あしながビジネスマン

野兎症候群

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講評コメントー播磨雄平

講評コメント

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 純粋な人間だという印象を彼から感じた。駆け引きが苦手だと言ってもいいかもしれない。しかし、だからこそその思想や言葉はストレートで一貫性が感じられた。
 前半の転学の動機として挙げた偏向教育の話は割と知られた問題だけれど、塾講師として教育現場に立った人間の視点から見るとより深刻に映ったようだ。教えている生徒の未来を案じている彼の苦悩が伝わってきた。めぐり合う先生によって少なからず決まってくる未来の話が印象的だ。きっと彼はこれまで良い教師に学んできたのだろう。彼自身が体験しなかった不幸を塾講師として目撃したことがきっかけで教育者の道を目指した、実に明快で共感できる考えだ。しかし、彼のように転学してまでそれを達成しようとする人間はそうはいないだろう。私は教育への彼の情熱を感じた。
 後半の論述で、彼が「愛国心=日本の立場」という言い換えをしたのは印象的だったし、彼の理解がよくわかる話だった。穿った見方をする人間は愛国心を戦時日本の風潮として徹底して唾棄すべき思想だとすることもあるが、基本的な考えとしては彼の言う「立場」に近い意味合いとしての理解が正常だと私は思う。
 一方で、彼の言う「日本の立場」から見た歴史、教育が一番素晴らしいものであるとは私は思わない。教師の教育方針或いは教えている対象にもよるからだ。時には視点、立場を変えることが全体像の把握や理解度の向上に役立ったりすることもある。
 とはいえ、基本的な教育姿勢として彼の言う「日本の立場」は良い。彼の教育に関する基本姿勢は、これから彼が転学し、様々な研鑽を積むことで状況に応じた最適な形に変化していくだろうから、現在の彼自身の視野の狭さは問題にならないと考える。
 彼の転学の目的ときっかけと、教育における愛国心の論述は、最初に述べたように彼の思想の一貫性を見せてくれた。短い面接時間だったが、彼が教育者になったらさぞ熱心に教育に邁進してくれるだろうという確信を感じさせてくれた。
 よって、上記の理由をもって、彼への奨学金の付与を決定する。
                                    以上
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