レディース異世界満喫禄

その選択肢はなかった！！

ジェネの話を聞いて驚いた後に、あたしある事に気がつく。



「待ってジェネ、あたしにそいつとやりあえって事？流石にあたしでも勝てないよ？」



龍と同等かそれ以上なら勝てるわけないじゃん！あたしは少し強いだけの乙女だべ！！



「私が頼みたいのは、リステアとの共闘よ」



視線を逸らさすにあたしを見てそう言ってくるジェネの言葉をそのまま聞く。



「さっきも言ったけど私から見て今回の相手はリステアと同等かそれ以上なのよ、だから保険として貴女も一緒に戦って欲しいの」



・・・・・・・なるほどそう言われればかなり納得できる。



「あたしが足手まといにならない？むしろ足ひっぱって負けました！！なんて御免なんだけど！！」



あたしがそう言うとジェネは思いっきりおかしそうに『クスクス』と笑い出し、メルヴィーラも肩を震わせていた。



「なんなのさ？」



「ごめんなさい・・・ぷっ！レン、貴方に一つ忠告よ『自分を知りなさい』、貴方は自分が思うよりかなりすごいのよ？」



「へ？」



何言ってんのさ？あたし程自分を知ってる奴は居ないよ？『一日中ダラダラしていたい人間』だよ！！



「「ぷふっ！」」



何で２人で笑う！！



「話はわかったべさ、リステアと一緒に【レスティオール】行けばいいんだね？」



「お願い」



あたしが頷くとジェネはほっとしたような顔になり肩の力を抜いていた。



「どうしたのさジェネ？」



「断られなくてよかったと思って、本当に助かるわ」



・・・・・・・・・・・あ！！その選択肢はなかった！！まあ『更地になる』って聞いた後だから知らんぷりは出来なかったけどね。



「まあ話は纏まったって事で！！レン！吞みましょう！！」



メルヴィーラがテーブルの上に酒樽を置いて笑顔でそう言って来たので、あたしは【アイテムボックス】から料理を取り出して並べる。



「それじゃあ吞みましょう」



グラスに入れられた透明なお酒を一口口に含み驚き固まる。



「美味しいでしょう？この世界じゃない所で『神酒』と言われてる物よ」



初めての味だ、口に含むとさわやかな感じが口の中に広がり、飲み込むとその爽やかさが辛く感じる。



「いいねこれ」



しかもかなり強い酒なのに、呑みやすい！！このお酒欲しいかも！！



「いいわよ？この前のお礼としてこれを樽ごと帰りに渡すわ」



「本当に？ありがとう！！」



これは最高のお酒が手に入ったよ！！後でケイン達を呼んで皆に振舞ってあげないと！！これは一人で吞むお酒じゃないべ！！



「ふふっ貴女らしいわね」



なんかメルヴィーラとジェネが生暖かい視線であたしを見てるけど何だべ？



「何でもないわ、吞みましょう」



それから暫くは世間話や愚痴を聞きながら呑んで、いい時間となったのでお開きとなる。



「そうだジェネ、【レスティオール】の適当な所・・・人が近くに居ない場所を教えて、そこに転移で行くから」



【レスティオール】が何処にあるか知らないけど歩いていくなんて選択肢はないからね！だって物凄く面倒くさいからね！！

あたしがそう言うとまたも２人は『クスクス』と笑いながらあたしを見ている。

別に変なこと言った覚えないんだけどなぁ。



「判ったわ・・・・・・・・ここがいいわね」



その言葉の後にあたしの頭の中に森に囲まれた小さな泉が浮かぶ。



「ここなら誰も来ないし、魔物のいないわ」



それは助かるね！！



「ありがとう」



「いいえ気にしないで、迷惑をかけるけどリステアと共に行動してあげて、あの子はとてもいい子だから」



「うん」



向こうに戻ったらリステアと今後について打ち合わせをしないとね。



「何かあったらまた来るよ」



「ええそうして、じゃあ頑張ってね」



ジェネのその言葉で現実へと戻っていく。