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 歩きながら不安点について尋ねると、レイナード殿下は「大丈夫です」と笑った。

「貴婦人に関する仕事なら、僕の義姉が采配してしています」

 姉ということは王太子妃だ。
 あの日、晴れがましい祝いの場の邪魔をしてしまった相手だ。
 美しい花嫁姿で驚いた顔をした、王太子妃殿下の表情を昨日のことのように思い出す。
 胸が痛くなる。

「レイナード殿下のお義姉様に申し訳ございません。私のような者が妻になるばかりに」
「姉も丸投げを歓迎しているのですよ。権力は集中させたいので」
「……私、もうこれくらい歩けます。回復いたしました。どうか皆様にお詫びをしたいのですが……」

 私は目覚めた日からずっと、ご迷惑をかけた皆様に謝罪をしたいと話していた。
 私の正体があの日の乱入者と知っているのはごく一部と言う。
 彼らにだけでも謝罪したいと何度か申し出ていたけれど、まずは体を治すことが第一といわれて、押しとどめられていた。

「……謝罪、ですか……」
「お願いします。このままではいたたまれません」

 彼は立ち止まり、暗い顔をして歩みを止める。私は不安になった。
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