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天神編
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「あの出店自体が、霊力が強い人間にしか見えない罠だったってことさ」
「そんなものが、天神駅前にあったなんて……」
「あやかしは、人間社会の『お上』から存在を黙認されている存在だからな」
篠崎さんが肩をすくめる。
「俺は例の黒猫又を探していた。最近ここいらで暴れ回っていたからな。悪さをする奴を、内輪だけで自浄できないとなりゃあ……めんどくさい『その筋のプロ』が出てきて、俺たち全員が面倒なことになっちまうんだ」
「ああ、見つけたっておっしゃられていたの、占い師さんのことだったんですね」
私は合点した。
「とにかく」
篠崎さんはごほん、と咳払いした。
「俺が福岡であやかし就職・移住支援の仕事をしている。あの黒猫みたいな野良あやかしに適切な職や住まいを与え、福岡をあやかしが住みやすい街にするためだ」
「公務員みたいなことしてんですね」
「公務員はあやかし関係には手を出しにくいんだよ。宗教とか、色々あるし」
「あー。なるほどですね」
私は頷いたのをみて、篠崎さんが話を続ける。
「俺はあやかしが移住してくるのを歓迎する層と、福岡に移住希望のあやかしをマッチングさせ、共存させて、そして利益を上げている。そしてうどんを食っている」
「人間の移住者支援が活発なのは知ってましたが、まさかあやかしまでとは……」
私は食べ終わった汁に目を落とす。満月のように綺麗な色をしている。
狐色の美味しそうに輝く汁に、細くて柔らかい、独特の歯ごたえの弱いうどん。
美味しい。口止め料として十分だ。
「こんなにおいしい屋台に連れて行っていただいて、さらにごちそうまでしていただいてありがとうございます。篠崎さんのことも、猫又のことも、今日の事は絶対誰にも言いません。約束します」
「ん。ならよかった」
篠崎さんがにやりと笑う。
私は汁を飲み干し、奥に引っ込んだ大将に向かって声をかけた。
「ごちそうさまでした! 次は友達を連れてきますね」
「ん~、人間の子は来られないよ」
奥から出てきた大将にひゃっと声を上げそうになる。
「カワウソ!?」
「そんなものが、天神駅前にあったなんて……」
「あやかしは、人間社会の『お上』から存在を黙認されている存在だからな」
篠崎さんが肩をすくめる。
「俺は例の黒猫又を探していた。最近ここいらで暴れ回っていたからな。悪さをする奴を、内輪だけで自浄できないとなりゃあ……めんどくさい『その筋のプロ』が出てきて、俺たち全員が面倒なことになっちまうんだ」
「ああ、見つけたっておっしゃられていたの、占い師さんのことだったんですね」
私は合点した。
「とにかく」
篠崎さんはごほん、と咳払いした。
「俺が福岡であやかし就職・移住支援の仕事をしている。あの黒猫みたいな野良あやかしに適切な職や住まいを与え、福岡をあやかしが住みやすい街にするためだ」
「公務員みたいなことしてんですね」
「公務員はあやかし関係には手を出しにくいんだよ。宗教とか、色々あるし」
「あー。なるほどですね」
私は頷いたのをみて、篠崎さんが話を続ける。
「俺はあやかしが移住してくるのを歓迎する層と、福岡に移住希望のあやかしをマッチングさせ、共存させて、そして利益を上げている。そしてうどんを食っている」
「人間の移住者支援が活発なのは知ってましたが、まさかあやかしまでとは……」
私は食べ終わった汁に目を落とす。満月のように綺麗な色をしている。
狐色の美味しそうに輝く汁に、細くて柔らかい、独特の歯ごたえの弱いうどん。
美味しい。口止め料として十分だ。
「こんなにおいしい屋台に連れて行っていただいて、さらにごちそうまでしていただいてありがとうございます。篠崎さんのことも、猫又のことも、今日の事は絶対誰にも言いません。約束します」
「ん。ならよかった」
篠崎さんがにやりと笑う。
私は汁を飲み干し、奥に引っ込んだ大将に向かって声をかけた。
「ごちそうさまでした! 次は友達を連れてきますね」
「ん~、人間の子は来られないよ」
奥から出てきた大将にひゃっと声を上げそうになる。
「カワウソ!?」
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