婚約破棄を申し込みます。

海瀬

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本編

じゅうわ

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「だいりに…カグツチ! 離してください!」


「久しぶりにその名で呼んだな。お主の婚約はどうなった?」


そう言えばカグツチはずっとこの地にいなかったんでした。
適当ですが、カグツチに今の状況を話します。


「殺してこよう。」


「ダメですよ!  ちゃんと婚約破棄するんですから。」


「するのか!?  待っておるぞ。もうどうするか決まっておるのか?」


「はい。殿下たちにも手伝ってもらっています。あとは、陛下を説得するだけですね…。」


「それは我に任せろ。明日までに書かせる。」


来週のパーティー…にはまだ間に合わないですね。その次の大きな舞踏会で婚約はを発表しましょう。


「ねぇ、リリア? 破棄したら誰と婚約するかもう決めてるの?」


……決めてますよ。相手の方が承諾して下さるか、わかりませんが。
ライに誤魔化すように笑顔を向けますが、ライはムスッとした顔をします。


「僕にくらい教えてくれていいのにさぁ?」


「当日まで秘密ですよ。受け入れてくれると嬉しいですが…。」


急に伝えることになりますので断られる可能性はとても高いですね。


✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

あれから数日後、今日はパーティーの日です。ドレスはアーサーが買ってくれた物を着ようとしたのですが、殿下+カグツチが4人で用意して下さったものを着ることになりました。


もちろん、婚約者であるレオン様が用意してくださる訳がありませんよ。


今回のパーティーでは婚約破棄はしませんが、察しのいい貴族の方は気づくでしょうね。


「リリア、綺麗だな。」


いつ私の部屋に入ったのでしょうか?


「アーサーがそんなことを言ってくださるなんて珍しいですね。」


「素直にならないと奪われるからな。」


奪われる…?  


「何をですか?」


「んなの、お前しかいねぇだろ! お前は人気者だからな?」


アーサーは私に近づくと耳元で囁きました。思わず顔が真っ赤になってしまいます。

そして、アーサーは耳にちゅっとキスしました。


「っ!?」


私は驚きアーサーから離れました。


「真っ赤だな。今日は俺たちと踊ってくれるんだろ?  舞踏会、楽しみにしてる。」


そう言って、アーサーは部屋から出ていきました。


入れ違うようにルイス様が入ってこられました。


「リリア…その、ドレスとても似合ってます。」


「本当ですか? 4人で用意してくださったのですよね? ありがとうございます。」


とても綺麗なドレスです。それにドレスだけでなく、手袋や靴まで用意してくださりました。


「リリア、好きです。レオンと婚約しているあなたを好きでいるのは諦めようと思っていました。ですが…もうあなたを好きな気持ちを抑えることはできません。」


ルイス様は私のことを好きだったのですか!?


「返事は婚約破棄の日に聞けると。それは舞踏会の前ですか?」


「…はい。」


「あなたが私の部屋に来ることを期待して待っています。」


ルイス様は私に近づくと私のまぶたにキスしました。


「あなたはこの先もずっと私の女神です。」


ルイス様は今まで見た事ないことくらいの笑顔をしました。思わず私も笑顔になるほどに。


「リリアー!  ドレスかわいい!」


「ありがとうございます。ライも似合ってますね。」


「ほんとー? リリアに言われたらうれしいなあ!」


とても、可愛らしいです。自分の可愛さを理解していますね、絶対。


「リリア、僕リリアが好きだよ。家族愛みたいなものじゃなくて異性として。」


私は思わず口が開いたままになります。
いつも好きなと言ってくれますが、それこそ家族愛だと思っていました。


「ライ、私は…」


「知ってる。舞踏会の日に教えてくれるんでしょ?」


ライは人差し指を私の唇に当ててそう言います。


「…はい。面倒くさいことをしてすみません。」


「いいよ。リリアが手に入るならいつまでも待つから。それに違う人を選んでも僕はいいよ。奪うから。」


いつも、ライのことを可愛らしいと思っていましたが、ドキッとしました。


ライは私の頬にキスをしました。…1分間ほど。離れてくれなかったので私の部屋に訪れたカグツチに引き離されて行きました。


「リリア、我と出会った時を覚えているか?」


「はい、覚えてますよ。黒歴史です。」


「そのように言うな。我はあの時を境に生きる希望を見つけたのだ。」


希望…?  私特になにもしていないと思いますが…。


「我は元々違う世界の神だったのだ。孤独な我を救ってくれたのはお主だけだ。」


神っ!? 神様ですか!?  そんなこと初めて聞きましたよ…?


「誰にも言っておらんからな。お主が我のことを選んでくれたなら神界に連れていこうと思う。そこから一生出さんがな。」


ふふっと、艶めかしく笑ったカグツチですが、怖いことを言っていると自覚しているのでしょうか?


「お主のことは我が1番知っているだろう。嫌がっても一生離さん。」


やんでれ…というものですか?


カグツチは私の首元にキスをすると少しだけ歯をたてました。


「っ! 何を!?」


「今夜は楽しむぞ。舞踏会まで眠れるか心配だ。」

✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

急展開ごめんなさい。次から分岐します。
R18の展開にしたいんですけど大丈夫でしょうか…?

迷ってます。
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