5 / 5
発端
導き
しおりを挟む「さてと、こんなもんかな」
あの後、倒した盗賊達を道から少し奥まった所に埋めた佐久真。一通り終わると
「予定外の時間を食ったな。急ぐとするか」
軽く身仕度をして、森を目指した。その後、森に入ってからはさしたる問題も無く進んだ。途中、鳥のさえずりや虫の鳴き声が聞こえたり、小動物が戯れたりして賑やかだった。道中、猪に襲われるが、難なく仕留めると休憩も兼ねて、川岸で食事の支度を始める佐久真
「(どんな経験が役に立つか分からないものだな。代々伝わる無地流槍術の海外で行う特訓の1つ。野生の動植物を捕獲から調理まで、1人で熟せるようになるもの。あの時は、使う時はないだろうと思っていたが、まさかな。盗賊相手も特訓の時、襲って来たテロなどを相手にしたことが役に立つとは……)」
血抜きから分割まで行い、あぶり焼きにしていく佐久真
「(今の所まだ虎には遭遇していない。一応は虎との特訓をしたことあるが、あの時は後ろに麻酔銃を持った専門の人達が居た。大きいとしか、分からないから何とも言えないが……まてよ、今までの特訓はこれらの事を想定したような……フッ、それはないか)」
考えすぎかと、頭を軽く振りながら、焼けた猪肉をおにぎりと一緒に食べようとして、動きを止める。静かに顔を上げ木々の奥を見つめた。
ゆっくりと、木々の影から表れたのは白い虎だった。高さはゆうに、2mあり体長は5~6mを越える体躯をしている。そして、今にも噛み殺さんとした表情で唸り声をあげ、佐久真を睨んでいる。
普通の人間ならば裸足で逃げ出す所が、佐久真は表情は変えずに落ち着いて居た。それどころか、猪肉の1番大きい部位を、白虎の前に投げた。
「食うか?」
一瞬身構えて、匂いを嗅いぐとすぐ顔をあげ佐久真を睨み付ける。
「そう、睨むな。俺はただ、この森に俺を呼んだ何かがあると思い、来ただけだ(不思議と恐怖は、感じないな。)」
すると、言葉が通じたのか、唸り声が止んで表情が落ち着く白虎。佐久真はそれを、見て少し笑うと
「そうだな。では、事の始まりから話すかな」
全てを話す佐久真。何故か夏侯惇達よりも、落ち着いて話せている。何時しか、白虎は座っていて静かに話を聞いていた。全てを話し終えると、白虎は少し考える仕草を見せ、それから目の前にある肉をゆっくりと食べ出した。
「まずは、腹ごしらえだな」
暫くの間、静かに食事をする1人と1頭。途中、白虎がおかわりをせがんで来て、少し佐久真が驚いたりする場面があった。結果、猪肉は全て無くなった。
「(肉が多かったから、全部食べてくれて助かったな。んっ?)」
佐久真が後片付けをしていると、白虎は森の奥に向きをかえ、顔だけ佐久真に向けていた
「着いてこいってか? 分かった、すぐ準備する」
白虎の意図を察して、準備を急ぐ佐久真。準備が終わると、白虎はゆっくりと歩き出した。その後を、着いて行く佐久真。進むにつれて、あれだけ賑やかだった鳴き声は一切無くなり、何時しか静寂が支配していた。そして
「これは……?!」
白虎が案内した場所。それは、この世界に来る前に入った洞窟があった。
目を瞑り1つ深呼吸をする佐久真。ゆっくり目を開けて
「よし、行くか」
洞窟を静かに見据えていたが、覚悟を決めて中に入って行った。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる