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「侍女たちや医師は仕方ありませんが……あなたを閉じ込めたままにしておきたいんです。本当は、外の情報なんて何もいれたくない。やっとあなたが穏やかな顔をしてくれるようになりました。あなたが、しっかりと食事を取って、正しく丁重に扱われて、元気に回復してきているんです。だから、本当なら、結婚式だって後回しにして、ただ書面だけでもあなたを僕の妻にしたい。……あなたが本当に心から回復して初めて、色々外に目を向けるのでも……いいとは思うんです、でも、……そんなの耐えられない。……僕は、ずっと…………」
「で、殿下」
「まだ……知らなくていんです。まだ、あなたは……」

 しんと、周りの音が遠くなった気がする。
 急に饒舌になった彼は、どうしてしまったのだろうか。
 何か大きな隠し事をしているように感じられた。

「……よくわかりませんが」

 私は言葉を選んで続けた。

「私はあなたに逆らいません。会うなと言われるのであれば、もちろん従います。ですが」

 ぴくっと、彼の眉が動く。
 どこか不安げな顔に見えた。
 どこかで見たことのあるような、頼りない、怖がりの子どもの顔だった。
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