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柳川・立花山編
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「見つけましたよ! 徐福さん!!!」
ーー本当に迷陣を抜けることができてしまった。高橋様を振り返れば、彼は腕を組んで力強く頷いてくれる。
「不敢相信。適当に作った迷陣だけどまさか、素人が抜けられるなんて」
私の目の前には面食らった顔をして固まる徐福さんの姿があった。びし、と彼を指差しながら、私は妙な感覚を感じる。
「あれ? なんかちょっと違う匂いもする……?」
「ふふ、私はもう分かったぞ」
「ちょっと待ってください、自分で当ててみます高橋様」
「頑張れ」
今の私は霊感が冴えている。思考を巡らすより早く結論に辿り着いた。
「わかりました! ここに春ちゃんーー尽紫の狐さんがいましたね!?」
「うむ」
「………正确」
さも不快そうに眉根を寄せ押しだまった徐福さんに、私は頭を下げた。
「お願いします! 二人の居場所を教えてください!」
「……」
彼はじっとりとした半眼で高橋殿を見やった。
「旦那、なんでたった少しの時間で、ここまで鍛えちゃったわけ?」
「私の力ではないさ、彼女の努力と勇気の結果だ。よくやったぞ、楓殿」
「た、高橋様……!」
「もー。人たらしってこわーい。面倒ったらありゃしなーい」
徐福さんは唇を尖らせて女子高生のような口調で不満を口にすると、仕方ない、と言った様子で立ち上がった。
「まいっか、それだけ菊井サンがレベルアップしてくれたら、今後スカウトしがいがあるってものだし」
「徐福殿。彼女は伸びるぞ」
高橋様は笑う。
「せっかく引き抜くなら、経験ある人材の方が良いだろう。そういう意味でも彼女を本気で求めるのならば一度、紫野の元に返してやった方が良いと思うぞ?」
「確かに旦那のいう通りだ。ウチでこの変な素人を一から修行させるのはコスパが悪いね」
徐福さんが宙に向かってフッと息を吐くと、たちまち空間が煙のように揺らめいて、博多駅前筑紫口のワゴンの中に戻る。ーー本当に、ワゴンの中で術にかけられていたのだと思うとただただ驚くばかりだ。
「シートベルトして。行くと決めたらさっさと行くよ」
徐福さんはワゴン車のエンジンをかける。そのまま車はロータリーを抜け、都市高速へと乗り込んでいった。
見慣れた場所にどんどん向かっていく車。私は思わず徐福さんに尋ねる。
「あの、これどこに向かってるんですか?」
「君がよく知る場所だよ」
「……私の実家?」
「なんでそうなるの」
呆れた顔をする徐福さんの代わりに、隣の高橋様が「なるほど」と言う。
「まだあの二人は、立花山にいるのだな?」
ーー本当に迷陣を抜けることができてしまった。高橋様を振り返れば、彼は腕を組んで力強く頷いてくれる。
「不敢相信。適当に作った迷陣だけどまさか、素人が抜けられるなんて」
私の目の前には面食らった顔をして固まる徐福さんの姿があった。びし、と彼を指差しながら、私は妙な感覚を感じる。
「あれ? なんかちょっと違う匂いもする……?」
「ふふ、私はもう分かったぞ」
「ちょっと待ってください、自分で当ててみます高橋様」
「頑張れ」
今の私は霊感が冴えている。思考を巡らすより早く結論に辿り着いた。
「わかりました! ここに春ちゃんーー尽紫の狐さんがいましたね!?」
「うむ」
「………正确」
さも不快そうに眉根を寄せ押しだまった徐福さんに、私は頭を下げた。
「お願いします! 二人の居場所を教えてください!」
「……」
彼はじっとりとした半眼で高橋殿を見やった。
「旦那、なんでたった少しの時間で、ここまで鍛えちゃったわけ?」
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「た、高橋様……!」
「もー。人たらしってこわーい。面倒ったらありゃしなーい」
徐福さんは唇を尖らせて女子高生のような口調で不満を口にすると、仕方ない、と言った様子で立ち上がった。
「まいっか、それだけ菊井サンがレベルアップしてくれたら、今後スカウトしがいがあるってものだし」
「徐福殿。彼女は伸びるぞ」
高橋様は笑う。
「せっかく引き抜くなら、経験ある人材の方が良いだろう。そういう意味でも彼女を本気で求めるのならば一度、紫野の元に返してやった方が良いと思うぞ?」
「確かに旦那のいう通りだ。ウチでこの変な素人を一から修行させるのはコスパが悪いね」
徐福さんが宙に向かってフッと息を吐くと、たちまち空間が煙のように揺らめいて、博多駅前筑紫口のワゴンの中に戻る。ーー本当に、ワゴンの中で術にかけられていたのだと思うとただただ驚くばかりだ。
「シートベルトして。行くと決めたらさっさと行くよ」
徐福さんはワゴン車のエンジンをかける。そのまま車はロータリーを抜け、都市高速へと乗り込んでいった。
見慣れた場所にどんどん向かっていく車。私は思わず徐福さんに尋ねる。
「あの、これどこに向かってるんですか?」
「君がよく知る場所だよ」
「……私の実家?」
「なんでそうなるの」
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