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心
実質泣いてない。
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私が崩れ落ちてから三か月経ってる……?
私が目覚めたのは三日前なのに?
でも確かに変化が多すぎる。
タチとイトラが争って、ダッドとナビ――土と風が参戦した。
たぶんここで一区切り。
次に風の大陸各地にに現れたダッドを倒しながら、タチは猥談を広め――どう考えても3日じゃ収まらない。
ユニちゃんがくれた、、ミルクかき氷をパクパク無心で口に運びながら出した結論。
やっぱり。タチと別れたあの日から三か月経ってる。
「わらわの耳にしたウワサ通りなら、ナビ様はタチ側についたのじゃろう。わらわの時と同じじゃ。自らの地で好き勝手されとる。ダッドはイトラ様側じゃろうな。前から繋がっておった動きじゃし」
同じくパクパク頬張るズーミちゃん。
とっても美味しそうに食べてる姿が、ミルク氷より私を癒してくれる。
「神犯しの女と黒衣の駄犬――あとなんじゃったかな?銀色のチビ?いやチビの泣き虫じゃったか、がウィンボスティー周辺でダッドと戦ってるはずじゃ」
三か月…三か月も……。
タチもずっと心配してくれただろう。
私と同じように、恐怖におびえながら。
しかもまだ、タチは私の無事はしらない。
私が生まれ変わるのは承知してても、最後があんな別れ方だ。
タチの気持ちを考えると、申し訳なくなる。
しかし、なにせあのタチだ。私基準で考えちゃいけない。
疑うこともなく信じてるかも。――私と再び会えるって。
ぐるぐる考えは巡るけど、根元にある一本の芯。「タチに会いたい」という気持ちが補強される。
だってタチは生きてる!
ぱくり。
もう一口ミルクかき氷を口にした瞬間。広がった甘みを意識してしまい、せき止まらない感情が溢れでた。
「良かった……良かったよ~~」
食べかけのかき氷を地面に落とし、ズーミちゃんの体に顔をうずめる。
どこまでも自分本位で嫌になる感情だけど、ともかく安心した。
「ちょっ……ナナ!わらわの中で泣くな!」
ゴポ!ゴポゴポ!……ゴポポポポ!
周囲には漏れない言葉を、ズーミちゃんの中で発する。
(だって――タチに会うまで、涙は流したくないんだもん……!)
タチにだけは見せていい弱さ。自分の情けなさ。彼女と一緒の時だけのものでありたい。
タチと居ないときは、せめてちょっとぐらい気丈で強く振舞ってたいのだ。
恰好だけでも。
だから、泣かない。ズーミちゃんにくっついていれば、溢れた液体が、涙か、ズーミちゃんの体液かなんて誰にも分らないから。
つまり、実質泣いてない!
「泣いたという事実は変わらん気もするが……よいよい。好きにするのじゃ」
一人ゴポゴポと大泣き――瞳の潤いを見き散らす私を、ズーミちゃんは優しく受け止めてくれる。
「このままじゃ塩味になりそうじゃ……お通しも食べ終わったことじゃし、収まったらご飯にするとしよう。お主もよいじゃろう?」
ズーミちゃんが私の背中をポンポン叩きつつ、ユニちゃんに話しかける。
「……てぇてぇユニ」
「ユニおぬし腹はへっておらぬのか?」
「えっ…えぇ!いただくユニ!既に胸いっぱいご馳走様ユニだけど……!もっと食べたいユニ!」
この二人…どうにか隔離空間に閉じ込めたいユニ…。
そんな言葉が聞こえたような気がするが、ズーミちゃんから頭を抜いた直後の聞き違えだろう。
「ナナは当然食べるじゃろう?」
「……うん。おなか減った」
この3日間まともな食事をしてなかったし、そもそも喉を通らなかった。
ズーミちゃんのお腹に顔をうすめながら、自分のお腹を鳴らす貴重な体験をするぐらい空いてる。
「新・もちもち殺し……食べたら元気が爆発するぞ?」
「しん!!もちもちごろし…!!!」
自慢げに口にしたズーミちゃんの魅惑の商品名、恥ずかしながら心躍らずにはいられない。
沢山泣いたし。おなかも減ったし。
仕方がない。
愛するタチのもとに向かうにも、まずはお腹ごしらえです。
私が目覚めたのは三日前なのに?
でも確かに変化が多すぎる。
タチとイトラが争って、ダッドとナビ――土と風が参戦した。
たぶんここで一区切り。
次に風の大陸各地にに現れたダッドを倒しながら、タチは猥談を広め――どう考えても3日じゃ収まらない。
ユニちゃんがくれた、、ミルクかき氷をパクパク無心で口に運びながら出した結論。
やっぱり。タチと別れたあの日から三か月経ってる。
「わらわの耳にしたウワサ通りなら、ナビ様はタチ側についたのじゃろう。わらわの時と同じじゃ。自らの地で好き勝手されとる。ダッドはイトラ様側じゃろうな。前から繋がっておった動きじゃし」
同じくパクパク頬張るズーミちゃん。
とっても美味しそうに食べてる姿が、ミルク氷より私を癒してくれる。
「神犯しの女と黒衣の駄犬――あとなんじゃったかな?銀色のチビ?いやチビの泣き虫じゃったか、がウィンボスティー周辺でダッドと戦ってるはずじゃ」
三か月…三か月も……。
タチもずっと心配してくれただろう。
私と同じように、恐怖におびえながら。
しかもまだ、タチは私の無事はしらない。
私が生まれ変わるのは承知してても、最後があんな別れ方だ。
タチの気持ちを考えると、申し訳なくなる。
しかし、なにせあのタチだ。私基準で考えちゃいけない。
疑うこともなく信じてるかも。――私と再び会えるって。
ぐるぐる考えは巡るけど、根元にある一本の芯。「タチに会いたい」という気持ちが補強される。
だってタチは生きてる!
ぱくり。
もう一口ミルクかき氷を口にした瞬間。広がった甘みを意識してしまい、せき止まらない感情が溢れでた。
「良かった……良かったよ~~」
食べかけのかき氷を地面に落とし、ズーミちゃんの体に顔をうずめる。
どこまでも自分本位で嫌になる感情だけど、ともかく安心した。
「ちょっ……ナナ!わらわの中で泣くな!」
ゴポ!ゴポゴポ!……ゴポポポポ!
周囲には漏れない言葉を、ズーミちゃんの中で発する。
(だって――タチに会うまで、涙は流したくないんだもん……!)
タチにだけは見せていい弱さ。自分の情けなさ。彼女と一緒の時だけのものでありたい。
タチと居ないときは、せめてちょっとぐらい気丈で強く振舞ってたいのだ。
恰好だけでも。
だから、泣かない。ズーミちゃんにくっついていれば、溢れた液体が、涙か、ズーミちゃんの体液かなんて誰にも分らないから。
つまり、実質泣いてない!
「泣いたという事実は変わらん気もするが……よいよい。好きにするのじゃ」
一人ゴポゴポと大泣き――瞳の潤いを見き散らす私を、ズーミちゃんは優しく受け止めてくれる。
「このままじゃ塩味になりそうじゃ……お通しも食べ終わったことじゃし、収まったらご飯にするとしよう。お主もよいじゃろう?」
ズーミちゃんが私の背中をポンポン叩きつつ、ユニちゃんに話しかける。
「……てぇてぇユニ」
「ユニおぬし腹はへっておらぬのか?」
「えっ…えぇ!いただくユニ!既に胸いっぱいご馳走様ユニだけど……!もっと食べたいユニ!」
この二人…どうにか隔離空間に閉じ込めたいユニ…。
そんな言葉が聞こえたような気がするが、ズーミちゃんから頭を抜いた直後の聞き違えだろう。
「ナナは当然食べるじゃろう?」
「……うん。おなか減った」
この3日間まともな食事をしてなかったし、そもそも喉を通らなかった。
ズーミちゃんのお腹に顔をうすめながら、自分のお腹を鳴らす貴重な体験をするぐらい空いてる。
「新・もちもち殺し……食べたら元気が爆発するぞ?」
「しん!!もちもちごろし…!!!」
自慢げに口にしたズーミちゃんの魅惑の商品名、恥ずかしながら心躍らずにはいられない。
沢山泣いたし。おなかも減ったし。
仕方がない。
愛するタチのもとに向かうにも、まずはお腹ごしらえです。
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