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星月夜
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*
「明日嘉くん……」
近づいてくる明日嘉くんの胸に手を当てるが、唇が触れ合うと力が抜ける。
「日菜詩ちゃん」
優しく私の名を囁きながら、彼はそのまま何度も唇を重ねてくる。そのぬくもりに優しさを感じ、彼の右腕をつかんだまま深くなる唇を受け止める。
明日嘉くんは私を右腕でそっと抱きしめてくれる。その腕からは精一杯の思いが伝わってくる。
「わかる? ドキドキしてる」
「……あ、うん」
「日菜詩ちゃんはもっとドキドキしてる。なんか、……すごく可愛いよ」
薄いシャツ越しにぴたりと胸が重なってるから落ち着かない。だけど、どこか安心してゆだねてる。不思議だ。彼の行為には戸惑うばかりなのに、触れ合うと安心するのだ。
「このままずっとこうしてたいな」
甘えるように言うから、胸は跳ねる。それも彼に伝わるようで、恥ずかしい。
身を寄せ合ってこのままずっと一緒にいたら、私たちの関係はどうなっちゃうんだろう。
「明日嘉くん……」
「ん?」
「私のためにそう言ってくれるの?」
「それもあるけど、俺のためでもあるよ」
変なこと言うね、って、明日嘉くんは笑う。
「だって、私なんかじゃ……」
今日、好きな子に告白するって言ってたのに。だからもう明日から明日嘉くんに会うつもりはないって決めて会いに来たのに。
側に置いてもらえるのはうれしい。だけど、恋人じゃないのに恋人のように過ごしたいって思ってるんだとしたら。私なんかじゃ、遊びにもならないだろう。
「日菜詩ちゃんは可愛いし、綺麗だよ。私なんかとか、言うなよ」
「だって……」
「雨が降ってくれてよかったって、ちょっと思うよ」
「え?」
唐突に話を変える彼を見上げると、優しいキスが落ちてくる。
「日菜詩ちゃんとこんな風に過ごせる時間がもっと続けばいいのにって、思うよ」
もう何度キスしただろう。
付き合ってないのにキスするなんておかしい。そう思うのに、やまないキスを拒むことはできなかった。
「明日嘉くん……」
近づいてくる明日嘉くんの胸に手を当てるが、唇が触れ合うと力が抜ける。
「日菜詩ちゃん」
優しく私の名を囁きながら、彼はそのまま何度も唇を重ねてくる。そのぬくもりに優しさを感じ、彼の右腕をつかんだまま深くなる唇を受け止める。
明日嘉くんは私を右腕でそっと抱きしめてくれる。その腕からは精一杯の思いが伝わってくる。
「わかる? ドキドキしてる」
「……あ、うん」
「日菜詩ちゃんはもっとドキドキしてる。なんか、……すごく可愛いよ」
薄いシャツ越しにぴたりと胸が重なってるから落ち着かない。だけど、どこか安心してゆだねてる。不思議だ。彼の行為には戸惑うばかりなのに、触れ合うと安心するのだ。
「このままずっとこうしてたいな」
甘えるように言うから、胸は跳ねる。それも彼に伝わるようで、恥ずかしい。
身を寄せ合ってこのままずっと一緒にいたら、私たちの関係はどうなっちゃうんだろう。
「明日嘉くん……」
「ん?」
「私のためにそう言ってくれるの?」
「それもあるけど、俺のためでもあるよ」
変なこと言うね、って、明日嘉くんは笑う。
「だって、私なんかじゃ……」
今日、好きな子に告白するって言ってたのに。だからもう明日から明日嘉くんに会うつもりはないって決めて会いに来たのに。
側に置いてもらえるのはうれしい。だけど、恋人じゃないのに恋人のように過ごしたいって思ってるんだとしたら。私なんかじゃ、遊びにもならないだろう。
「日菜詩ちゃんは可愛いし、綺麗だよ。私なんかとか、言うなよ」
「だって……」
「雨が降ってくれてよかったって、ちょっと思うよ」
「え?」
唐突に話を変える彼を見上げると、優しいキスが落ちてくる。
「日菜詩ちゃんとこんな風に過ごせる時間がもっと続けばいいのにって、思うよ」
もう何度キスしただろう。
付き合ってないのにキスするなんておかしい。そう思うのに、やまないキスを拒むことはできなかった。
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