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心
水面になりたい。
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「ん~~?なんか知ってる気がするユニね~??」
角の生えたお姉さんが、私のおでこにグリグリと鼻をあて匂いを嗅ぐ。
「ど、どちら様でしょうか?」
「この角みてわからないユニか~?ユニコーン、ユニ!」
ユニコーン……?確かにユニユニ言ってるし、立派な角も額に生えてるけど……。
私が一度見たユニコーンは、もっとちんまりとした可愛らしい生き物だった。
「ユニはね~。毎日願ってたユニよ!川で出会ったとっても清らかで、美しい乙女……。あの子みたいな乙女がユニも欲しいって!」
川で出会った――もしかして?私のしってるあの三頭身ぐらいのあの子?
「ずっと見守り、支えたくなるような乙女……あの穢れが皮をかぶったような女さえいなければ、ユニだって……!」
「あの時私にしがみついてた、あのユニちゃん?」
私の唯一知るユニコーンと、外見は一致しないけど、話を聞く限り同一なような?
穢れって、たぶんタチのことだよね?「処女を湖に投げ込めば会えたのか!」って言った外道の。
「あぁ~!ユニの狙ってた乙女ユニか!?やっぱり神様のご褒美ユニ!!でもでも見た目が違うユニね?」
「色々と事情が…それに見た目で言えばあなただって、全然ちがうよ?」
どうやら本当に、風の大陸へと向かう道中で出会ったユニコーンらしい。
始めて会った時は三頭身ぐらいで、今の私より小さな体をしていた。
シルエットは、こんなほっそりとした縦長じゃなくて真ん丸の。
「ユニは、月に数日大きくなるユニよ。常識ユニ。」
…そうなんだ。どこの世界での常識かしらないけど――。
まった!あの時のユニちゃんなんだとすると……。
「ここは水の大陸!!」
口元を両手で覆い、一つ大事な情報を手に入れたことに喜び驚く。
前いた地点からだいぶ離れてしまった。
「もちろんユニ?……んー?それにしても不思議ユニ??清らかなのに淫らな香りが――」
上半身をかがめて、私の胸元に鼻を付けクンクン匂いをかぐユニちゃん。
まるで犬みたいだ。
「えっと……それは、まー。…まー色々とそれは――」
タチに会いたい。今すぐあってくっつきたい。現在地はわかった。
一歩近づけたと思うと、余計に気持ちがはやる。
でも彼女の事を思い出すと、どうしても甘い思い出より、強烈な場面が前に出て、不安と恐怖が湧き出てしまう。
最後に見たあの光景が……。
「あの女ユニか?」
タチへの想いが伝播したのか、胸に顔を埋めていたユニちゃんが、真顔でこちらを見上げる。
「あの、淫らが服着て歩いてるみたいな黒髪の……!」
ユニちゃんとあった時は全裸だったけどね。言いたいことはわかるけど。
「やっぱり刺し殺しておくべきだったユニね……」
「そんな物騒な――でも希望が見えたよありがとう!それとアルケー湖の方角教えてもらえないかな?」
図々しいお願いだけど、なりふり構っていられない。
まずはわが友、水の化身ズーミちゃんの所に向かい、助けを得なければ。
「いいユニよ!あとお洋服あげるユニ!裸じゃ可哀想ユニ!ユニは可愛いのたくさん持ってるユニ!!」
「本当?ありがとう!やった!」
居ないタチには敵意満載だけど、私には優しいユニちゃん。
彼女の真っ白な手をとり、感謝する。
順調順調。このまま一刻も早くタチの元へ――。
「でも私サイズの服なんて持ってるの?」
「あるユニ!少女大好きだからユニね!ちびっ子お洋服大好きユニ!」
可愛らしい見た目と、種族の問題で聞き捨てられるが、怖い発言な気がする。
今の私にとって大変都合がよろしいので、とやかく言ったりしないけど。
「……やっぱりアルケー湖の方角は教えないユニ!ユニの着せ替え人形として、生涯可愛らしく過ごすユニ!」
「…えっ?」
あれ?物騒な発言をスルーしたせいだろうか?より問題ある発言が続いた気がする。
因果応報、自業自得その手の文字が脳に浮かんだ。
「どっか行っちゃ嫌ユニ!ユニと二人じゃ寂しいなら、もう一人可愛い~乙女を捕まえるユニ!それで、二人はウフフな生活をするユニ!一生!ずっと!!」
「いや、ちょっと待ってもらって――」
あれれ?なんかこの強引な感じ、ユニちゃんの憎む、真反対の存在なはずな誰かさんと似ているぞ?
私の大好きな、おてんばさん、一刻も安否を確認したい想い人と……。
「ユニはずっと見守ってるだけでい良いユニ!!木陰からそっと――でもでも!たまに二人の浴びた水をゴクゴクしたいユニ…!!」
勝手にしゃべって、勝手に高ぶっていくこの感じ……似ているあの人に。
始めて出会った時、タチはユニちゃんの事をなんて読んでただろうか……。
そう――「厄介処女狂い」だ。
「ごめんなさい!あの!お洋服いらないから、アルケー湖の場所を……」
「……にがさないユニよ?」
この際素っ裸でも走り出そう。そう思った私に向かい、無垢で、美しく、可愛らしい笑顔で、ユニちゃんが微笑む。
私の掴まれた両腕から、確固たる意志を感じさせながら。
「お願い、私…タチに会いたいの!あの黒髪の人よ――あんなお別れじゃ絶対やなの!」
まともな言葉も交わさず、覚悟もないまま、突然の出来事で……。
最後に目にした血塗られた光景を、私は認めていない。
タチは――タチならば。必ず生きてるはずだ。
そうじゃなきゃダメなんだ。
「こんなに乙女を求めるユニが……理想の乙女を目の前にして、憎き恋敵の元へお見送りすると思うユニか…?」
「…違うの――違うんだよ。」
「ずっと、ず~っと清らかなまま、美しく生涯をユニの前で過ごすユニ!幸せで美しく……。必要なものは、全部ユニが貢ぐから安心するユニ!」
「無理なの!私はタチにベタぼれだもん!なんでもしてくれるなら、今すぐタチに会わせて!!」
タチの二文字を口にするたび、こぼれそうになる涙をグッと堪える。
だって今は、涙を拭ってくれる彼女の前じゃないんだから。
「ぬぬぬ~……。乙女には笑顔でいて欲しいユニ…。そんな顔いやユニよ……」
「お願い!!タチに会えたら、なんでもするから」
うつ向き考え込むユニちゃんに懇願する。
持ち合わせは何もないが、想いと願いは本心だ。
差し出せるものは全てさしだしても、タチに会いたい。
「……わかったユニよ。あの女と会うまで、ユニの着せ替え人形になってくれるなら良いユニ」
「そんな事でいいの?」
「だから悲しい顔しないで欲しいユニ。それと、あの女と会ったら乙女を賭けて決闘するユニからね?」
「いいよ!全然いい!……でもタチはもの凄く強いよ?」
根は優しいのだろう。乙女に対して限定だけど。
願いが通った喜びで、軽く返事を重ねたが、実際二人が対決することを想像すると、ユニちゃんに申し訳なくなる。
酷い目にあわされそうだ。
「乙女を前にしたユニは最強ユニ!乙女を見守るためなら、どんな汚い手段でもとる覚悟があるユニ……!」
「そ……そっか。できれば二人とも仲良くしてくれると嬉しいけど……」
「それはないユニ」
ユニちゃんのキラキラ光る瞳から、輝きが一瞬消えたような気もするが、見なかったことにしよう。
ともかく一歩でも先に進まないと。
早く行動をおこしたくて、体がソワソワする。
「じゃ~。まずはお洋服ユニね!」
ユニちゃんの角が、ピカーっと光り輝いた。
真っ白な光の中から、綺麗に折りたたまれた、お洋服が一式現れる。
「凄い!!」
「でしょ?でしょ?ユニの角は神聖な物を分解して、保存できるユニ!生命は無理なのが残念ユニだけど……」
もし、できたらしたんだろうな。…乙女を。
寂し気に洋服を見つめるユニちゃん。中身ではなく服だけを集めた彼女の背中には、味わい深いものが漂っている。
「神聖な物――これ、ただの子供服だよね?もしかして、凄い効果があったりするの?」
「は?何を言ってるユニ?小さい服は、神の着る衣の次――いやそれに肩を並べるぐらい神聖な服ユニよ!めちゃくちゃ尊いユニ!」
うん。再びわかった。これがユニコーン。
乙女にただならぬ執着心を持つ生き物。
非常に厄介だ。
「……そっか。なら私にぴったりだね。それとごめん。できればおへその出る服お願いしてもいいかな?」
私がその、子供服と肩を並べてる神だよ!の説明は面倒だし、おしゃべりが長くなりそうなので伏せておく。
必要な事。へそをださないと調子が悪くなる事だけは、ちゃんと言っておこう。
「あ゛ぁ゛~いいユニね!!ならこっちにするユニ!」
(……けっこうキタナイ声もだすんだね)
ユニちゃんは手にしたお洋服を輝く角にしまうと、違うお洋服を引っ張り出してくれた。
大変便利な能力だ。
過ちの香りが漂うのは気になるけど。
陸に上がり、じっくり見られながら着替えを終える。
「うん。ぴったり。ありがとうユニちゃん。それじゃあ、アルケー湖に出発しよう!」
「行くユニ!どこまでも見守るユニよ!まかせるユニ!」
見守るというか、至近距離でじっくり観察してたけどね。
それがお返しになるなら安いものだ。
まずは、アルケー湖。ユニちゃんが言うには、ユニちゃんの背に乗って川をいくつか下れば、三日で着くそうだ。
着いたらズーミちゃんに会って事情を説明し、力を貸してもらおう。
力が無理でも、風の大陸まで戻る資金をせびらないと。
(タチ……必ず無事でいてくれてるよね。タチは最強だもん)
ニコニコ笑顔で、おんぶの形のまま私を待つユニちゃんに、私は逃げることなく立ち向かうのであった。
立ち止まってしまわぬよう、焼き付いた光景から、目を背けて。
角の生えたお姉さんが、私のおでこにグリグリと鼻をあて匂いを嗅ぐ。
「ど、どちら様でしょうか?」
「この角みてわからないユニか~?ユニコーン、ユニ!」
ユニコーン……?確かにユニユニ言ってるし、立派な角も額に生えてるけど……。
私が一度見たユニコーンは、もっとちんまりとした可愛らしい生き物だった。
「ユニはね~。毎日願ってたユニよ!川で出会ったとっても清らかで、美しい乙女……。あの子みたいな乙女がユニも欲しいって!」
川で出会った――もしかして?私のしってるあの三頭身ぐらいのあの子?
「ずっと見守り、支えたくなるような乙女……あの穢れが皮をかぶったような女さえいなければ、ユニだって……!」
「あの時私にしがみついてた、あのユニちゃん?」
私の唯一知るユニコーンと、外見は一致しないけど、話を聞く限り同一なような?
穢れって、たぶんタチのことだよね?「処女を湖に投げ込めば会えたのか!」って言った外道の。
「あぁ~!ユニの狙ってた乙女ユニか!?やっぱり神様のご褒美ユニ!!でもでも見た目が違うユニね?」
「色々と事情が…それに見た目で言えばあなただって、全然ちがうよ?」
どうやら本当に、風の大陸へと向かう道中で出会ったユニコーンらしい。
始めて会った時は三頭身ぐらいで、今の私より小さな体をしていた。
シルエットは、こんなほっそりとした縦長じゃなくて真ん丸の。
「ユニは、月に数日大きくなるユニよ。常識ユニ。」
…そうなんだ。どこの世界での常識かしらないけど――。
まった!あの時のユニちゃんなんだとすると……。
「ここは水の大陸!!」
口元を両手で覆い、一つ大事な情報を手に入れたことに喜び驚く。
前いた地点からだいぶ離れてしまった。
「もちろんユニ?……んー?それにしても不思議ユニ??清らかなのに淫らな香りが――」
上半身をかがめて、私の胸元に鼻を付けクンクン匂いをかぐユニちゃん。
まるで犬みたいだ。
「えっと……それは、まー。…まー色々とそれは――」
タチに会いたい。今すぐあってくっつきたい。現在地はわかった。
一歩近づけたと思うと、余計に気持ちがはやる。
でも彼女の事を思い出すと、どうしても甘い思い出より、強烈な場面が前に出て、不安と恐怖が湧き出てしまう。
最後に見たあの光景が……。
「あの女ユニか?」
タチへの想いが伝播したのか、胸に顔を埋めていたユニちゃんが、真顔でこちらを見上げる。
「あの、淫らが服着て歩いてるみたいな黒髪の……!」
ユニちゃんとあった時は全裸だったけどね。言いたいことはわかるけど。
「やっぱり刺し殺しておくべきだったユニね……」
「そんな物騒な――でも希望が見えたよありがとう!それとアルケー湖の方角教えてもらえないかな?」
図々しいお願いだけど、なりふり構っていられない。
まずはわが友、水の化身ズーミちゃんの所に向かい、助けを得なければ。
「いいユニよ!あとお洋服あげるユニ!裸じゃ可哀想ユニ!ユニは可愛いのたくさん持ってるユニ!!」
「本当?ありがとう!やった!」
居ないタチには敵意満載だけど、私には優しいユニちゃん。
彼女の真っ白な手をとり、感謝する。
順調順調。このまま一刻も早くタチの元へ――。
「でも私サイズの服なんて持ってるの?」
「あるユニ!少女大好きだからユニね!ちびっ子お洋服大好きユニ!」
可愛らしい見た目と、種族の問題で聞き捨てられるが、怖い発言な気がする。
今の私にとって大変都合がよろしいので、とやかく言ったりしないけど。
「……やっぱりアルケー湖の方角は教えないユニ!ユニの着せ替え人形として、生涯可愛らしく過ごすユニ!」
「…えっ?」
あれ?物騒な発言をスルーしたせいだろうか?より問題ある発言が続いた気がする。
因果応報、自業自得その手の文字が脳に浮かんだ。
「どっか行っちゃ嫌ユニ!ユニと二人じゃ寂しいなら、もう一人可愛い~乙女を捕まえるユニ!それで、二人はウフフな生活をするユニ!一生!ずっと!!」
「いや、ちょっと待ってもらって――」
あれれ?なんかこの強引な感じ、ユニちゃんの憎む、真反対の存在なはずな誰かさんと似ているぞ?
私の大好きな、おてんばさん、一刻も安否を確認したい想い人と……。
「ユニはずっと見守ってるだけでい良いユニ!!木陰からそっと――でもでも!たまに二人の浴びた水をゴクゴクしたいユニ…!!」
勝手にしゃべって、勝手に高ぶっていくこの感じ……似ているあの人に。
始めて出会った時、タチはユニちゃんの事をなんて読んでただろうか……。
そう――「厄介処女狂い」だ。
「ごめんなさい!あの!お洋服いらないから、アルケー湖の場所を……」
「……にがさないユニよ?」
この際素っ裸でも走り出そう。そう思った私に向かい、無垢で、美しく、可愛らしい笑顔で、ユニちゃんが微笑む。
私の掴まれた両腕から、確固たる意志を感じさせながら。
「お願い、私…タチに会いたいの!あの黒髪の人よ――あんなお別れじゃ絶対やなの!」
まともな言葉も交わさず、覚悟もないまま、突然の出来事で……。
最後に目にした血塗られた光景を、私は認めていない。
タチは――タチならば。必ず生きてるはずだ。
そうじゃなきゃダメなんだ。
「こんなに乙女を求めるユニが……理想の乙女を目の前にして、憎き恋敵の元へお見送りすると思うユニか…?」
「…違うの――違うんだよ。」
「ずっと、ず~っと清らかなまま、美しく生涯をユニの前で過ごすユニ!幸せで美しく……。必要なものは、全部ユニが貢ぐから安心するユニ!」
「無理なの!私はタチにベタぼれだもん!なんでもしてくれるなら、今すぐタチに会わせて!!」
タチの二文字を口にするたび、こぼれそうになる涙をグッと堪える。
だって今は、涙を拭ってくれる彼女の前じゃないんだから。
「ぬぬぬ~……。乙女には笑顔でいて欲しいユニ…。そんな顔いやユニよ……」
「お願い!!タチに会えたら、なんでもするから」
うつ向き考え込むユニちゃんに懇願する。
持ち合わせは何もないが、想いと願いは本心だ。
差し出せるものは全てさしだしても、タチに会いたい。
「……わかったユニよ。あの女と会うまで、ユニの着せ替え人形になってくれるなら良いユニ」
「そんな事でいいの?」
「だから悲しい顔しないで欲しいユニ。それと、あの女と会ったら乙女を賭けて決闘するユニからね?」
「いいよ!全然いい!……でもタチはもの凄く強いよ?」
根は優しいのだろう。乙女に対して限定だけど。
願いが通った喜びで、軽く返事を重ねたが、実際二人が対決することを想像すると、ユニちゃんに申し訳なくなる。
酷い目にあわされそうだ。
「乙女を前にしたユニは最強ユニ!乙女を見守るためなら、どんな汚い手段でもとる覚悟があるユニ……!」
「そ……そっか。できれば二人とも仲良くしてくれると嬉しいけど……」
「それはないユニ」
ユニちゃんのキラキラ光る瞳から、輝きが一瞬消えたような気もするが、見なかったことにしよう。
ともかく一歩でも先に進まないと。
早く行動をおこしたくて、体がソワソワする。
「じゃ~。まずはお洋服ユニね!」
ユニちゃんの角が、ピカーっと光り輝いた。
真っ白な光の中から、綺麗に折りたたまれた、お洋服が一式現れる。
「凄い!!」
「でしょ?でしょ?ユニの角は神聖な物を分解して、保存できるユニ!生命は無理なのが残念ユニだけど……」
もし、できたらしたんだろうな。…乙女を。
寂し気に洋服を見つめるユニちゃん。中身ではなく服だけを集めた彼女の背中には、味わい深いものが漂っている。
「神聖な物――これ、ただの子供服だよね?もしかして、凄い効果があったりするの?」
「は?何を言ってるユニ?小さい服は、神の着る衣の次――いやそれに肩を並べるぐらい神聖な服ユニよ!めちゃくちゃ尊いユニ!」
うん。再びわかった。これがユニコーン。
乙女にただならぬ執着心を持つ生き物。
非常に厄介だ。
「……そっか。なら私にぴったりだね。それとごめん。できればおへその出る服お願いしてもいいかな?」
私がその、子供服と肩を並べてる神だよ!の説明は面倒だし、おしゃべりが長くなりそうなので伏せておく。
必要な事。へそをださないと調子が悪くなる事だけは、ちゃんと言っておこう。
「あ゛ぁ゛~いいユニね!!ならこっちにするユニ!」
(……けっこうキタナイ声もだすんだね)
ユニちゃんは手にしたお洋服を輝く角にしまうと、違うお洋服を引っ張り出してくれた。
大変便利な能力だ。
過ちの香りが漂うのは気になるけど。
陸に上がり、じっくり見られながら着替えを終える。
「うん。ぴったり。ありがとうユニちゃん。それじゃあ、アルケー湖に出発しよう!」
「行くユニ!どこまでも見守るユニよ!まかせるユニ!」
見守るというか、至近距離でじっくり観察してたけどね。
それがお返しになるなら安いものだ。
まずは、アルケー湖。ユニちゃんが言うには、ユニちゃんの背に乗って川をいくつか下れば、三日で着くそうだ。
着いたらズーミちゃんに会って事情を説明し、力を貸してもらおう。
力が無理でも、風の大陸まで戻る資金をせびらないと。
(タチ……必ず無事でいてくれてるよね。タチは最強だもん)
ニコニコ笑顔で、おんぶの形のまま私を待つユニちゃんに、私は逃げることなく立ち向かうのであった。
立ち止まってしまわぬよう、焼き付いた光景から、目を背けて。
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