死ぬために向かった隣国で一途な王弟に溺愛されています

まえばる蒔乃

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 結婚式は盛大に行われた。
 ハイゼンからの列席者もいたが、彼らは元平民の政治家たちで、私を見ても誰も元貴族令嬢でテロリストだと気付かなかった。
 瑠璃色の髪はゼーディス王国の一般的な髪色で、ハイゼン王国には生まれない。
 髪色を変える魔術は誰にでも使える魔術ではないから、私が染めているとはヘアセットをしてくれる侍女たちすら知らなかった。

◇◇◇

 結婚後、私は魔術を学びはじめた。
 魔術をおしえてくれたのは、もちろんレイナード殿下だ。
 私が寝かされていたあの祭壇があった建物は、魔術の練習にちょうどいいらしい。
 週に何度か、私はあの建物でレイナード殿下に魔術を教わっている。

「でもよろしいんですか? 結構殿下の時間をとってしまっていますが……」
「いいんですよ」

 後ろから包み込むように腕を回し、手を重ねながら、レイナード殿下が言う。
 今は手のひらの中で防御魔法を展開する練習をしている。
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