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閑話 王の休日
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「噓を付いて報酬をもらいたいだけなのでは?」
目の前の男、財務部部長ハンス・エイガ―がそう言った。
先程アストレイが王城に到着し緊急の会見を申し出てきて、その話を聞いた俺は褒美を出すべきと判断してそのことを告げるべく呼んだのだが。
「貴殿何を言っている?アズエル候が噓の報告を私にしていると?そう言っているのか?」
この男ハンスは昔からアストレイに対してあまりいい感情を持ってはいなかった。
ただ私情と仕事の分別があったので放置していたがさすがにこれは頂けない。
「そうではありません、きちんとした証拠がないと国庫を預かる者として納得出来ないと申しているのです」
「陛下・・・褒美に関しては後でもよろしいと思います。彼女はそういう小さいことをを気にする人間ではありませんから」
アストレイが声をかけてくる。
アストレイよそれは間接的に『お前は小さなことを言っている奴』と言っているぞ?
「わかった、下がれ」
今はもうこんな男の顔を見たくはない。
ハンスが下がった後アストレイとの話を再開する。
「あれはかなりひどくなったな」
「俺が侯爵家を継いだのが気にくわんのだろう」
ハンスも侯爵家の長男だが親がまだ現役でしかもかなり優秀な為に家督を譲れとも言えずアストレイに劣等感をいだいているのだろう。
しかしそれよりも今は褒美の事だ、国の危機を事前に潰したものに褒美を与えないのではこれから先率先して行動を起こすものがいなくなる可能性がある・・・・なにより俺がそれをしたくない。
私財から出すか・・・・・なら城に呼ぶわけにはいかんな・・・あそこに連れてきてもらうか。
「アストレイ、明日あそこにそのものを連れてこい、もちろんエレメンタルウルフもな」
店に入ってきたのは黒髪をなびかせなながら入ってきた少女。
本当にこの少女がと思ったが、来てもらったいきさつを説明し詫びる。
そして何か望むものがないかを尋ねると予想外の答え。
「何もいらないよ、褒美がほしくてやった訳じゃないしね、むしろ天敵を殲滅することしか考えてなかったし」
「天敵の殲滅?何の話だ?」
話を聞いて呆れと驚きが胸の内をしめる。
嫌いだからと殲滅したという呆れ、そしてそれができる実力、この者はかなり面白い。
「話は分かったが王都を救ってくれたことには違いない、なのでは何か望むものはあるか?」
その言葉は何度も使われた言葉・・・この言葉を聞いたものは目の色を変え地位・お金・コネなどを望む者が多い・・・この者は何と答えるのだろうか。
試すように悩む彼女をみていると、またも予想外の言葉。
「なら一つお願い事がある」
「なんだね?」
「お城の中の見学がしたい」
城の見学?なにを言ってる?
「あたし今王都の色んな所観光中なんだけど王城って関係者しか入れないじゃん?だから見学させてもらえればうれしいかなって」
この少女は本気で言っている・・・・くくく!気に入った!!
この少女には地位も金も興味がないのだ!!久々にこういう人間にあった。
【王】となった時・・・摺り寄ってくる奴はその欲望をか叶えようとするものが大半だった。
アストレイとかは例外でそういう例外は本当に少なかった。
「ははははは!!気に入った!その願いかなえよう!あと俺との会話に敬語はいらん!おれはお前が気にいった!」
「そりゃどうも」
そして少し話をしてから少女と別れ城に戻り、アストレイと酒を酌み交わしている。
「あの少女は面白かったな久々に心から笑ったぞ?」
「あいつは裏表がないからな、お前のような【仕事】をしてれば眩しいいくらいだろう?」
「くくく!確かに眩しかったな」
「あとあいつは面倒見がいいぞ?」
アストレイが語るアズエルギルドの事、そして盗賊の襲われた子供たちの事。語られた話にますます少女・・・レンの事が気に入り・・本心から褒美をあたえたくなった。
が・・・彼女はあれ以上の褒美を望まないだろうな・・・どうすべきか・・・
「ケイン様・・・お話し中ですが少しよろしいでしょうか?」
声をかけて来たのは後ろで控えていた王宮メイド長のエルス・ジェネ50歳だった。
目の前の男、財務部部長ハンス・エイガ―がそう言った。
先程アストレイが王城に到着し緊急の会見を申し出てきて、その話を聞いた俺は褒美を出すべきと判断してそのことを告げるべく呼んだのだが。
「貴殿何を言っている?アズエル候が噓の報告を私にしていると?そう言っているのか?」
この男ハンスは昔からアストレイに対してあまりいい感情を持ってはいなかった。
ただ私情と仕事の分別があったので放置していたがさすがにこれは頂けない。
「そうではありません、きちんとした証拠がないと国庫を預かる者として納得出来ないと申しているのです」
「陛下・・・褒美に関しては後でもよろしいと思います。彼女はそういう小さいことをを気にする人間ではありませんから」
アストレイが声をかけてくる。
アストレイよそれは間接的に『お前は小さなことを言っている奴』と言っているぞ?
「わかった、下がれ」
今はもうこんな男の顔を見たくはない。
ハンスが下がった後アストレイとの話を再開する。
「あれはかなりひどくなったな」
「俺が侯爵家を継いだのが気にくわんのだろう」
ハンスも侯爵家の長男だが親がまだ現役でしかもかなり優秀な為に家督を譲れとも言えずアストレイに劣等感をいだいているのだろう。
しかしそれよりも今は褒美の事だ、国の危機を事前に潰したものに褒美を与えないのではこれから先率先して行動を起こすものがいなくなる可能性がある・・・・なにより俺がそれをしたくない。
私財から出すか・・・・・なら城に呼ぶわけにはいかんな・・・あそこに連れてきてもらうか。
「アストレイ、明日あそこにそのものを連れてこい、もちろんエレメンタルウルフもな」
店に入ってきたのは黒髪をなびかせなながら入ってきた少女。
本当にこの少女がと思ったが、来てもらったいきさつを説明し詫びる。
そして何か望むものがないかを尋ねると予想外の答え。
「何もいらないよ、褒美がほしくてやった訳じゃないしね、むしろ天敵を殲滅することしか考えてなかったし」
「天敵の殲滅?何の話だ?」
話を聞いて呆れと驚きが胸の内をしめる。
嫌いだからと殲滅したという呆れ、そしてそれができる実力、この者はかなり面白い。
「話は分かったが王都を救ってくれたことには違いない、なのでは何か望むものはあるか?」
その言葉は何度も使われた言葉・・・この言葉を聞いたものは目の色を変え地位・お金・コネなどを望む者が多い・・・この者は何と答えるのだろうか。
試すように悩む彼女をみていると、またも予想外の言葉。
「なら一つお願い事がある」
「なんだね?」
「お城の中の見学がしたい」
城の見学?なにを言ってる?
「あたし今王都の色んな所観光中なんだけど王城って関係者しか入れないじゃん?だから見学させてもらえればうれしいかなって」
この少女は本気で言っている・・・・くくく!気に入った!!
この少女には地位も金も興味がないのだ!!久々にこういう人間にあった。
【王】となった時・・・摺り寄ってくる奴はその欲望をか叶えようとするものが大半だった。
アストレイとかは例外でそういう例外は本当に少なかった。
「ははははは!!気に入った!その願いかなえよう!あと俺との会話に敬語はいらん!おれはお前が気にいった!」
「そりゃどうも」
そして少し話をしてから少女と別れ城に戻り、アストレイと酒を酌み交わしている。
「あの少女は面白かったな久々に心から笑ったぞ?」
「あいつは裏表がないからな、お前のような【仕事】をしてれば眩しいいくらいだろう?」
「くくく!確かに眩しかったな」
「あとあいつは面倒見がいいぞ?」
アストレイが語るアズエルギルドの事、そして盗賊の襲われた子供たちの事。語られた話にますます少女・・・レンの事が気に入り・・本心から褒美をあたえたくなった。
が・・・彼女はあれ以上の褒美を望まないだろうな・・・どうすべきか・・・
「ケイン様・・・お話し中ですが少しよろしいでしょうか?」
声をかけて来たのは後ろで控えていた王宮メイド長のエルス・ジェネ50歳だった。
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