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「……すまない。息子が我慢できなかったようだ」

 小さな扉から続いて、大慌ての侍女たちと美しい身なりの女性がやってくる。
 その人たちの顔に見覚えがある。私は改めて頭を下げた。
 申し訳なくて顔を上げられなかった。

「お久しぶりでございます。あの時は大変でしたね」

 柔らかな言葉を書けてくれるのは、あの時私に親切にしてくれた侍女たちだ。
 苦労したのか、二人ともあの頃よりずっと貫禄が出た気がする。私と同い年くらいだったのに、今では侍女たちの方が年長に見える。
 そして彼女たちが仕えるのは、あの日美しい花嫁だった王太子妃――現王妃様だ。

 私は頭を下げたまま、深くわびた。

「王妃様、あの日は誠に申し訳ございませんでした」
「もう昔の話よ。驚いたけれど、みんなたいしたことのない話だと思っていたわ。大丈夫、皆顔も覚えていないわ」

 彼女は私に声をかける。
 化粧けは薄いものの、あの日と同じように美しい。
 腕には生まれたてのような小さな赤ちゃんを抱いている。服装からして王女殿下なのだろう。

 ――え?

 私はふと、違和感をおぼえた。
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