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はじまりのはなし。
1、異世界らしいです。
しおりを挟む強い白い光に包まれて、目を瞑った。
良くある話かもしれない。最近良く聞く異世界召喚。なんて考えながら光が消えるのを待つ。
冗談のつもりだった。クラスメイトの誰かのイタズラかもしれない。もしかしたらノリがいい先生がやったのかも。
その考えは直ぐに無くなった。
「ようこそお越しくださいました。
どうか、私達をお助け下さい。」
その声に眩しくて瞑っていた目を開けた。
そして理解した。ドッキリでも、イタズラでもない。
知らない人達が頭を下げている。
「ここは…?アナタ方はどちら様ですか??」
「ここはシャプー二国です。私達はこの国の神官で、あなた達を異世界から喚びました。」
ボケっとしていたら、クラスメイトの田中くん…?(うろ覚え)が知らない人達に質問した。いきなりだったから少しビックリしたのは内緒である…。
それにすんなりと返事した神官?さん。
質問され慣れてるのかな?すぐ返事したよね。ってことは、人を喚びなれてる…??
なんて考察していると話が進んでいた。
簡単に言うなら
〇ここは異世界で神官さん達が召喚魔法で喚んだ
〇この召喚魔法はこの世界に必要なモノを喚ぶ
〇この世界に来た異世界の人はだいたいの人がその証に痣みたいなものがあって、それがある人は魔法がつかえる
〇僕以外は喚ばれた3人ともその痣がある
ということらしい。
僕は興味無いし、痣っぽいのもとくになかったからスルーされた。
魔法が使えないだろうから大人しく案内された部屋にいて欲しいとのこと。
「喚び出したのにこんな対応で申し訳ございません。」
「えっ?!気にしないで下さい。僕に痣が無かっただけですし!!」
「そう言っていただけるとありがたいです。」
綺麗な顔、緑に近い黒い髪、茶色の眼をした神官さん?が頭を丁寧に下げた。
それに驚いた僕は思わず首を横に振りながら言った。
それにホッとした様な顔でその人はお礼を言った後にキリッと真剣な顔になり僕を真っ直ぐ見つめ、声を潜めて呟くように言った。
「ユウキ様にはこの世界のことを色々と知っておいていただきます。1人で生きていける程度には。」
「…?1人でというのは?」
先程の話だと一応衣食住は約束してくれていたはずだ。
疑問符を浮かべて首を傾げたらすぐに頷き、説明をはじめた。
「まず、他の方々は痣がありましたのでこの国から出ることは余程のことがない限りありえません。
あの痣は召喚魔法に組み込まれた魔法の1部で、神官様のいうことを絶対にきくという魔法がかかっています。
何人かに1人は失敗するのですが、今回はそれが貴方様だった様ですね。だいたいの人は仲間と離れたくないというのですが、神官様に騙されて殆ど部屋から出して貰えなくなったり、酷い時は元の世界に帰ったと嘘をつき…。
なので貴方様にはここから…、この国を出て好きに生きてほしいのです。」
その人のとても悲しそうな、残念そうな顔を見て理解した。
きっと僕やクラスメイト達には言えない様なことがあるんだと。
確かに、それは怖いし自由に出歩けなくなるのは困る。
僕は事の重大さとやらがやっとわかった。
「その為に、この世界のことを?
それならお願いします。頑張って覚えますので…。」
「ありがとうございます。」
僕が頭を下げてお願いすると、その人も柔らかく笑い頷いた。
でも、少しだけ不安がある。何故わざわざ教えてくれたのか。
何故、僕を外に出そうとしてくれているのか。
このひとを、ほんとうにしんじていいのだろうか??
少し悩んだけど、僕が僕らしくあるためにはこれしか方法がないなら、そうしよう。
ちゃんと覚えて、外に行けたらまたお礼が言える様に。この人の笑顔はとても素敵だから。
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