死ぬ結末しかない推しの悪役令嬢に憑依した私

ヒロインに出会うまで

3 憑依の影響？

馬車で登校し、降りるとたくさんの人からの視線を感じました。急に制服を着たからですよね。それに、スカートも短くてスースーします。クローディア様は胸も大きいので少し苦しいですし…サイズを見直した方がいいかもしれません。


「クローディア？  今日は制服なんだね。いつもは綺麗なドレスなのに。」


この人はこの国の王太子である、グランヴィル・オーウェン様です。褒めているようですがこれは嫌味ですね。ちなみに殿下は制服で来られています。平民の気持ちに近づくためだとかそうじゃないとか…。


「おはようございます殿下。用事があるので失礼します。」


「あ、あぁ。」


クローディア様と殿下は婚約者同士ですのにすごく距離感があります。それも、殿下のせいなんですけれど。クローディア様は婚約者なんだから、少しでも仲良くなろうと努力していましたが噂だけでクローディア様を殿下は邪険にするんです！ 本当にありえません！
確かに、幼い頃は少しクローディア様はワガママだったかもしれませんがそれは公爵様がクローディア様を顧みないからで…


「お嬢様、やはり体調が優れないのですか？ 今日はお休みした方が…。」


ぼーっとしていたせいでサラに勘違いされてしまいました。


「本当に大丈夫ですよ。」


サラを説得して無理やり帰らせました。今この場にいるのは殿下と私の護衛騎士です。なぜ、殿下はここから離れないのでしょうか。クローディア様を嫌っているはずですのに。朝から嫌味もいただきましたし。


ちなみに護衛騎士も攻略対象です。侯爵家の次男でシオン・マルティネス様です。次男と言っても侯爵家であるのに騎士を選んだ変わったお方ですね。歳は20歳で、クールな印象が強いです。この方、実は直ぐに死にます。誤解を招いたかも知れませんが、ヒロインがこの方を選ばれ無ければヒロインを敵から庇って死ぬのです。私の次に死亡フラグが多い方ですね。

朝から私とサラの会話を聞くと、目を見開いて驚いていました。私たちそんなに親しい仲ではなかったですからね。驚くことも無理は無いと思います。


私は殿下を無視して歩き出そうとするとまたさっきの貧血が私を襲いました。憑依の影響でしょうか…？

私を受け止めてくれたのは多分…シオン様ですね。綺麗な黒髪が見えましたから。