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 手のひらの中の光が、少しずつ自分より大きく広がり、城全体を包んでいくイメージをするのだ。爆死魔法の時の感覚と似ている――とおもうのだけど、それを言うと悲しませるので、私の心の中だけの秘密だ。

「他の人になんて任せたくないですからね。アスリア様とふたりっきりでいられる口実にもなりますし」

 私に魔術を教えながら、拗ねる子どものような口調でレイナード殿下が言う。
 私はふふ、と笑う。

「もう私は妻ですので、アスリアとお呼びください」
「……ま、まだ僕には刺激的すぎるので、様を……つけさせてください」
「そうですか……」

 既に夫婦関係でもあるのに、レイナード殿下はぎこちなく拒否する。
 他人行儀ではないか、さみしくはないのと王妃様に言われることはあるけれど、私は淋しいとは思わない。
 彼が私をアスリアと呼ぶことがあるのを、私は知っている。
 彼も無自覚なときだと思うから、今はまだ、しばらくは私だけの秘密だ――どんなときに、アスリアと呼んでくれるのか。

「あ、魔力が強くなった」

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