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 そうだ、隣国の罪人である私にはあまりにも不相応すぎる。
 既にドレスが準備されているという時点で、もしかしたら彼は他の女性との結婚が決まっていたのかもしれない。
 
 ――そうか。
 罪人である私を王家で監視するために、彼は誰かとの婚約を取りやめ、私と結婚する事にしたのでは?
 
 首をもたげた疑念は正しいもののように思えた。
 王族の結婚とは思えないほど、既に決まっていたかのように急ピッチで事が進んでいるのだ。もうドレスは準備されていて、選べないと伝えたら彼が全て準備した。
 こんなに簡単に準備できるとは思えない。
 けれど、既に決まっていた結婚を取りやめて、花嫁だけすげ替えるようにしているのなら説明がつく。そもそも私は正妻ではないはずだ。妾の結婚にここまで準備をするとは思えない。
 彼や周りの人は結婚だと大げさに言っているけれど、式も身内だけに紹介する食事会のようなものだろう。

「アスリア様、お顔色が悪いですが……」

 鏡越しに侍女が心配をしてくる。
 私は急いで首を横に振る。

「大丈夫よ。少し考え事をしていただけ」
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