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かからない魔法とめざめる奇跡
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遼の姿が公園から消えると、ようやく私はベンチから立ち上がる。自宅へ向かうため歩き出しながら、頬に指を伸ばす。冷たい唇が頬に触れた。その感触に戸惑う。
兄は私をどう思っているのだろう。
喫茶店SIZUKUの前を通り過ぎた。正月でも喫茶店は開店している。門松を横目に裏口へ向かおうと路地に入りかけた時、入り口のドアが開く。
「悠紀ちゃん、おかえりなさい。こっちから入って」
ママが店から顔を出す。
「今、ちょうどお客様もいないから大丈夫よ。ミカドもちゃんといるわよ」
「あ……ミカド。ミカドはどこにいたの?」
ママに促されるままに店内へ入ると、カウンター席にちょこんと座るミカドがいる。私と目を合わせるとゆったりとしっぽを振って、椅子から優雅なしぐさで飛び降りる。
「ミカド、……どこに行ってたの?」
両手を広げると、ミカドは迷いなく走ってきて私の胸に抱かれる。ミカドがいないと不安だけど、彼もまた私がいないと不安なのだ。
「ごめんね、ミカド。お出かけしてきたの」
「お店に入り込んでたみたい。ホウキが倒れてドアも開かなくて。ミカドには怖い思いさせちゃったわ」
ママがそう教えてくれてる。
「だから一階に行ったらダメって言ってるのに」
ミカドの頭をなでると、彼は安心しきった様子で私に体を預ける。その時だった。店のドアがゆっくりと開く。
何気に振り返った私は、現れた青年を見て身体が緊張していくのを感じる。
「明けましておめでとうございます」
そう言って、爽やかな笑顔でキャリーバッグを引いて店内へ入ってきた青年は、何日かぶりに会う真咲さんだった。
「おかえりなさい、古谷さん。寒かったでしょう。あたたかいコーヒー用意するわね。悠紀ちゃんも何か飲む?」
ママはすぐに真咲さんにそう声をかけると、カウンターへと向かう。
「あ……、私は、いらない」
首を横に振り、ちょっとさみしげな顔をするママから目をそらす。そのまま真咲さんの顔も見れないまま頭を下げて、階段へと逃げ込んだ。
三階まで一気に駆け上がると、部屋へ入る。胸に抱いていたミカドを下ろし、コートを脱ぐ。
ミカドは私の足元にちょこんと座り、私をじっと見上げている。
「ごめんね、ミカド。心配したよね」
しゃがみ込み、彼の頭をなでる。するとミカドは私の首からさがるリングに鼻を寄せる。
「あ、これ。……なんでもないの。ミカドはお昼ごはん食べた?」
リングをセーターの中へ入れ、ミカドを抱き上げる。彼はまだ気にするみたいにネックレスのチェーンに鼻を寄せている。知らない匂いがして気になるのかもしれない。
いつものようにミカドのフードボウルを持ってリビングへ行き、ミカドの食事を用意して、キッチンにあるママの作った料理を小皿に移す。
「お昼ごはん、ご一緒してもいいですか?」
「え……」
いつの間に部屋へ戻ったのだろう。タートルネックのセーターに、チノパン姿というラフな格好の真咲さんが、リビングに顔をのぞかせてふんわりと微笑んでいる。
「……あの、同じものでよければ」
「おかずを用意してくれますか。それは嬉しいです。じゃあ俺はみそ汁をつぎます」
腕まくりをしてキッチンへ入ってくる真咲さんは私の隣へ並ぶ。ほんのわずかでも動けば腕が触れそうなほど距離が近い。
「どこかへお出かけでしたか?」
「え、……ちょっとデパートまで……」
「もうすぐ仕事が始まりますし、必要なものがあれば俺も付き合います」
「一人で、……もう、一人で大丈夫ですから」
「そうですか。何かあれば頼ってください。相談ぐらいは乗れます」
「相談……」
私はふと顔を上げる。私を見下ろして、にこりと微笑む真咲さんには安堵する。
お兄ちゃんに会ったこと、話してみようか。
「古谷さんは……お兄ちゃんから私の話聞いたことありますか?」
「遼? それはもちろん。遼が、どうかしましたか?」
不思議そうに首を傾げる彼から目をそらしながらも、思いきって告白する。
「さっき、……会って」
「会った?」
「デパートに行った帰りに会って。さっきまで公園で話をしてて……」
「それで遼はここへ?」
私は首を横に振る。
「また会えるかわからないって。私、お兄ちゃんを呼び止められなかった。……お兄ちゃんが私のことどう思ってるのかわからなくて」
真咲さんは眉をひそめたままだが、私の話を聞いてくれる。
「古谷さんは聞いてますか? お兄ちゃんと私のこと……」
「俺が知ってるのはほんのわずかなことで、悠紀さんのご両親が子連れ同士で再婚したという話だけです」
真咲さんは深いため息を吐き出して、それを言葉にしたことを後悔するみたいにまぶたを閉じた。
「お兄ちゃんと私が血のつながらない兄妹だって、知ってたんですね……」
真咲さんがそれを知っているなら、兄の遼は当然のように知っていただろう。
私は頬に指を伸ばす。遼はそうと知っていて、私の頬に触れたのだ。そして、唇にまで触れようとした。
「遼は元気そうでしたか?」
ハッと我にかえる。いつの間にか真咲さんがテーブルの上に昼食の準備を整えていた。
「すみません……。私、ぼーっとしてて」
私は急須に茶葉を入れてテーブルにつき、ポットのお湯を急須に注ぎながら言う。
「元気そう、だったと思います。昔と全然変わってなくて、お兄ちゃんだってすぐにわかりました」
「そうですか。また会えるといいですが。俺も久しぶりに遼に会いたい」
「今度会えたらここに来てもらおうかな……」
「それがいいですね。外折さんも懐かしいでしょう」
「でもママは会いたくないかもしれない」
そうため息を吐き出すと、真咲さんは困り顔で眉をひそめる。
「すみません。うちの家族のことは古谷さんに関係ないのに」
「いえ、話せることは話してください。それだけで心が軽くなることもありますよ」
「……そうでしたね。古谷さんはお医者様だから」
「医師として言ってるわけでは」
「これからはお医者様として接します。古谷さんは雇い主だから、古谷先生って呼ばないといけないですね」
「悠紀さん……」
「明日から働きますから。ご迷惑かけないようにします。よろしくお願いします」
「……そうですか」
「ご飯、頂きます」
私は目を伏せたまま、肉じゃがに箸を伸ばす。静かな食卓になる。食事を喉に通す音すらひかえめにしたくて、なかなか食事が通らない。
「悠紀さん」
不意に私に呼びかける真咲さんの確かで強い声にびくっとする。
おそるおそる顔を上げると、少しだけ頼りなげな目をする彼と目が合う。
「ネックレスは、どうされたんですか?」
「え……」
無意識に胸元に手を当て、セーターの中にある硬いものをそっと握る。
「今つけるようなネックレスは持ってないと言っていたので。やはり指輪ではなくて、ネックレスが良かったですか?」
彼の視線が私の指に集中する。
「……指輪はサイズが合わないので」
「遼からもらいましたか?」
「あ、……そうじゃなくて。自分で……」
「それを買いに今日はデパートへ?」
真咲さんの問い詰めるような質問に指が震えてしまう。怒っているのかもしれない。指輪を返せと言われてしまうかもしれない。
急激にからからになる喉を押さえ、私はうつむく。
「指輪は……なくしたんです」
「なくした?」
「すみません……」
真咲さんが眉をひそめたまま私を見つめるから、勢いよく立ち上がり、リビングを飛び出す。
怖い。敬太の顔が浮かぶ。好きでなくなったならそれでいい。結婚できないならそれでも良かった。だけど、思い出の詰まった指輪だけは返したくなかった。
「悠紀さんっ」
真咲さんの声が私の背中を追いかける。でも彼は追いかけてこなかった。
私たちは同じ屋根の下で暮らすだけの赤の他人だ。そして明日からは雇い主と従業員の関係でしかない。
もう終わったのだ。年が明けると共に、淡い恋のような感情は終止符を打ったのだ。だから真咲さんはここへ帰ってきた。
遼の姿が公園から消えると、ようやく私はベンチから立ち上がる。自宅へ向かうため歩き出しながら、頬に指を伸ばす。冷たい唇が頬に触れた。その感触に戸惑う。
兄は私をどう思っているのだろう。
喫茶店SIZUKUの前を通り過ぎた。正月でも喫茶店は開店している。門松を横目に裏口へ向かおうと路地に入りかけた時、入り口のドアが開く。
「悠紀ちゃん、おかえりなさい。こっちから入って」
ママが店から顔を出す。
「今、ちょうどお客様もいないから大丈夫よ。ミカドもちゃんといるわよ」
「あ……ミカド。ミカドはどこにいたの?」
ママに促されるままに店内へ入ると、カウンター席にちょこんと座るミカドがいる。私と目を合わせるとゆったりとしっぽを振って、椅子から優雅なしぐさで飛び降りる。
「ミカド、……どこに行ってたの?」
両手を広げると、ミカドは迷いなく走ってきて私の胸に抱かれる。ミカドがいないと不安だけど、彼もまた私がいないと不安なのだ。
「ごめんね、ミカド。お出かけしてきたの」
「お店に入り込んでたみたい。ホウキが倒れてドアも開かなくて。ミカドには怖い思いさせちゃったわ」
ママがそう教えてくれてる。
「だから一階に行ったらダメって言ってるのに」
ミカドの頭をなでると、彼は安心しきった様子で私に体を預ける。その時だった。店のドアがゆっくりと開く。
何気に振り返った私は、現れた青年を見て身体が緊張していくのを感じる。
「明けましておめでとうございます」
そう言って、爽やかな笑顔でキャリーバッグを引いて店内へ入ってきた青年は、何日かぶりに会う真咲さんだった。
「おかえりなさい、古谷さん。寒かったでしょう。あたたかいコーヒー用意するわね。悠紀ちゃんも何か飲む?」
ママはすぐに真咲さんにそう声をかけると、カウンターへと向かう。
「あ……、私は、いらない」
首を横に振り、ちょっとさみしげな顔をするママから目をそらす。そのまま真咲さんの顔も見れないまま頭を下げて、階段へと逃げ込んだ。
三階まで一気に駆け上がると、部屋へ入る。胸に抱いていたミカドを下ろし、コートを脱ぐ。
ミカドは私の足元にちょこんと座り、私をじっと見上げている。
「ごめんね、ミカド。心配したよね」
しゃがみ込み、彼の頭をなでる。するとミカドは私の首からさがるリングに鼻を寄せる。
「あ、これ。……なんでもないの。ミカドはお昼ごはん食べた?」
リングをセーターの中へ入れ、ミカドを抱き上げる。彼はまだ気にするみたいにネックレスのチェーンに鼻を寄せている。知らない匂いがして気になるのかもしれない。
いつものようにミカドのフードボウルを持ってリビングへ行き、ミカドの食事を用意して、キッチンにあるママの作った料理を小皿に移す。
「お昼ごはん、ご一緒してもいいですか?」
「え……」
いつの間に部屋へ戻ったのだろう。タートルネックのセーターに、チノパン姿というラフな格好の真咲さんが、リビングに顔をのぞかせてふんわりと微笑んでいる。
「……あの、同じものでよければ」
「おかずを用意してくれますか。それは嬉しいです。じゃあ俺はみそ汁をつぎます」
腕まくりをしてキッチンへ入ってくる真咲さんは私の隣へ並ぶ。ほんのわずかでも動けば腕が触れそうなほど距離が近い。
「どこかへお出かけでしたか?」
「え、……ちょっとデパートまで……」
「もうすぐ仕事が始まりますし、必要なものがあれば俺も付き合います」
「一人で、……もう、一人で大丈夫ですから」
「そうですか。何かあれば頼ってください。相談ぐらいは乗れます」
「相談……」
私はふと顔を上げる。私を見下ろして、にこりと微笑む真咲さんには安堵する。
お兄ちゃんに会ったこと、話してみようか。
「古谷さんは……お兄ちゃんから私の話聞いたことありますか?」
「遼? それはもちろん。遼が、どうかしましたか?」
不思議そうに首を傾げる彼から目をそらしながらも、思いきって告白する。
「さっき、……会って」
「会った?」
「デパートに行った帰りに会って。さっきまで公園で話をしてて……」
「それで遼はここへ?」
私は首を横に振る。
「また会えるかわからないって。私、お兄ちゃんを呼び止められなかった。……お兄ちゃんが私のことどう思ってるのかわからなくて」
真咲さんは眉をひそめたままだが、私の話を聞いてくれる。
「古谷さんは聞いてますか? お兄ちゃんと私のこと……」
「俺が知ってるのはほんのわずかなことで、悠紀さんのご両親が子連れ同士で再婚したという話だけです」
真咲さんは深いため息を吐き出して、それを言葉にしたことを後悔するみたいにまぶたを閉じた。
「お兄ちゃんと私が血のつながらない兄妹だって、知ってたんですね……」
真咲さんがそれを知っているなら、兄の遼は当然のように知っていただろう。
私は頬に指を伸ばす。遼はそうと知っていて、私の頬に触れたのだ。そして、唇にまで触れようとした。
「遼は元気そうでしたか?」
ハッと我にかえる。いつの間にか真咲さんがテーブルの上に昼食の準備を整えていた。
「すみません……。私、ぼーっとしてて」
私は急須に茶葉を入れてテーブルにつき、ポットのお湯を急須に注ぎながら言う。
「元気そう、だったと思います。昔と全然変わってなくて、お兄ちゃんだってすぐにわかりました」
「そうですか。また会えるといいですが。俺も久しぶりに遼に会いたい」
「今度会えたらここに来てもらおうかな……」
「それがいいですね。外折さんも懐かしいでしょう」
「でもママは会いたくないかもしれない」
そうため息を吐き出すと、真咲さんは困り顔で眉をひそめる。
「すみません。うちの家族のことは古谷さんに関係ないのに」
「いえ、話せることは話してください。それだけで心が軽くなることもありますよ」
「……そうでしたね。古谷さんはお医者様だから」
「医師として言ってるわけでは」
「これからはお医者様として接します。古谷さんは雇い主だから、古谷先生って呼ばないといけないですね」
「悠紀さん……」
「明日から働きますから。ご迷惑かけないようにします。よろしくお願いします」
「……そうですか」
「ご飯、頂きます」
私は目を伏せたまま、肉じゃがに箸を伸ばす。静かな食卓になる。食事を喉に通す音すらひかえめにしたくて、なかなか食事が通らない。
「悠紀さん」
不意に私に呼びかける真咲さんの確かで強い声にびくっとする。
おそるおそる顔を上げると、少しだけ頼りなげな目をする彼と目が合う。
「ネックレスは、どうされたんですか?」
「え……」
無意識に胸元に手を当て、セーターの中にある硬いものをそっと握る。
「今つけるようなネックレスは持ってないと言っていたので。やはり指輪ではなくて、ネックレスが良かったですか?」
彼の視線が私の指に集中する。
「……指輪はサイズが合わないので」
「遼からもらいましたか?」
「あ、……そうじゃなくて。自分で……」
「それを買いに今日はデパートへ?」
真咲さんの問い詰めるような質問に指が震えてしまう。怒っているのかもしれない。指輪を返せと言われてしまうかもしれない。
急激にからからになる喉を押さえ、私はうつむく。
「指輪は……なくしたんです」
「なくした?」
「すみません……」
真咲さんが眉をひそめたまま私を見つめるから、勢いよく立ち上がり、リビングを飛び出す。
怖い。敬太の顔が浮かぶ。好きでなくなったならそれでいい。結婚できないならそれでも良かった。だけど、思い出の詰まった指輪だけは返したくなかった。
「悠紀さんっ」
真咲さんの声が私の背中を追いかける。でも彼は追いかけてこなかった。
私たちは同じ屋根の下で暮らすだけの赤の他人だ。そして明日からは雇い主と従業員の関係でしかない。
もう終わったのだ。年が明けると共に、淡い恋のような感情は終止符を打ったのだ。だから真咲さんはここへ帰ってきた。
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