死ぬ結末しかない推しの悪役令嬢に憑依した私

ヒロインに出会うまで

7 呪い

「お嬢様、お医者様をお呼びしました…。」


医者…？  どうして？  家に着き、部屋着に着替えゴロゴロしているとサラにそう言われた。


「心配しないで大丈夫ですよ。でも、サラが気になるなら受けてもいいですかね…。」


「失礼致します。」


おじいちゃん先生です！  ヒロインが風邪をひいた時にも登場してました！  優しい先生で笑うと目が無くなるんですよ。


「おや？  顔色がいつもより悪いみたいだねぇ。貧血かい？」


「多分そうだと思うんですけど…。」


おじいちゃん先生は私のおでこに手を当てるとブツブツと何かを唱えだした。

魔法です！  おじいちゃん先生は病気を治すことももちろん、その原因を魔法で知ることができます。


「貧血と言うよりストレスじゃな。安静にしていれば問題は無いねぇ。ストレスの原因は分かるかい？」


「はい。」


きっと、クローディア様の身体に私が憑依したことが原因だと思います。ストレス…はないと思うんですけど…。確かに、クローディア様を傷つけるやつは死ねばいいとは思いますけどね。


「お嬢さん、そこのメイドさんを外にだしてもらえんかね？ 騎士は仕方がないがね。」


サラのことでしょうか？  私がサラに目配せするとサラは部屋から退出した。


「お嬢さんの体調不良の原因は呪いじゃよ。最近の悪い噂もそのせいじゃ。」


呪い、ですか？  この世界は魔法があるので呪いなんてものがあっても不思議ではありませんが…。


「その呪いは解けないんですか？  あと、どのような効果が？」


「弱めることは可能じゃが、解くことは出来んねぇ。こういうのは呪いを発動させた本人しか解けん様になっておる。じゃが、1人だけ可能な者がおる。明日、学園にいる時に解くように頼んでおこう。」


そんなすごい人を紹介して貰えるのですか。解いて貰えるなら誰でもいいですけれど。クローディア様の身体が呪われてるなんて許せませんし！


「効果はあれじゃ。隠蔽じゃ。」


隠蔽とは…？  私を隠すのでしょうか？


「例えばお嬢さんのした、『良い事』を『悪い事』に変えることが出来るのじゃ。悪い事は真実とは限らん。発動者が自由に考えることが出来る。」


私が孤児院に通っていたことをなくして、私が孤児たちに暴力を振るったことにしたということですよね。クローディア様は誰かに恨まれていたということですか？  …そんなことはないはずです。こんなにいい人が嫌われるはずが…まさか


ヒロインが…？