度の召喚に応じた、この同胞達のリーダーを務めている。と言っても、彼らの中で一番常識があって、話が通じるから嫌々ながら投票でリーダーを押し付けられただけだ。同胞は私の命令に従わないし、そもそも私もリーダーとしてやる気がないので、心得ておくように。


は、はぁ。ご丁寧にどうも。俺は山田竜。これからよろしくお願いします。


今君、私のこと面倒な女だと思ったね?


いえいえ!滅相もございませんッ叡智に溢れた、素晴らしい女性かと!


ふむ、褒められるのは悪くない。


さて。随分と興味深い者たちもいることだが。


彼らは浮遊する人魚、頭部がカメラの男、頭部がない男、未だひび割れた魔剣を興味深そうに眺める。

彼らは後回しだ。まずはガチャだ。


ガチャ?

そう、ガチャだ。何が出るかわからない、時空を超えて様々なものを排出する予想がつかないガチャだ。非常に興味深い。


さぁ、引いてみたまえ!

「「「「「「さぁ、さぁ、さぁ!!!」」」」」


クソがッ、先に無料ガチャを引いておけばよかった!



あぁー回したくない!最近は喜んで回していたが、今回は久々に回したくない!

こんなに回したくないのは首無し以来だ!


頼む、くだらない、しょうもないものを出してくれ!

ハズレが出てくれ!ガチャからの興味を無くすような、普通のものを出してくれ!



ガタンッ




R『ホムンクルス製造機』






ドンッという衝撃がまた発生する。俺はカプセルを開けて中の字を見た瞬間、全力で衝撃のもと、上の階へとエスカレーター目指して走り出した。

マッドサイエンティスト達も俺に続く。

エスカレーターを駆け上がり、俺は4階のプロメテウス研究所へとたどり着いた。

よりにもよって彼らの研究所の隣に出現していた。

何十個も並べられたカプセル、大量の衣類とベッド。
その他用途不明の装置が山のように存在する。


注目すべきは、カプセル。
そのカプセルは液体で満たされており、そしてその中には、白髪赤目の人間、いやホムンクルスが入っていた。

ほう、これは興味深い。

だ、だめだ!こいつらにこの機械を与えたら絶対だめなやつだ!

最悪だ!なんでよりによって今出るんだ!

絶対にこれ使っちゃだめだからな!


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

箱庭から始まる俺の地獄(ヘル) ~今日から地獄生物の飼育員ってマジっすか!?~

白那 又太
ファンタジー
とあるアパートの一室に住む安楽 喜一郎は仕事に忙殺されるあまり、癒しを求めてペットを購入した。ところがそのペットの様子がどうもおかしい。 日々成長していくペットに少し違和感を感じながらも(比較的)平和な毎日を過ごしていた喜一郎。 ところがある日その平和は地獄からの使者、魔王デボラ様によって粉々に打ち砕かれるのであった。 目指すは地獄の楽園ってなんじゃそりゃ! 大したスキルも無い! チートも無い! あるのは理不尽と不条理だけ! 箱庭から始まる俺の地獄(ヘル)どうぞお楽しみください。 【本作は小説家になろう様、カクヨム様でも同時更新中です】

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

処理中です...