レディース異世界満喫禄

日の丸

文字の大きさ
上 下
964 / 1,656

閑話 真夜中の来訪者

しおりを挟む
「んじゃケインの所に行こいう」



レン様がアストレイ様にそういったので私とカロラは深々と頭を下げながら口を開く。



「「いってらっしゃいませ」」



その言葉を聞いた後にレン様とアストレイ様がメイシェル王国の王都へと転移していった。





「さてカロラさん、店に仕入れられる物のリストを作成しましょう」



「はい」



私達はこの街に出す支店を全てリッティさんに任せるつもりですが商品に関しては【カグヤ商会】で統一された商品を仕入れる事にしているのでリストアップしてリッティさんにどれをどれだけ仕入れるかを決めてもらうつもりだ。

その作業を暫くしているとドア越しにノック音がして作業を辞めてカロラと見つめ合う

私達はこの街に来て日が浅いためにこの家に来るような知り合いはいないはずなのだ。

カロラと視線を交わした後にカロラは護身用のナイフを取り出してノックのあった扉へと歩いていき扉の前で立ち止まり口を開く。



「どちら様ですか?」



その問いにすぐに扉越しに言葉が返って来た。



「先程は失礼した、其方の主と少し話がしたく参った」



聞こえてきた声にカロラは驚き私に視線を向ける。

私その視線を受けながらも驚いていた、扉越しに聞こえて来た声は先程・・・・数時間前に城に居た時に散々聞いた声だったからだ。

私は溜息をついた後に扉まで歩いていき扉を開けた。



「夜分遅くにすまないな」



私は更に驚いた、予想通りの人が立っていたのだが他に娘さんしかいなかった・・・・王族が護衛を連れずにここまで来た事にかなり驚いた。



「申し訳ありませんが主は留守にしておりまして、後日改めて私達が伺いたいと思うのですが」



私の言葉にしばらく考えてから陛下が口を開く。



「かまわないので少し話を聞いてもらえにだろうか?」



真剣な表情で言われたので私は内心で溜息をついた後に中へと招いた。



「申し訳ありませんが此処は仮の拠点となっていまして高貴な方々を招くような準備はしていませんのでご了承ください」



「いきなり訪れたのは我々の方でそれを気にすることはしないでほしい」



その言葉を聞き頷いてから椅子を進めて座ってもらった。



「それで陛下、レン様に何か御用でしょうか?」



私の問いに頷く陛下。



「今ここに来たのは王としてではなく一人の親としてここに来た・・・・・・一人の親として私の娘をレン殿に預けたく思いここに来た」



・・・・・・・・・・またも内心でため息をつく。

あの時の態度に憤慨してここ来た方が何倍も楽だと思う。



「それは先ほどレン様がお断り申し上げたはずです、あの方は一度言った事はあまり変えたりする方ではありませんよ?私共が帰宅した後に何があったのかは存じませんが」



それを聞いた陛下は頷く。



「少し話をしただけでもそうなのであろうと思わせる人物なのはわかってはいる、だがレン殿がティーナシアに言った言葉は事実でありティーナシアを心配しての言葉だった・・・・それを感じ私は娘の更生を頼むのはレン殿しかいないと思った、このままここに居たら変れる物も変われなくなる・・・この子の今後の為にも今かわらなければならん・・・・そしてそれをレン殿に頼みたい」



そう言った後に深々と下げる陛下を見て思わずため息が出た。



「言い方は悪いのですが、それはそちらの都合ですよね?我が主に何の関係もなく我が主の負担になる事を受けてくれると思いますか?」



「分かっている・・・・レン殿さえよければ我が国の貴族として受け入れようと思っている、爵位は子爵家で」



真剣な顔でそう言って来る陛下に私は額を手の平で抑えながらため息をつく。



「そう言う話ならあの方は確実にお断りしますよ」



何せ同じような話を何度も断って来てますからね、メイシェル王国の爵位だっていまだに言う機会を伺っている状態なのですから。

しおりを挟む
感想 1,344

あなたにおすすめの小説

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中

四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...